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交渉術

2019/05/20(月)

いいからさっさと謝れ!

 

FROM 安永周平

最近、色んな人を見ていて思うことがあります。それは、人望がある人は自分が間違っていたら潔く謝罪するということ。そして、自信がない人ほど「自分は間違ってない」と自分の非を認めることを避けます。謝ると「自分の権威に傷がつく」とか「立場が不利になる」とか思っているのでしょうけど…こうした行動は余計に信頼を失くします。

この謝罪について、分かりやすい例として、デューク大学で心理学と行動経済学を専門とするダン・アリエリー教授は、著書『不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」』の中でこんな実験を紹介しています。

実験:謝罪しないことの代償

ある実験で、5ドルの報酬で簡単な作業をしてくれる人を募集しました。ただ、その目的は作業を手伝ってもらうことではなく、依頼人に対する作業者の態度を調べることにありました。具体的に何をしたかと言うと、作業終了後に、わざと約束より多い金額の報酬を手渡して、差額をちゃっかり懐に入れてしまえるような環境を作ったのです。そして、実験は2つのグループに分けて行われました。

1つ目のグループでは、依頼者が作業内容について説明し、作業が終了してから報酬を支払いました。そして、もう1つのグループでは、作業内容を説明している時に依頼者に着信があって電話に出たため、話がいったん中断されました。依頼者はその場で作業とは関係のない話を電話口でした後、謝罪することなく説明を再開しました。作業終了後に報酬を支払う設定は、1つ目のグループと同じでした。

謝罪をしない人は不正な対応をされる

依頼者が電話に出た時間はたったの12秒でした。しかし、謝罪をしないという無礼な態度が作業者の心情に影響したのでしょう。結果として、わざと多く支払われた報酬を返すかどうかが変わりました。1つ目の説明が普通に済んだグループは、作業者の45%が間違いを指摘して差額を返しました。しかし、着信に邪魔されたグループでは、14%の人しか差額を返さなかったのです。

たった十数秒の対応の差で、正直な作業者の割合が3分の1になってしまったということです。先のアリエリー教授は「人に対する無礼は復讐心を煽る」と言っています。つまり、失礼な扱いを受けたのだから、仕返しする権利がある…という理屈ですね。この実験では、多すぎた報酬を返さないことが仕返しになるわけです。

人間の復讐心を甘く見てはいけない

こうした心情は、私たちの社会で色んな行為として現れます。顧客がクレームを言ってくることもあるでしょうし、それに対して感情的になって無礼な態度で応戦してしまうこともあるでしょう。また、Amazonのレビューで誹謗中傷をする人もいれば、Twitterの投稿にネガティブなコメントを書き込む人だっているわけです。相手を軽視した行動による報復行為は、いたるところで起こりうるのです。

特に最近では、飲食店のアルバイトが顧客の不利益になる行動をSNSにアップして炎上したりしていますよね。そして、顧客となりうる人たちがそうした企業を攻撃するだけの手段を持っていれば、それを行うだけのモチベーションを持っていれば、ちょっとした知り合いの域をはるかに超えた社会的な大問題になってしまう可能性もあるわけです。

謝罪を恐れてはいけない

ちなみに、先ほどの実験には続きがあります。3つ目のグループに、もう1つの設定を加えて実験を行いました。何かと言うと、依頼者に着信があって通話を終えた後、すぐに謝るのです。その結果、何が起こったでしょうか? 謝罪を受けた作業者たちが差額を返金した割合は、もともと電話の邪魔が入らずに普通に説明が終わったグループと同じだったのです。すぐに謝ったことで、無礼な行為がチャラになったというわけです。

このことから僕らが学ぶべきは何でしょうか?既にあなたもお察しのとおり「心からの謝罪は相手の怒りを鎮める効果が大きい」ということです。顧客が相手でも、部下や上司が相手でも、家族に対しても同じです。「謝罪すると罪を認めたことになる」と考えて躊躇する会社や従業員が少なくありませんが、それは果たして本当に賢明な選択でしょうか?

謝罪のパワーを活用しよう

謝罪もせずに「大した問題ではない」という態度を示す方が、事態が深刻化する可能性は高くなるでしょう。相手は「戦ってやる」「復讐してやる」という歪んだ情熱が湧いて、訴訟を起こしたりクレーム動画を投稿したり…といった行動にでる確率が高くなるはずです。

むしろ、僕らは「謝罪のパワー」というものを認識し、相手の気分をよくしながら気持ちよく動いてもらう状況をつくる方が賢明ではないでしょうか? その方が、お互いにとっていい結果になるかと個人的には思うのですが…あなたはどう思いますか?

PS
「相手が聞く耳を持たない」と悩んでいるなら、もしかすると謝罪をするだけで結果は180度変わるかもしれません。あるいは、謝罪以外のアイデアが役に立つかもしれませんね。

ボブ・バーグに学ぶ「人に動いてもらう技術」とは?

 

 

 

この記事の執筆者

安永 周平 Shuhei Yasunaga

1982年生まれ。福岡県出身。九州大学工学部卒(修士)。『THE GO-GIVER』日本公式サイトの運営責任者。

 

トヨタ自動車で4年間、生産技術のエンジニアとして勤めた後、ダイレクト出版へ入社してセールス&マーケティングの仕事に従事。3ヶ月後、グループ会社である経営科学出版の事業を任される。年商2億ほどで赤字だった事業部を1年で黒字化。1枚のセールスレターで2万人超の新規顧客を獲得した実績もあり、マネージャーとして事業部の年商7億円突破に貢献。

 

5年目に独立し、福岡で寿コミュニケーションズ株式会社を設立。現在、建設業を含む2社の経営に携わり営業チームの強化に当たる。ボブ・バーグの日本における独占ライセンシーとなり、当サイト『THE GO-GIVER』を通じて、営業、士業、中小零細企業の社長に役立つ教育事業を展開中。福岡在住。

 

 

 

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ログカテゴリー一覧

 

筆者一覧

ボブ・バーグ

『THE GO-GIVER』著者
人材開発会社バーグ・コミュニケーションズ代表
経営コンサルタント

 

安永 周平

『THE GO-GIVER』公式サイト運営責任者
寿コミュニケーションズ㈱ 代表取締役

 

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