名刺は何の役に立つのか?

FROM ボブ・バーグ

「人脈作り」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、出会った人に手当たり次第に名刺を渡してまわる行為だろう。そして多くの場合、名刺を強引に押しつけながら口にするのは、「何かあればご連絡ください。一緒に仕事をしましょう。」とか「○○が必要な時は、ぜひうちにご連絡ください。」といった台詞だ。

これはネットワーキングではない。ただの押し売りであって、ネットワーキングとは似ても似つかない。さしあたり、名刺のことは忘れてほしい。ただ、完全に頭から消し去ってもらっても困る。名刺にも、小さいとはいえ役割がある。私の見たところ、名刺にはおもに3つの利点がある。

利点①:何かをもらえる

1つ目は、効果はあるかもしれないが、大したことのない利点だ。時々、レストランに置いてあるケースに名刺を入れておくと、無料のランチが当たったりする。あるいは組合の会合、セミナーや講座などで、入口にあるボックスに名刺を入れておくと、最後に抽選で名刺が1枚選ばれ、当選者に本やオーディオ教材が当たることもある。もしかすると、あなたも当選できるかもしれない。

利点②:新規見込み客が獲得できる(かもしれない)

2つ目の利点はもう少し大きい。職業次第ではあるが、料金の支払い等に名刺を添えて渡すと、もらった相手があなたの見込み客になることがあるかもしれない。電気、ガス、水道、電話、住宅ローン…誰でも支払いは毎月必ずやってくる。つまり、あなたがお金を支払う相手もまた、何かしらお金を支払っている。

もし、あなたの売っている商品やサービスが、誰でも(面識のない相手でも)必要とする一般的なものなら、支払い時に名刺を添えるようにしておくのは1つの手だ。もちろん、結果がどうなるかは運に任せるしかない。ただ、その相手、あるいはその知り合いの誰かがあなたの商品を必要としている可能性はゼロとは言い切れない。実際、『営業の魔術』で有名なトム・ホプキンスは、著書の中でこの方法を取り挙げている。

不動産会社で働き始めたころ、ホプキンスは色んな料金の支払いに、名刺を添えるようにしていたそうだ。するとある日、見知らぬ女性から電話がかかってきた。「ホプキンスさん、いきなり電話してすみません。でも夫と私はもう少し大きな家がほしくて、それでご相談しようと思ったんです」と。ホプキンスは、もちろん喜んでご相談に乗らせていただきますと言った後、どうやって自分のことを知ったか尋ねた。すると女性はこう答えた。

「ガス会社であなたのお宅を受け持っているんです。デスクの引き出しには、もう20枚以上もあなたの名刺がたまっていますよ」と。女性には、他に思い当たる不動産業者はいなかったらしい。きっと、2人の家探しでホプキンスが得た仲介料は、20枚分どころか一生分の名刺を作ってもお釣りがくるほどだったに違いない。

ただ、当然こんなことはそうそうあるわけではない。それでも、人生で1回でも起これば、作戦は大成功だ。実際、名刺を作る費用なんてたかがしれているのだから、事あるごとに添えてみたっていいではないか。失うものは何もないのだ。

利点③:他の人の名刺がもらえる

3つ目の利点はかなり重要で、名刺を渡すと、お返しに向こうからも名刺をもらえることが多い。私の見る限り、本当に価値のある名刺の利点はこれだけだ。相手の名刺をもらうことはとても大切だ。詳しい活用の仕方については、また別の機会に説明することにしよう。

以上。私は名刺をあまり重視していないが、それでも「何かが書かれた厚紙」以上の価値は十分にあると思っているし、正しく使えば、本当に役立つものに成り得ると思う。現に、トム・ホプキンス、ジョー・ジラードをはじめ、多くの名刺の信奉者がビジネスツールとして効果的に活用しているのだから。

ただ、私が言いたいのは「名刺自体が、私たちに成功をもたらすわけではない」ということだ。あくまで名刺は、私たちが相手に知ってもらい、気に入ってもらい、信頼してもらっている…という前提があって、その延長線上で効果を発揮するものだからだ。

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この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。