「見返り」が関係を台無しに

FROM ボブ・バーグ

スポーツの試合や人間関係、ビジネスにルールがあるように「ネットワーキング(人脈作り)」にもルールと手順、そしてエチケットがある。「何をすべきか」を知ると同時に、「何をすべきでないか」を知ることも成功を大きく左右する。ネットワーキングのルールは多くはないが、いくつかは確実に守らねばならない。それを怠れば、効果的なネットワーキングを通して築き上げてきたすばらしい環境が崩れ落ちるリスクに晒される。今日はそのうちの1つを紹介しよう。

すぐに「見返り」を求めてはいけない

誰かに何かを与えたときや、何かをしてあげた時は、すぐに見返りを期待したり、求めたりしてはいけない。もっと言えば、見返りはいつ何時も、どんな形でも期待してはいけない。『THE GO-GIVER』の話を思い出してほしい。ギバー(GIVER)になることがどれだけ大切かという話を憶えているだろうか。多くを与えるほど、多くを得られるのだ。その流れを信じよう。決して自ら求めてはいけない。

相手が最も腹を立てる行為

何かをしてもらった後で、「さあ、そっちは何をしてくれるの?」とほのめかされる(実際に言われる場合もある)ほど、腹立たしいものはない。それはネットワーキングではない。駆け引きだ。誰が誰にどれだけ借りがあるかを計算しているにすぎない。

相手に見返りを求めたり、恩着せがましい態度を取ったりしていては、相手の反感を買うだけだ。例えば、誰かに紹介を回した、貴重なアドバイスをした、相手の息子や娘に地元のサンドイッチ屋での放課後のアルバイトを紹介したからといって、その後、あからさまに恩着せがましい態度を取ったら、Win-Winの関係は壊れてしまう。「タダでは何もしないぞ!」と大声で訴えているだけになってしまう。

腹が立った営業マン時代の話

思い出すのは、営業をしていたころの出来事だ。私は、必要な商品を見つけられずに困っている、ある見込み客を手伝っていた。すると、知り合いの知り合いくらいの人物がいきなり現れ、どうやったら探しものを見つけられるか、頼んではいないがアドバイスをくれた。こちらから求めてはいなかったが、非常に助かったのは確かだった。

その日の遅く、その人物から電話があった。「アドバイスは役に立ったか?」と言うので、「もちろん」と答え、礼を言った。すると向こうは慇懃に「売れたら、アドバイスの手数料を期待しているよ」とほのめかしてきた。私は、本当に売れたらそうすると答え、それ以上は何も言わなかった。

本当を言うと、私はすごく腹を立てていた。その人物からは金輪際アドバイスなどもらうものか、関係を一切断ち切ってやると心に決めていた。わざわざ紹介料のことを口にしなければ、私は、そのうちお礼がしたいと思っていたし、むしろそうしなくてはいけないと自然に思えただろう。あなたは、私が「GIVE & TAKE」の関係をどう捉えているかわかっているはずだから、もちろん、この人物がこのあとどうなったかはわかるだろう。そう、この行為が繰り返し自分の身に跳ね返ってくるのだ。

相手に「貸し」を作るのはいい。しかし…

少し整理しよう。「見返りを求めてはいけない」というのは、やや言葉足らずだった。他人に「貸し」を作りたいと思うのは構わない。しかしその際は、「借りがある」と相手に思ってもらわなくては意味がない。

誰かに何かをしてあげるのは気持ちがいい。目標の達成を手助けし、大切に思っている気持ちを示すのはいいことだ。そのやり方なら、お互いに有益なWin-Winの関係を育める。相手はこちらに好感を持ち、意識的かはともかく、同等のものを返そうと懸命にがんばる。もしかしたら、返ってくるのは「同等」以上のものかもしれない。

しかし、貸しがあるという態度を「こちらから」取ることで、相手が恐怖心や劣等感を抱いてしまったら、その感情はやがて嫌悪感や怒りに変わる。そうなってしまうと、口先では協力したいと言っていても、本心では無視したいと思うもの。いや、無視ならまだいいほうで、最悪の場合、成功を邪魔したいとさえ思うようになりかねない。

「気不味さ」が原因なら注意が必要だ

時々、人に頼みごとをするとき、まるで話の継ぎ穂のように、お返しを口にする人がいる。確かに気味の悪いやり方だが、そんな言葉を耳にしたとき、気をつけなくてはならないことがある。それは、相手はただ頼みごとをするのが気不味くて、お返しの話をしているだけかもしれないという点だ。そんなときは、相手の心情を察してやることが大切になる。つまり、単なる防衛本能にすぎないということを理解してあげる必要があるのだ。

ある講演家仲間の男性が、私の役に立つだろうと考え、情報を送ってきてくれた時のこと。私はすぐさま彼に電話をして、お礼を伝えた。すると会話の中で、彼は、私の持っている情報が、自分にとってすごく有益だと気づいたようだった。ところが、その情報がほしいと言うだけで済むのに、彼は私にこう言ったのだ。「あのさ。この前、情報をやっただろ。だから今度は、この情報を僕にくれないか?」と。

もし、私が例の気不味さのメカニズムを理解していなかったら、きっと腹を立てていただろう。「けっ、あのときよくしてくれたのは、このためだったのかよ」と怒る人もいるだろう。ネットワーキングにはこういう側面もある。だから、常に注意深くあらねばならない。だからこそ、あなたは見返りを求めずにただ与えよう。そうすれば、普通は何らかの見返りがある。何度も、何度も、何度も。

PS
一生お客に困らないネットワーキングのやり方については、こちらを参考にしてほしい。

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この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。