FROM ボブ・バーグ
私は、地元の中規模企業のスーパーバイザーをしているキャロルから、近くのディナーシアターに招待されたことがある。彼女の会社が特別に、全従業員でショーを見ながら豪華な食事を楽しむ機会を設けてくれた。私はそこにゲストとして招待されたわけだ。
ところが当日、招待チケットを持った幹事がまだ来ていなかったので、支配人は、私たちに「バーカウンターでお待ちください」と丁寧に申し出た。チケットを持っていない私たちを、先にテーブルに通して食事を始めさせてはくれなかったのだ。そのため、私を含めた数人は、ソフトドリンクをチビチビ飲んで待った。
嫌な予感がする…
私が最初の嫌な予感を感じたのは、その頃だった。キャロルが、店の対応への不満を口にし始めたのだ。「先に私たちだけ、テーブルについて食べ始められれば、ゆっくりと食事が楽しめるじゃない!」と言い出したのである。中へ入れない理由は、チケットを持った人が来ていないことだけ。支配人だってそれをわかっているはず…というのがキャロルの考えだった。
彼女は「だったら入ったっていいじゃない」と言う。私もキャロルとまったく同意見だったが、ゲストなので、言葉を控えるべきだと考えていた。その時、キャロルが魔のひと言を発した。嫌な予感が確信に変わる言葉を…
「文句を言ってくる」
それを聞いて、私は思った。「やめてくれ。今夜はみんなでのんびり楽しく過ごしたいんだ。」キャロルは支配人を呼び出し、猛抗議を開始した。しかし、向こうは頑なに、同じ答えを繰り返す。「お客様、それはルールに反します。チケットをお持ちの方が、席をご指定なさることになっているのです。」
キャロルが、店長の知性(知性の無さ?)をコケにする言葉を何度まくしたてても、返答は同じだった。私は断を下した。もうたくさんだ。キャロルがようやくひと息ついた隙を狙い、笑顔で、物腰やわらかに店長へ尋ねた。
「チケットを持っている幹事の方が席を指定すること以外に、今テーブルへ行ってまずい理由は、何かありますか?」と。支配人の答えはこうだった。「いえ、まったく」。そこで、キャロルが近寄ってきて口を挟んでこないよう、そっと祈りながら(そんな予感がしたのだ)私は続けた。
「お気持ち、お察しします。私がもしあなたの立場なら、同じように対応したでしょう。では仮に、どこへ座るかは我々に一任されているとしたら…というより、ここにいる会社のスーパーバイザーの女性から、あなたに迷惑は一切かけないという確認が取れたら、中に入れてもらうことはできますか?」
支配人は笑顔で答えた。「それなら問題ございません」。私は言った。「すばらしい。ゆっくり食事ができれば、それだけショーも楽しめます。ご協力とご理解に感謝いたします」と。店長の反応はどうだったか?「とんでもございません!」と言って自分で私たちを席まで案内すると、その後も、私たちがくつろげるよう、たびたびこちらの様子を気にしてくれた。
キャロルは驚嘆していた。
「いったい何をしたの?秘密を教えて。」と言ってきたので、「秘密なんてないよ。単なる哲学さ。相手を心から気遣って、それを態度や行動で示せば、相手もこちらを気遣いたいと思うものなんだ」と答えた。
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酸っぱいレモンを甘いレモネードに
キャロルがレストランの支配人にけんかを売った話には、紹介で売れ続けるための貴重な教訓が含まれている。この話を参考に、あなたもぜひ、レモンをレモネードに変える自分なりの方法、敵を味方にする方法を見つけ出してほしい。
自分には力がある…そう思って暮らすことができれば、人生ははるかに楽しく、やりがいのあるものになる。だとしたら、立ち止まらずに成長を続けなければ、その立場を失うことになるんじゃないかって?そのとおりだ!しかし、続けることの価値は絶対にある。それによってあなたが与えられる価値は、何倍、何十倍にもなるはずだ。
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