営業人生を変える5つの問い

FROM ボブ・バーグ

私の父であり、師匠でもあるマイクバーグ。その父の師匠は、ユダヤ教の聖典『タルムード』に登場する聖人、シメオン・ベン・ゾーマだ。ベン・ゾーマの哲学は、存在や認識のさまざまな状態を論じるもので、4つの基本的な問いかけへの答えという形で表現される。父はこれに5つ目の問いを加えた。今日はその5つの問いかけを紹介しよう。

問い1:賢き者とは?

この問いへのベン・ゾーマの答えはこうだ。「他者から学ぶ者である」。いったいいくつの格言や名言が、これに類することを言っているだろう?例えば、「人には耳が2つあるが、口は1つしかない」。確かにそうだ。人がしゃべれるのは、既知の内容(あるいは知っていると思っている)だけ。置かれている状況がどうであれ、人は聞くことでしか今より賢くなれない。

医者を例に取ろう。具合の悪そうな人が医院を訪れた。そのとき、その医師が医療や人体についてどれだけの年月をかけて学び、膨大な知識を蓄えていたとしても、患者の問題の根を知る最も手っ取り早い方法は、本人から症状を「聞く」ことだ。それがわかってはじめて、知識を生かし、適切な治療法を導き出せる。

営業でも、ネットワーキングでも、人の話に熱心に耳を傾ける人は賢い。「どんな気持ちでしたか?」「どんな気分でしたか?」「なぜそう感じたんですか?」「プライベートやビジネスに生かせた部分はどこですか?」「生かせなかった部分は?」などなど。相手のニーズがわかれば、進むべき方向がわかる。

一方で、もしも医者が、症状も聞かずに診断を下し、処方箋を出したら、それは背任だ。同じように、私たちネットワーキングをする人間が「私は、相手が自分に何を望んでいるかも、何をしてあげるのがベストなのかもわかっている」と思い込んでしまったら、それも背任だ。だとしたら、営業マンが相手の本当のニーズを聞かずに製品やサービスを売ろうとしたら…やはりそれは、同じ罪になるのではないだろうか?

問い2:強き者とは?

自分の感情をコントロールし、敵を味方にできる者」とベン・ゾーマは言う。要するに、理性と自制心を持って悪い状況へ対処し、有利な方へ持っていこうという意味だ。例えば、とりたてて親しくもない、心を開いているわけでもない人と接したとき、その人を味方に変えるだけの強さや力を持っていたらどうなるか。普通、そうやって気持ちをつかんで仲間にできた人物は、最大の支持者になってくれる。

かつて、エイブラハム・リンカーンは言った。「私はこの人が好きじゃない。それなら、もっとよく知ってみよう」と。あなたの友人に、はじめは仲が悪かったという人は何人いるだろう?1人でも、2人でも、3人でも…大勢いても、その友情は、あなたにとってとりわけ実り多いもののはずだ。

もし1人もいないなら、「敵」を味方にすることを目標にしてみよう。まずは1人から。そしてどうなるか、成り行きを自分でよく確かめてほしい。一度その味を知ってしまったら、きっとやみつきになるはずだ。

問い3:豊かな者とは?

ベン・ゾーマいわく、「真に豊かな人間とは、自らの境遇を喜ぶ者である」のだそうだ。言い換えるなら、現状に感謝し、自分の人生やライフスタイルを本気で楽しめば、申し分のない、深みのある人間になれる。

もちろん、ほとんどの人はこの問いに対して「お金持ち」と答えるだろう。確かに、お金を持つのは悪い話ではない。しかしお金自体は、金銭的な余裕をもたらし、選択の幅を広げてくれるものにすぎない。真の豊かさは与えてくれない。ネットワーキングの文脈でこの答えを言い換えるなら、仲間1人1人との関係を楽しみ、彼らの存在をありがたく思おうということだ。たとえ、すぐには紹介をもらえなくても。

問い4:尊敬される者とは?

ベン・ゾーマは言う。「他者を尊重する人間である」。別の言い方をするなら、人の気持ちを明るくできる人は、自分も大事にされるということだ。ネットワーキングでは、新たに知り合う人間に対すて、好意や気遣いを持てば、相手も同じようにしてくれるという意味だ。そうすれば、相手もあなたを尊重する。

ここで実践的なエクササイズを紹介しよう。次回、仕事の集まりや社交パーティーに参加して、誰かに声をかけたときは、ひと言でいいから、必ず相手への褒め言葉を入れてみてほしい。そうやって声をかける全員を尊重して(最悪、自己紹介をし合うだけでもいい)いれば、あなたは会の主役になれる。どんな集まりでも、毎回だ。

問い5:勇敢な者とは?

これは父が作った問いかけで、答えはこうだ。「勇敢な人とは、恐れを知りながら、それでも自分の務めを果たす人間である」。父はこう言っていた。

「戦場でも、それ以外の場所でも私は、好きこのんで自らの身を危険にさらす人たちと数多く出会ってきた。進んで戦いへ赴く、言うなれば、ほかの人がやりたがらないことをやるというのに、彼らは自分がしていることの意味をあまりよくわかっていなかった。彼らは恐れていなかった。恐れる理由がなかった…というより、恐れるほど物事を知っていなかった。恐れるものがなかったのだ。彼らの行為は称えられるべきだが、私は、腹の底から恐れ、それでも前進し、やると決めたことをやり遂げようとする人こそ、真に称賛に値すると思う。」

では、私たちに当てはめると、どう捉えればいいだろう?簡単だ。営業やネットワーキングにおける真のプロフェッショナルとは、拒絶されるかもしれないと覚悟しながら、それでも自分から動く人間のことだ。

PS
こうした5つの問いかけによって自分を正し、後悔のない生き方をするには、具体的には何をすればいいだろうか?私は、そのために必要な行動のアイデアを1つのプログラムにまとめているので参考にしてみてほしい。

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この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。