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インタビュー記事

2020/02/19(水)

企業の「東京→福岡進出」が失敗する理由 / 株式会社カムラック 賀村研様:後半

 

From 安永周平

新たに知り合った人が喜んで紹介・宣伝してくれる株式会社カムラックの賀村研さん(前回の記事参照)。しかし、創業当初から上手くいっていたわけではありません。今回の後半の記事では、最近出版された著書『中小企業、個人事業主だからこそできる!事業と未来を育てる、つながりの営業術 ~地方でIT×障害者支援事業を起業して100人のチームを作った現場に学ぶ、今日からできる小さな工夫~』の内容から、営業面で見習うべきポイントを3つ紹介させていただきます。

①”訪問してもらう”営業スタイル

今でこそ、人とのつながり・紹介によって指名される会社であるカムラックさんですが、創業当初は危機に陥っていたそうです。というのも、創業当初は「自分以外に営業のできる人がいない」かつ「社員は仕事に慣れておらず、とても自分が外出できるような状況じゃない」という状況だったのだとか。この危機を打破するために、賀村さんが考えて実践した方法がとてもユニークで面白いのです。

人は3回会うと、その人に興味を持つ

そんな状況の中で、以前どこかで「3回会った相手は、知らない人から興味のある人に変わる」という話を聞いたのを思い出したそうなんですね。ポイントはこの3という数字で「カムラックを3回訪問するとご利益がある」というジンクスを作れないかと考えました。そして、開業祝いにもらったクリスタルの鶴の置物を活用して「これに触ると幸運が訪れるよ」と親しい人に吹聴して回ったそうです(笑)

これ、もちろん嘘なんですけど…個人的にいいなぁと思いました。だってこの嘘、誰も不幸にならないじゃないですか。むしろちょっと幸せな気分になる嘘です。また、ここで終わらずに「仕組み」をつくったのが凄いんですよね。なんと、この嘘にかこつけて名刺の裏にスタンプ欄を3つ作り、名刺交換後にカムラックを訪問して鶴を触った人には、1個ずつスタンプを押していったそうです。スタンプラリー方式です。

アイデアだけでなく「仕組み」を作る

そして「スタンプが3つ貯まったら、その名刺はお守りになるよ」とまた触れ込む…と(笑) こうなると、賀村さんの名刺はゴミ箱行きになりません。スタンプが貯まった頃にはお互いのことを十分に理解し、信頼関係も出来上がっているでしょう。このようにして、自分が訪問しなくても”自社に訪問してもらえる”営業スタイルを確立していったのだと。

これ以外にも、SNS映えする撮影スポットを社内に作ったり、新しいものをオフィスに導入したりして「お客さんが訪問したくなる理由」を作っていたのだと言います。どうでしょう。あなたの会社や仕事でも真似できることないでしょうか?お客様の方から訪問してもらえる会社、そしてお客さんが楽しんでもらえる会社…これはとてもいいWin-Winの事例じゃないかと思いました。

②営業マンが福岡で陥る病とは?

これはぜひ、福岡(をはじめとした地方都市)で営業する人に知ってほしい話です。というのも、日本は島国で国土面積もそれほど大きくありません。方言がきつい地域もあるとはいえ、国内なら基本的にどこでも日本語が通じます。文化の差も海外と比べれば大きくありません。そのため、見過ごされがちなのが「地域性」です。特に東京で営業経験を積んだ人ほど注意が必要だと言います。

たとえば、東京では「大企業に採用された」ということを謳い文句にするだけで、多くの企業から受注を集められます。というのも、東京の中小企業は大企業と肩を並べようと必死です。目標とする会社と同じものを使っている…というステータスに魅力を感じてもらえるため、有効なアピールポイントになるわけです。

東京→福岡に進出する企業が犯す間違い

ですから、東京から福岡に進出してきた多くの企業は、最初に地元の大手企業へアプローチをかけます。九州・福岡なら九州電力やJR九州…こうした年商1000億円以上の企業ですね。こうした地元の大企業への導入実績が作れると、多くの人は「これで九州制覇は間違いない!」と思い込んでしまうとのこと。

ところが、現実にはその後、全く売れていない…というケースがたくさんあります。賀村さんはこの現象を「勝手に九州制覇しちゃった病」と呼んでいるとのこと(笑) いったいなぜ、このような病気にかかってしまうのでしょうか? それは、彼らが”地元の中小企業の感覚”を理解していないからなのだと。これについて、福岡を例にとって考えてみましょう。

“大企業が使うサービス”なんて要らない?

福岡は、年商10億円規模の会社が最も多い土地です。物価もそれほど高くないので、必死に会社に規模を大きくしなくても、そこそこ食べていくことができます。東京と違って家も車も買えますし、特に不自由なく暮らせます。会社を経営している人だって、必ずしも大金持ちだとは限りません。どちらかというと、金銭感覚は庶民的な人が多いのです。

繰り返しますが、東京をはじめ、よそからやってきた人たちは「地元の大企業に採用されたものなら、きっと誰もがいいものだと思って使ってくれるに違いない」と考えています。一方で、地元の中小企業にしてみれば「事業規模が2ケタも違う大企業が使っているものなんて自分たちには分不相応だ」と感じてしまいます。

地方都市で営業する際に大切なこと

こうなると、問題は価格ではありません。価格が1万円だろうが千円だろうが大企業で使っているという事実が、逆に自分たちの身の丈に合わないものだという考えを生み、尻込みしてしまうのです。これは、福岡を拠点としている僕自身も大いに納得しました。何となく感じていた構図を、賀村さんが上手く言語化してくれた気分です。

地方にはそれぞれ独特の文化があり、その土地の金銭感覚にも独自のものがあります。大企業への導入実績がかえって足かせになっている…その事実に気付けないと、結局は”九州から撤退”という結果になるのです。同じ商品であっても、販売する相手が異なればアプローチの仕方を変えなければいけません。もし福岡・九州の攻略法を知りたければ、ぜひ著書を手にとって見てくださいね♪

③困った時ほど誰かを応援する

さて、3つ目はこのメルマガを読んでいる人にとって大切な話です。賀村さんの著書の中で、心がけていることの1つとして「信用・信頼する相手には、自分のメリットに関係なく、その人にとって有益だと思う情報を提供する」というものがありました。賀村さんのように「紹介したい人がいるんだけど、いつなら時間ある?」という声が多く掛かる人が、こうしたGIVEの習慣を持っているのがとても興味深いですよね。

で、この話について詳しく聴いていたところ、面白いなと思ったのが「困った時ほど誰かを応援してきた」という話です。自分や会社が困っている時ほど、他の会社を応援、宣伝してきたのだと言います。普通に考えると、自社が困っているなら、他の会社の宣伝してる場合じゃないのでは?と思ってしまいますよね。ただ、それが結果として上手くいったのを、経験から実感しているそうです。

自分のためにやると”やらされ感”が出る?

これはちょっと伝わりづらいかもしれませんが、賀村さん曰く、自分のためにやるときって、変な話だけど、逆に”やらされ感”があったり、やるべきことが宿題のように感じたり、甘えが出たりするそうです。一方で、人のためにやる時って、自分の行動に”大義名分”があるから、思いっ切りできるのだと。そして、自然と行動に移せるのだそうです。

僕も最初は「?」と思ったんですが、よくよく話を聴いていて分かりました。自分のためにやる時って、それがダメになっても損するのは自分だけ。でも、誰かのためにやる時って、自分がやらなかったらその人に迷惑がかかったり、助けられなかったりする…これはモチベーションの差にもなり得ると思ったのです。

誰かを応援するほど上手くいく

意図的かどうかは別として、賀村さんは困った時ほど誰かを応援してきました。その結果として、自分の会社もよくなってきたと。実際、カムラックさんは広告費をかけた宣伝活動はしていません。宣伝依頼もしないし、インセンティブを払ったりすることもないそうです。それなのに現在、東京の会社からの受注が増えていて、全体の7割くらいにまでなっているのだとか。これ本当に凄いですよね。

思いもよらないところから声が掛かる…それが現実に起こるようになって初めて、自分の知らないところでカムラックの話をしてくれる人がたくさんいることに気付いたそうです。この記事でもそうかもしれませんが、どこからかカムラックの噂を聞きつけて、興味を持ってくださる方が今日も増え続けているのではないでしょうか。

インタビューの最後に質問

僕はインタビューの中でよくする質問があります。何かというと「自分の仕事ぶりを人に評価されるなら、どんなひと言が嬉しいですか?」というもの。なぜこの質問をするかというと、その人の大切にしている価値観・人生観が分かるからです。そして賀村さん、少し考えてから「…社員が楽しそう、って言われることですかね」と答えてくれました。

この答えに、僕は仕事への一貫性を感じました。社員が楽しそうにしているから、カムラックさんと仕事をしたい…そんな「指名される会社になりたい」というのが最初から最後まで伝わってきたからです。そして、改めて社会の課題を解決する会社であり、応援したくなる会社だと思いました。最後に、著書の中で僕が印象に残った言葉を紹介して終わりたいと思います。

「社会にどんな価値を提供できるのか?」

「これからの時代は、自分たちの会社を利用してもらうことで、お客様が得られる副次的価値も求められるようになると思います。会社が社会にどんな価値を提供できるのか、そういった課題にも積極的に取り組んでいかないと、世間からそっぽを向かれてしまう時代に突入していく気がします。ビジネスとはお金を循環させて、世の中をよくする仕組みです。ビジネスは人を幸せにするものでなければなりません。儲けることの先に実現したい社会の姿があるべきです」

本当にそう思います。個人的には”ビジネスでしか”世の中はよくならないと思っています。社会により大きな価値を与える人や会社は、自分たちも恩恵を受けられて幸せになる…そんな会社を僕らも目指したいと思える話でした。賀村さん、お忙しいところインタビューにご協力いただきましてありがとうございました。

PS
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この記事の執筆者

安永 周平 Shuhei Yasunaga

1982年生まれ。福岡県出身。九州大学工学部卒(修士)。『THE GO-GIVER』日本公式サイトの運営責任者。

 

トヨタ自動車で4年間、生産技術のエンジニアとして勤めた後、ダイレクト出版へ入社してセールス&マーケティングの仕事に従事。3ヶ月後、グループ会社である経営科学出版の事業を任される。年商2億ほどで赤字だった事業部を1年で黒字化。1枚のセールスレターで2万人超の新規顧客を獲得した実績もあり、マネージャーとして事業部の年商7億円突破に貢献。

 

5年目に独立し、福岡で寿コミュニケーションズ株式会社を設立。現在、建設業を含む2社の経営に携わり営業チームの強化に当たる。ボブ・バーグの日本における独占ライセンシーとなり、当サイト『THE GO-GIVER』を通じて、営業、士業、中小零細企業の社長に役立つ教育事業を展開中。福岡在住。

 

 

 

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筆者一覧

ボブ・バーグ

『THE GO-GIVER』著者
人材開発会社バーグ・コミュニケーションズ代表
経営コンサルタント

 

安永 周平

『THE GO-GIVER』公式サイト運営責任者
寿コミュニケーションズ㈱ 代表取締役

 

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