ろくでもない紹介をもらったら?

FROM ボブ・バーグ

1つ、ものすごく厄介な状況を想像してみてほしい。あなたが親しくしているデイヴ・スミス氏が電話をかけてきて、興奮した口調でこう言った。「君に紹介したい人がいる。ウチの本社のエリアマネージャーで、この地域を担当しているキャロル・デイヴィスという女性だ。君が扱ってる商品の購買責任者なんだけど、うまくいけば1社では考えられないほどの大量の発注が見込めるかもしれない。僕の名前を出せば、電話を取ってくれるはずだ。」

やった!願ってもないチャンスだ…

とあなたは思うだろう。それから意気揚々と、自信満々に電話という名の威圧的なツールを手に取る。秘書が立ちはだかっても、平然と「デイヴ・スミスからの紹介だと言っていただければわかります」と言えばいいのだ。しかし…

秘書が「どちらのデイヴ・スミスさんでしょうか?」と言い、あなたのお腹が少しキュッとなる。なんか変だぞ。しかし引き下がるわけにもいかない。「センターヴィル支店のデイヴです」。相手の反応は鈍く、あなたは保留のまま待たされる。ミューザック社の待ち受けBGMが流れる。4分ほどして、ようやくいら立った声が電話口から聞こえる。そしてその後、次のような会話が続くのだ。

キャロル「キャロル・デイヴィスです。」

あなた「私、ウィジェット・アンリミテッドのジョー・テイラーと申します。」

キャロル「……。」

あなた「その、デイヴ・スミスからデイヴィス様を紹介されまして。」

キャロル「……。」

あなた「えっと、備品の購買責任者は、デイヴィス様だとうかがったのですが。」

キャロル「間に合っています。資料を送ってください、興味があれば電話します。」

言うまでもなく、彼女はいい見込み客ではない。私なら、この時点でふるい分けの質問を1つ2つするかもしれないが、乗り気でない気配が少しでも感じられたら、丁重に電話を切るだろう。机の角に頭をぶつけて死んじまえ、と電話の相手に言いたい誘惑にかられるが、それは正しい行動ではない。そんな台詞は、あなたの人としてのレベルを下げるだけだ。また、そのせいで、紹介してくれたデイヴにまで迷惑が及ぶ可能性もある。

「だから何だよ?」と思うかもしれない。「とんでもないクズ紹介だったじゃないか。アイツのせいで散々な目に遭ったよ!」と。そのとおりだ、気持ちはわかる。しかし、少なくとも彼は「あなたを思って」紹介してくれた。それに、あなたの方で少し指導してやれば、この先くれる紹介はオールスター級になるかもしれない。これは、「紹介元をどう”鍛えるか”」という話にもつながる。私の知る限り、紹介をくれるほどこちらを思っている人は、その後も繰り返し紹介をくれることが多い。

ろくでもない紹介をもらったら?

ただ、今回の友人デイヴは、キャロル・デイヴィスから「本社の仕事に口を挟むな」と電話や書面で釘を刺されたかもしれない。もしそうだとしても、あなたにもう一度電話をかけ、「キャロルが失礼な態度を取らなかったか?」とわざわざ聞いたりははしないだろう。むしろ逆に、あなたが強く出すぎたのだと考えて、もう2度とあなたに仕事を紹介するような危険は冒さなくなるだろう。これは由々しき問題だ。そこで今日は、こういった厄介な状況への対処法を伝授しよう。

まずはデイヴに電話をかけて「自分のことを考えてくれてありがとう」と、しっかりお礼を言う。そして、「君のような友人がいてくれると、仕事がすごく楽になる」と伝える。同時に「これからもどんどん人を紹介してほしい」とハッキリ言う。それから、「友人として、デイヴィス女史とのやり取りを話しておくべきだと思った」と明かすのだ。今後、彼女を別の誰かに紹介する時、知識として参考にしてほしいから…と断りを入れれば親切になる。

気不味い話は淡々と、感情的にならずに…

デイヴィス女史との不愉快な会話については、淡々と、感情的にならずに報告する。しかし、気をつけてほしい。デイヴにバツの悪い思いをさせてはいけない。デイヴは今、あなたに紹介を回せて、スターの気分を味わっているのだ。考えてみてほしい。「僕の名前を出せば、電話を取ってくれるはずだ。」なんて、こんな台詞を言うのは気持ちがいいに決まっている。

だから、人を紹介したことを後悔させてはいけない。今回の場合は、会話の内容を一言一句、教える必要はなく、全体像だけ伝えればいいだろう。「デイヴィス女史はあまり乗り気ではなく、通り一遍の文句できっぱり断られてしまったよ」というような感じだ。そしてデイヴには、同じような経験は何度もしているから大丈夫、感謝していることに変わりはないと言う。

「どう助けてほしいか」を伝えよう

そして、こうお願いしよう。「次にいい人が思い浮かんだ時には、こちらから電話がある旨を、あらかじめデイヴの方からその人に申し送っておいてほしい。もしくは、デイヴと見込み客がどういう関係かを最初に教えてほしい…」と。

繰り返すが、大切なのは「何を言うか」ではなく、「どう伝えるか」だ。ここで紹介したガイドラインに沿いつつも、臨機応変に会話ができれば(臨機応変さこそ、強さの象徴だ)、あなたは、相手の怒りを買うことなく、酸っぱいレモンを、将来的には甘いレモネードに変えることができるのだ。

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紹介の連鎖が起こるには、こうした気配り、心配りも大切です。一連のシステムの中で、しっかりと見に付けておいておくことをオススメします。

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この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。