残念なクリーニング屋さん

FROM ボブ・バーグ

私の住んでいる町に、あるクリーニング屋がある。社長も社員も素敵な人たちで、いい仕事をしようとしているのはよくわかる。しかし、残念ながらその努力は実を結んでいないようだ。

私は彼らと知り合いだし、気に入っているし、信頼している。要するに、ほとんど何でも任せて大丈夫だと思っている。しかし、肝心のスーツのクリーニングだけは頼む気にならない。正直、彼らがクリーニング屋の仕事を選んだことは、間違いじゃないかと思っている。

というのも、彼らは過去に、私のお気に入りのスーツ3着をダメにしかけた。それに、客の要望を聴くという発想もないようだ。「シャツにかける糊はごく軽めで」とお願いしたのに、私が取りに行くと糊でガチガチで、まるでシャツが立って歩いてきているように見えたくらいだ。

しばらくして、私はもう彼らにクリーニングを頼まなくなった。自分もそうだし、知り合いに薦めようとも思わなくなった。私の彼らに対する印象は悪くないのに、それが活かされていなかった。

もし、彼らのクリーニングの仕事の出来がよければ、今でも私は頼んでいただろうし、知人に紹介してもいただろう。そしてその紹介が、さらに無数の紹介を呼び込んでいたかもしれない。しかし、彼らのクリーニングの仕事はヒドくて、それは実現しなかった。

注意!力がなければ話にならない

覚えておいてほしい。ネットワーキングの黄金律は、「他の条件が全て同じ」なら、人は知っていて、気に入っていて、信頼している相手に仕事や紹介を回す。ただ、逆に言えば、条件が全て同じでは「ない」なら…つまり品質や価格に差があれば、相手の心を掴んだところで意味はないし、仕事や紹介をもらうにはいたらないということだ。

あなたが、相手にどれだけ知られ、気に入られ、信頼されていようとも…仕事や紹介をもらうためには「実力」を認められていなくてはいけない。力がなければならない。それができなければ、その仕事はおろか、相手の勢力圏にいる250人分の人脈も失うことになる。

ティム・サンダースは名著『デキる人の法則』の中で、「仕事を獲得できたとしても、ものを言うのは、やはりその中身だ」と指摘している。つまり、人脈は仕事をもらうキッカケにはなるが、その期待に応える実力がなくてはどうしようもない。

人脈は実力が伴ってこそ活きる

あなたが営業マンなら、「問題は何を知っているかじゃない、誰を知っているかだ。」という言葉を聞いたことがあるのではないだろうか。おそらくあなたが駆け出しの頃、マッチョなタイプの年配営業マンが、ドヤ顔で誇らしげに、自らの武勇伝とともに口にしたに違いない。

もちろん、誰を知っているかは大切だ。ただ、紹介で仕事をもらったら、あなたは必ず「いい仕事」をしなければならない。あなたは、見込み客、お客さんにとって「頼れる相談役」でなければならないのだ。そうでなければ、その顧客は2度とあなたに仕事を頼まなくなるだろう。

誰を知っているかは大切だ。しかし…

繰り返しになるが、それは同時に、その顧客の知り合いである250人を紹介してもらうチャンスを失うことを意味する。そして、悪い噂ほど速く広まるものはない。そして、その評価は巡り巡って、その顧客を紹介してくれた、あなたの知り合いに伝わることもある。そうなれば当然、彼のネットワークから、あなたの名前が消えるのもやむを得ないだろう。

多くの場合、誰を知っているかは非常に大切だ。ただ、それが全てではない。知識だけでは足りない、人脈だけでも足りない。人脈と仕事の能力の両方を兼ね備えていることが大切になる。ただし、そこには2つの前提がある。1つは、相手やその知り合いが、あなたの商品・サービスを求めていること。もう1つは、相手があなたのことを知っていて、気に入っていて、信頼していることだ。

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この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。