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人間心理

2017/11/16(木)

成約率が45%もUPする順番

 

FROM 安永周平

時々、出張でホテルに泊まると、様々な環境活動への取り組みが見られます。たとえば、僕がよく利用する『スーパーホテル』では、ロハス&エコというコンセプトのもと、歯ブラシや割り箸を持参した場合にお菓子がもらえたり、翌日の「清掃不要」を申し出たらミネラルウォーターがもらえたりします。限られた環境を大切に、資源を少しでも未来のために残したい…こうした考えには、誰もが敬意を払うのではないでしょうか。

もちろん、環境保護につながるだけでなく、ホテル側にとっても経費や人件費の削減、あるいはそれによって浮いた資金を、別のサービスの拡充に回せる…など様々なメリットがあります。お客様に提供する価値を下げることなく、自分たちの利益も残し、それによって社会貢献する…こうした取り組みは、まさに「三方良し」だと言えるでしょう(近江商人の哲学ですね♪)。

どうすればお客様が動いてくれるか?

こうした素晴らしい取り組みが成功するかどうかは「いかにして多くのお客様に参加していただくか?」が重要となってきます。どんなに素晴らしい取り組みも、お客様を動かすことができなければ価値が生まれません。環境保護の効果もないのです。あなたがどんなに素晴らしい商品・サービスを扱っていても、買ってもらえなければ価値はゼロ…それと同じです。

ですから、ここでちょっと想像してみてください。あなたは、とあるホテルの総支配人で、宿泊客に「タオルの再利用」を促したいとしましょう。毎日新しいタオルに交換するのではなく、同じタオルを乾かして使ってもらうことで、節電・節水につながります。また、洗濯に必要な大量の洗剤が海に流れ出ることもないのです。そのために、宿泊客にこの取り組みに参加してもらわなければいけません。

宿泊客に呼びかけるカードに何と書く?

そこで、ホテルとしてはタオル再利用のお願いが書かれたカードをバスルームに置くことにしました。さて、あなたならそのカードに何と書きますか?

(実際に、少し考えてみてください…)

一般的なメッセージとしては「環境保護のため、タオルの再利用にご協力ください」と言ったものでしょう。しかし、人は難しいもので…これで上手くいくのなら誰も苦労はしませんよね(笑)。

そこで、すぐに思い付くのは、先の例にもあるように「見返り」を付けることです。多くの人は直感的に、見返りには効果があると考えます。子供たちに部屋の掃除をさせるのにアイスクリームは効果抜群ですし、上手にご褒美を与えれば老犬だって新しい芸を覚えるものですから。

「見返り」を提示したメッセージ

ところが、実際にあるホテルで実験を行ったところ、見返りにはあまり効果がないことがわかりました。そのホテルがカードに書いたのは「あなたがタオルを再利用してくれたら、ホテルはそれによって節約された金額の一部を環境保護団体に寄付します」というものでした。この場合は、先のお菓子やミネラルウォーターのように、直接自分が何か貰えるわけではありませんが、自分が環境保護に協力しているという満足感・充足感が得られます。

実験では、一般的なメッセージを書いたカードと、こうした見返りを提示したカードを別々の客室に置いてみたのです。見返りに効果があるのなら、後者の方がタオルを再利用してくれる人が増えるはずですが…意外なことに、両者の効果にはほとんど差がありませんでした。いったい、なぜこうなったのでしょうか?

見返りに人を動かす力はない?

実は『影響力の武器』の著者であるロバート・チャルディーニ博士によれば、見返りにもそれなりの効果はあるのですが、一般的なメッセージより強い説得力を持たせるには、もう少し工夫が必要なのだと言います。

たとえば、誰かが「あなたが私に先に何かをしてくれたら」という条件付きで「◯◯してあげます」という見返りを提案してきた場合、あなたがそれに協力する義理はほとんどないと思いませんか?これは、お金を払ってくれたら、この商品をあげます…という商取引と変わりません。これでは、大した効果は見込めないのです。

しかし、返報性の原理が働くと…

ところが、あなたが既に相手から恩恵を受けている場合は、それに報いなければいけない…という『返報性の原理』が働いて、非常に強い恩義の感覚が生まれます。だとしたら、ホテル側が先に何かをすることで、宿泊客がそれに報いてくれることになるはずです。

つまり、順番が逆なのです。ホテル側は、まず自分たちが無条件で先に寄付を行い、その後で宿泊客にタオル再利用のお願いをするべきなのです。具体的にカードに書くのは、たとえば「当ホテルはお客様に代わって、すでに環境保護団体に寄付をしております。」というメッセージです。その上で、滞在中にタオルを再利用して、この行為に報いてくれないかと宿泊客にお願いするのです。

先に与えることで効果は45%UP

驚いたことに、実験では、返報性に基づき先に与えることを示したメッセージは、見返りに基づいたメッセージに比べて45%も高い効果がありました。2つのメッセージは、内容としてはほとんど同じことを言っています。しかし、順番が違うだけで、効果や本質までも全く違うものになるのです。

要するに、同僚、顧客、生徒、知り合い…などなど、誰かに協力を促し、動いてもらうためには、まずこちらが無条件で手助けを申し出なくてはならないのです。つまり、『GIVER』であることが必要とされるわけですね。

「強固な信頼」で長続きする関係…

それに、見返りに基づいた脆弱な関係よりも、強固な信頼・相互理解に基づいた関係を築くことができます。そして、ご存知の通り、そうした関係は長続きします。常に自分への見返り(TAKE)を条件とした関係と、先に与えること(GIVE)で相手に協力的に動いてもらえる関係…さて、あなたはどちらを望むでしょうか?

PS
与えることが大事。きっとあなたもそう思っているでしょう。ただ「現実はそうもいかないんだよ」と思うことがあるなら、言葉の意味を間違えているだけかもしれませんよ。

『GIVERとして成功するための5つの法則』とは?

 

 

 

この記事の執筆者

安永 周平 Shuhei Yasunaga

1982年生まれ。福岡県出身。九州大学工学部卒(修士)。『THE GO-GIVER』日本公式サイトの運営責任者。

 

トヨタ自動車で4年間、生産技術のエンジニアとして勤めた後、ダイレクト出版へ入社してセールス&マーケティングの仕事に従事。3ヶ月後、グループ会社である経営科学出版の事業を任される。年商2億ほどで赤字だった事業部を1年で黒字化。1枚のセールスレターで2万人超の新規顧客を獲得した実績もあり、マネージャーとして事業部の年商7億円突破に貢献。

 

5年目に独立し、福岡で寿コミュニケーションズ株式会社を設立。現在、建設業を含む2社の経営に携わり営業チームの強化に当たる。ボブ・バーグの日本における独占ライセンシーとなり、当サイト『THE GO-GIVER』を通じて、営業、士業、中小零細企業の社長に役立つ教育事業を展開中。福岡在住。

 

 

 

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ログカテゴリー一覧

 

筆者一覧

ボブ・バーグ

『THE GO-GIVER』著者
人材開発会社バーグ・コミュニケーションズ代表
経営コンサルタント

 

安永 周平

『THE GO-GIVER』公式サイト運営責任者
寿コミュニケーションズ㈱ 代表取締役

 

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