FROM ボブ・バーグ
商談後など、何かしらのタイミングで誰か紹介してほしいと頼むと、(たとえ相手があなたのことを知っていて、気に入っていて、信頼しているとしても)時にはこんな風に言われることがある。
「その…トム。君の手助けには本当に感謝している。君はいい奴なのも分かる。しかし、友人に営業マンを紹介するのはちょっと気が進まないんだ。」
こうしたケースは、紹介経由ではなく、昔ながらの体育会系の営業で獲得した顧客や、会社の広告やWebサイト経由で得た見込み客に多い。もしかすると、その人は過去に1〜2度、営業マンを知人に紹介して痛い目に遭ったのかもしれない。友人に紹介したものの、その友人に対する営業マンの対応がまずかった…というケースだ。
知人に営業マンを紹介したくない理由…
たとえば、その友人が営業マンからの電話に「興味ありません」と答えたら、営業マンはいきなり態度が横柄になったのだ。友人は気分を害し、相手に「金輪際、営業マンに自分を紹介しないでくれ」と電話をかけてきた経験があるのかもしれない。
あなたがそういう態度を取る…という意味ではない。ただ、相手はそうした経験がトラウマになっており、不安なのだ。逆に言えば、だからこそ紹介経由の見込み客は、気持ちよく誰か知り合いを紹介してくれる。あなたが知り合いにどう対応するかを知っていて安心できるからだ。
さて、こんなときに必要なのは、相手が安心して紹介を回せるようになるメソッドだ。相手の「友人・知人との関係が悪くなるかもしれない」という不安を消し去るメソッドだ。既にあなたもご存知かも知れないがここで、大きな効果を発揮するのが「推薦状(お客様の声)」だ。
推薦状(お客様の声)が問題を解決する
推薦状は、相手の不満を解消できるものを複数持っているのが望ましい。自分で手に入れたものがあればベターだが、ないなら社内の誰かから借りてもいいだろう。そして例えば、先ほどの懸念に対しては、このように答えるのはどうだろうか?
「山田様のお気持ちは十分理解しております。紹介した営業マンが不適切な態度を取って、友人から悪く思われてしまうかもしれない…そんなふうに感じながら友人を紹介することは誰も望みません。ちなみに、今までにそういったご経験をされたことがありますか?」
もし、相手の答えが「YES」であれば、その話をしてもらおう。そして聞き終えたあとで、自分にも似たような経験があれば、そのことを伝えよう。あるいは、知人に似たような経験をした人がいると伝えてもいい。そうやって共感を示してから、こう言う。
「山田様、私がご紹介をいただいた際には、何があろうとも決して、お二人が嫌な思いをなさることはないと断言いたします。そのことを最優先にいたします。それが正しいから…というだけでなく、もしそんな思いをさせてしまえば、今後私は、もうご紹介をいただけなくなるのは目に見えているからです。ご存知のとおり、私の仕事の大半は、紹介に基づいて行なっているわけですから…」
「そこで、もしよろしければ、最近私が取引をさせていただいたお客さまから『推薦状』を何通かいただいておりますので、読んでいただきたいのです。その方々も、はじめは山田様と同じように感じていらっしゃいました。もちろん、単に人はそういうものだ…というだけの話で、当然、その方々に非があったわけではありません。」
ここで手紙(推薦状)を見せ、別の客もはじめは同じような気持ちを抱いていたこと、営業マンに知り合いを紹介するのをためらっていたこと、あなたがプロとして対応をしたので、今では英雄気分を味わっていることなどを説明する。あとは、推薦状をくれた人たちの時と同様、最高のプロ意識を持って、全ての紹介先に対応すると約束すればいい。しかもその後、「相手の友人」があなたを前向きに評価してくれれば、相手から推薦状を書いてもらうことだって期待できる。
推薦状(お客様の声)が効果的な理由
あなたは、優れた営業にも、テレビのあらゆる通販番組にも、多くの「推薦(お客さまの声)」が登場するのにお気づきだろうか?推薦は、契約獲得のための、おそらく最強のツールだ。そして、先のように推薦は紹介を求める際にも活躍する。
どうして推薦状がそれほど重要なのか?どうして優秀な営業マンは推薦状を丹念に集め、折に触れて見せるのか?理由は単純明快だ。1つは、あなたのことは「あなた自身」が語るよりも「他の誰か」が語る方が、何倍も説得力があって信用できるからだ。
人間は元来、疑り深いものだ。つまり、買い手があなたのことを「知っていて、気に入っていて、信頼していない限り(時にはそういう場合であっても)、あなたから買うことが「あなたの利益」になる以上、相手はいくばくかの猜疑心を抱くものなのだ。あるいは、売り手の利益になるのはいいとしても、「本当に自分たちの利益にもなるのか」確信が持てない。
お客様の声という「社会的証明」
また、見込み客は当然、営業マンのセールストークを警戒する。多くの営業マンは、このことで悩んでいる。ただ、私はチャンスだと思っている。ほとんどの問題や壁と同じく、この場合も、問題自体に解決の種が隠されているからだ。その解決策とは、多くの人のお墨付きをもらうことだ。営業マン本人や扱っている製品とサービス、商品の効果、抜群の顧客サービスなど、買い手にとって大切な要素はすべて営業マンの主張どおり申し分ないと、多くの人に証明してもらえばいい。見込み客の恐怖をぬぐい去るのは、第3者の裏付けなのだ。
これもまた、何度か話してきた「社会的証明」の原則である。言い換えれば、買い手は製品やサービスの裏付けがあるほど(社会経済的な地位や出身地などなど、買い手と共通点のある人の裏付けであればなおさら)、自分も買って大丈夫だと思いやすくなる。
人がモノを買わない2つの理由
ニューヨークの権原保険の会社でマーケティング・コンサルタントをしている友人、アラン・プロクターが言うには、人が何かを買わない理由は2つしかないそうだ。1つは大きすぎる恐怖心。そしてもう1つは、知覚価値(目に見える価値)の不足だ。推薦状は、知覚価値を高め、恐怖心も大きく和らげてくれる。
第3者による保証の効果は強力だ。商品を買うか迷っている相手に対して、あなたが直接、商品のすばらしさを力説するのと、相手の隣人や友人、同僚、あるいは相手が尊敬している人が力説するのとでは、どちらが効くだろうか?
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