FROM ボブ・バーグ
エセルは大手不動産会社で営業をしている。生まれ故郷でずっと暮らし、地元では多くの尊敬と人気を集めている。ある日、数年来の友人の女性とばったり出くわしたエセルは、その友人から興奮気味にこう言われた。「エセル、ねえ聞いて。ちょうど今、家の売却をあなたのところの営業マンに頼んできたのよ」と。
ただ、エセルとしては当然、あまり喜ぶ気にはなれなかった。そこで、努めて明るく…しかしちょっとガッカリしたようにこう聞いた。「よかったわね。だけど…私たちもう長い付き合いじゃない。どうして私に直接頼んでくれなかったの?」と。そのひと言で、女性は自分の非礼に気づき、こう答えた。「ごめんなさい…でも、あのときは、そんなこと思いつかなかったのよ」と。
人は他人の仕事など気にしていない
この話からわかるのは、人は普通、他人の成功や仕事など気にしていないということだ。驚くような話ではない。人が気にするのは、自分の成功や自分の望み、自分の問題だけ。どんなに仲がよくても、こちらを最優先に考えて行動してくれる人は普通いない。である以上、直接の取引にせよ、紹介を回すにせよ、相手が決断したその瞬間に「相手の目の前」にいなければ、候補に入ることさえできない。後から言っても遅いのだ。
もう1つ、私個人の話を紹介しよう。もうだいぶ前の話なのだが、その本質は今でも間違いなく通用するはずだ。私の住んでいた町に、もう2年も、携帯電話を買わないかと売り込みをかけてくる男性がいた。当時はまだ携帯電話が出始めのころで、私はいつも最新機器にはうといので、まだ欲しくはなかった(あるいは、自分が欲しいと思っていることに気づいていなかった)。
それでも彼は、時々電話をかけてきて「そろそろどうですか?」と言ってくる。私はそのたびに断った。単純に要ると思わなかったし、どうしても必要な場面もなかった。それでも、「買うとしたら彼から」という気持ちが私の中にある限り、彼にとっては問題のない話だったのだ。実際、私は彼を知っていて、気に入っていて、信頼していた。だから、その気になったら連絡しようといつも思っていた。
急遽、必要になった携帯電話…
ところがある時、事態は急変した。近くに住んでいた両親が、2週間に1回、妹夫婦に会いに2時間かけてマイアミへ車で行くようになったのだ。妹夫婦というより、2人の孫の顔を見に、と言うべきかもしれない(幸い、妹のロビンとその夫のスティーヴは、今では近くへ越してきたので、遠征の必要はなくなったが…)。
ただ、マイアミ行きに使うフロリダ・ターンパイクという有料道路には、車の通りや人家のほとんどない区間がある。私はいつも心配だった。「車がそのあたりで故障したら?」「どうやって助けを呼べばいい?」と。そこで、私たちは家族内ルールを作った。車でも飛行機でも、ある程度の遠出をするときは、必ず「無事に着いた」と連絡を入れることにしたのだ。
しかしある日、着いてもおかしくない時間だというのに、連絡がないことがあった。不安は1分ごとに増していった。結局、しばらくして連絡はあったのだが、父に事情を訊いてみると、途中のさびれた場所で、本当に車が故障してしまったと言うではないか。私が心配していた、まさにその区間でだ。
幸運なことに、今回は大型トラックがたまたま通りかかったのでなんとかなった。神のご加護なのかなんなのか、私の両親はそういう運のいい人たちなのだ。とはいえ、この件は私の心を動かす(正確に言えば、私をパニックに陥れる)には十分だった。そして、私は携帯電話を買うことに決めた(それでもほしいとは思っていなかったが)。
土壇場で忘れ去られた営業マン…
その後、私はどうしただろうか?すぐにイエローページを当たって携帯電話の会社を探した。後日、1社から折り返しがあったので、すぐに営業マンと会うことにした。会ってカーフォン(自動車電話)を買い、両親にプレゼントした。さて…あなたも気になっていることだろう。例の知り合いの、町の営業マンはどうなったか?これから、その答えを包み隠さずお伝えしよう。
何もなかった!彼のことは頭に浮かびもしなかった。すっかり動揺してしまって、連絡するどころか、彼に思い至りさえしなかった。ほとんど見知らぬ相手から電話を買った後で、しまったと思った。あとで本人に事情を説明したが、とてもガッカリしていた。しかし、これは私だけに起こるような話ではない。多くの場合、人はそういうものだと理解しなければいけない。
もし、あなたが仕事や紹介がほしいなら、紹介元と成り得る相手の目の前に、常に「自分を置く」ための工夫をしよう。もちろん、やたらと押し付けがましかったり、鬱陶しいアプローチをしたりするのは厳禁だ。私たちが目指すべきは、紹介元やその知り合いが、あなたの商品・サービスを必要とした時に、紹介元の頭の中に「あなただけ」が思い浮かぶようにすることなのだ。
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