なぜ、夫婦の愛は冷めるのか?

FROM ボブ・バーグ

私が10歳くらいの頃だろうか。我が家は、新しいカーペットを購入したことがあった。後日、購入した業者の現場リーダーと2人の部下が、家中にカーペットを敷くために我が家にやって来た。カーペットを敷いてもらっている間、私たちは1つの部屋で待機していた。

その時の現場リーダーは、まともな人ではあったのだが…ちょっと荒っぽく、なんとなく1日の終わりにビールをガブ飲みしていそうな男性だった。(こんな言い方は失礼かもしれないが)どうやら生きるのが大変そうな…そんな印象を受けたものだ。

父と業者の会話に笑いが止まらない

お昼になると、私たちは家族用とその業者3人のためにピザを取った。父は2階に上がって、カーペットを敷いてくれている作業スタッフにピザを渡しながら、その現場リーダーに「調子はどうですか?」と尋ねた。

あなたも既にご存知かも知れないが、私の父はいわゆる「ナイスガイ」だ。誰にでも平等に接することができる人だったから、その男性も父と仲良くしようとしているようだった。そして、私はこの会話を、部屋の隅で聞いだった。その会話は、男性の言葉から始まった。

「全くこいつは骨の折れる作業だよ…ところでよ?女ってのは、俺たち男が稼いだ金を『家族のためよ…』なんて言いながらどんどん使うよな?」

すると、父はこう答えた。

「まぁ、大切な家族が側にいて、あなたにお金があるのなら…できるだけみんなの希望を叶えてあげられるのは幸せなことですよね。」

父の答えは、その男性が予想していた答えとは違うものだった。おそらくこの現場リーダーは、男同士の会話として、それぞれの妻について愚痴を言い合うことで仲良くなろうとしたのだろう。彼にとっては、それが当たり前のことだったからだ。そこで彼は、もう1度それを試みたようだ。

「けどよ。とぼけたフリして、せっかくの金を使えるだけ使っちまうじゃねえか。」

父は、今度はこう答えた。

「自分が働いてお金を稼げるのは家族のお陰だと思えば…彼女たちが喜ぶことをしてあげたいじゃないですか。それ以上に嬉しいことなんてないんですから。」

男性は、再度こう言った。

「それでも、取れるものはしっかり取っていくわけだろ?」

父の答えはこうだ。

「あなたの奥さんは、あなたの親友のような存在ですね。あなたが懸命に彼女を喜ばせようとしているのが分かって、私も嬉しいですよ。」

この時点で、私は笑いを堪えるのに必死だった(笑)。その現場リーダーは、父に「わかるわかる。ほんとそうだよな…」と言って欲しかったのだろう。しかし、私の父には、そんなことは決して起こらない。そうして、ついに男性は諦めることになった。

このやり取りの中で、彼は自分の妻を思い「自分はそんな敬意を払っていただろうか?」と振り返っていたのかもしれない。あるいは、そんなことは考えなかったかもしれない。ただこの時、幼い少年であった私は、大切なことを学んだ。それは…

第3者を褒めることのパワー

結局、父は妻の悪口などひと言もいわなかった。それどころか、その男性の妻に敬意を払ったのだ。よく、その場にいない第3者について話をする時「褒めることができないなら、何も言うな」と言われる。「でも、褒めることなんてできない…」なんてことはあり得ない。どんな人であっても、必ず何かしら褒めるところはあるはずだ。というより、そうやって何かしら探してでも、第3者を褒めることが大切だ。

どんなに惨めに見える人にでも、何かしら褒めるべき点が見つかるものだ。そしてそれは、誰かに伝えたいと思えることなのだ。実際、その場にいない第3者を褒めることで、私たちには2つの良いことがある。

その場にいない人を褒めると…

1つは、その話がきっと誰かを通じて本人に伝わり、良い結果に繋がるだろうということ。もう1つは、目の前の相手が、あなたのことを「この人は、他人を褒める人だ。陰口を叩いたりしないんだな。」と認識することだ。

人は、陰口を言う人より、誰かを褒める人を好きになるものだ。たとえ、目の前の相手が人の悪口ばかり言う人であっても、あなたが他人を褒める姿勢に敬意を払うだろう。こうした事実は、あらゆる状況であなたに有利にはたらく。職場の人間関係はもちろん、友人関係でもそうだ。そして、これが最も効果的なのが「家族」の間柄だ。

父、マイク・バーグの家庭での習慣

私の父はいつも、他人の「良いところ」しか口にしない人だ。母や友人、あるいは周囲からの評判がよくない人たちであっても、父は常に何か「良いところ」を口に出す。時にはわざわざ探して、あるいは少し誇張して、誰かに話すのだ。

父の習慣といえば、私はいつも思い出すことがある。それは、「家族の誰かが、別の誰かを褒めていたら、その言葉を必ず本人に伝える」というものだ。兄弟や姉妹というのは、お互いに面と向かっては、悪いことしか言わないもの。だからこそ父は、兄や妹の良いところを私に尋ね、それを本人に会った時に伝えていた。

私の兄や妹が「ボブのこんなところを褒めていた」と父から聞かされた時、自分で自分を誇りに感じたことを覚えている。父は、必ずそういったことを私に伝えてくれる人だったのだ。そして、今もそれを繰り返している。

なぜ、夫婦の愛は冷めるのか?

世の中の夫婦には、結婚してから2人の間の愛は冷めきってしまい、お互いに敬意が払われなくなってしまった…といったことがよく起こる。しかし私が思うに、多くの夫婦は、お互いに良いところを言い合ったり、夫や妻の良い話を子供にしたりすることが少な過ぎるのだ。

私の両親は、いつもお互いの「良いところ」を言い合っていた。2人は、今だに手を取り合い、変わらずにお互いを愛し、そして何より、「親友」のような存在であり続けている。

PS
想像してみてほしい。こうしたことを、あなたが社員に行うと…会社はどのように変わるだろうか?

ボブ・バーグに学ぶ『人間関係を改善する技術』

URLをコピーする
URLをコピーしました!

この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。