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交渉術

2017/04/24(月)

説得は善、心理操作は悪である

 

FROM 安永周平

こんな話がある。あるメーカーで、かれこれ半年もの間ストが続いていた。組合側はしぶしぶ業務の再開に応じたものの、組合員たちは最初に要求した内容よりも不利な契約を呑まされてしまった。仕事に復帰した最初の日、彼らの足取りは重く笑顔もなかった。みんなひどく怒っていた。こんな状態でやっていけるとは思えなかった。

ある経営コンサルタントのアイデア

ストが終結しても会社と組合の対立が続いていることを心配した経営陣の1人が、ある経営コンサルタントに助けを求めてきた。彼は組合側と経営陣それぞれのリーダーを集め、彼らを別々の部屋に分けた。そして双方に、会社のあるべき将来像を模造紙に書き出してもらった。

その作業は2時間に渡って続けられ、やがて模造紙は壁に張り出された。作業が終了したところで、互いに相手と部屋を入れ替わり、どんなものでもいいから共通点を見つけるようにと指示された。

誰もが驚き、感動した理由…

まもなく両方のグループが研修室に戻ってきた。皆驚き、感動していた。リストに書き出された将来像はまったく同じだったのだ。どちらも収益性が高く、地元に貢献できる企業になることを理想としていた。相手に揚げ足を取られる心配はいったん忘れて自由に話し合いをするように指示されると、全員が自分の想いを語り出した。

この経験は、どれほど相手を色眼鏡で見てきたかを真剣に反省するきっかけとなった。双方が相手への親近感を抱くようになっただけでなく、相手側の姑息な政治的策略が、実は自分たちの策略とそっくりであることにも気付き始めた。

自分と相手の「共通の目的」は何か?

相手の犯した「罪」が自分たちのものと違うのは、人格的な問題のせいでなく、相手が担う役割によるものだったと理解した。こうして両者はお互いに敬意を持って対応できるようになり、経営陣と組合側の何十年も続いた冷戦が終わり、協力的な話し合いをスタートすることができたのである。

(※引用元『ダイアローグ・スマート』:幻冬舎ルネッサンス)

さて、いかがだろうか?このように考えると、相手がどれほど自分と違っていても、共通の目的を見つけ出して、相互に敬意を示すことが可能であることもわかる。人は「自分は間違っていない」と思いたがる生き物だが、そうしたエゴに流されることなく、相手の立場を理解することで物事が上手く運ぶことはたくさんあるのだ。

「Win-Winの関係」なんて非現実的?

よく「Win-Winの関係」という言葉を耳にするが、それは決して非現実的な話ではない。どんな状況においても、その可能性を探ることが大切だ。それは何も、このような経営陣と労働組合の関係といった会社組織の話に限らず、日常の中でも相手と「Win-Winの関係」を築く機会はいくらでもある。

同僚や上司との関係、夫婦や親子の関係、友達との関係…人生の様々な場面で、お互いの気分がよくなるように「交渉」する機会はたくさんある。そしてこれは、僕らセールスに関わる人間にとっても、非常に大切なことではないだろうか。

商談で絶対にしてはいけないこと

たとえば、商談で値引き交渉になったりすると、多くの人は「いかにして自分の取り分を増やすか?」ということばかりを考えてしまいがちだ。そのために、巧みな話術を駆使して、値段を釣り上げようとしたり、あるいは買い叩いたりする人もいるし、時には相手を口撃したり脅したりする人だって少なくない。

しかし、こうした方法を続けている限り、目の前の見込み客や取引先といい関係を続けていくことはできない。当然ながら、知り合いを紹介をしてもらえることもない。というのも、これは言ってみれば、相手を「心理操作」しようとしているようなものだからだ。そして、心理学者のポール・スウェッツ博士はこう言っている。

「心理操作は、相手への協力ではなく支配を目指している。これは、自分が勝って相手が負ける状況をつくり出す。なぜなら、相手の利益を全く考慮していないからだ。一方で、説得はそれと正反対である。心理操作をする人と違い、説得をする人は相手の自尊心を高めるように配慮するから、人々は喜んで動いてくれる」

言い換えると、「説得」が相手の役に立つことを目指しているのに対して、「心理操作」は相手を傷付けることを目指しているわけだ。意図的にやっているかどうかは別にして、心理操作をする人が自分の利益だけにもとづいて行動しているのは確かだろう。ですから、そのために相手が苦しむ羽目になっても気にしないのだ。

「説得は善、心理操作は悪である」

これは、実際にボブ・バーグが明言していることだ。残念なことに、心理操作をする人は気付いていないが、これはビジネスに限らず、人生の習慣としてもよくない。心理操作をする人は、部下を持っていてもチームを作ることができない。顧客を持っていても、いい関係を維持できないし、知り合いを紹介してもらえることもない。

セールスにおける普遍の法則を思い出してほしい。「他の条件が全て同じなら、人は知っていて、気に入っていて、信頼している人に仕事や紹介を回す」のだ。心理操作をしていることがバレたら、顧客はあなたに不信感を抱き、すぐにでも去っていくだろう。それから、家族や友人を持っていても、幸せで充実感に満ちた関係を築くことができない。結果として、いずれ疑念と反感に満ちた関係に陥ってしまう。

相手の気分をよくすること

商談においても、日常の様々なコミュニケーションにおいても…僕らが「Win-Winの関係」を築くために必要なのは、まずは相手の気分をよくすることだ。そのために、相手をリスペクトし、敬意を示すことだ。それを実際の「行動」で示し続ければ、セールスはもちろん人生において、あらゆる問題を解決することに繋がることになる。

PS
ちなみにボブは「人生の成功は対人関係が9割」と言っている。

PPS
ボブがこれまでWin-Winの関係を築くために実行してきたアイデアの数々を、近日中にあなたに案内できると思うので、ぜひ楽しみにしていてほしい。

 

 

 

この記事の執筆者

安永 周平 Shuhei Yasunaga

1982年生まれ。福岡県出身。九州大学工学部卒(修士)。『THE GO-GIVER』日本公式サイトの運営責任者。

 

愛知県の自動車メーカーで4年間エンジニアとして勤めた後、ダイレクト出版へ入社してセールス&マーケティングの仕事に従事。3ヶ月後、グループ会社である経営科学出版の事業を任される。年商2億ほどで赤字だった事業部を1年で黒字化。1枚のセールスレターで2万人超の新規顧客を獲得した実績もあり、マネージャーとして事業部の年商7億円突破に貢献。

 

5年目に独立し、福岡で寿コミュニケーションズ株式会社を設立。現在、建設業を含む2社の経営に携わり営業チームの強化に当たる。ボブ・バーグの日本における独占ライセンシーとなり、当サイト『THE GO-GIVER』を通じて、紹介営業に関する教育事業を展開中。福岡在住。

 

 

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ログカテゴリー一覧

 

筆者一覧

ボブ・バーグ

『THE GO-GIVER』著者
人材開発会社バーグ・コミュニケーションズ代表
経営コンサルタント

 

安永 周平

『THE GO-GIVER』公式サイト運営責任者
寿コミュニケーションズ㈱ 代表取締役

 

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