社員が進んで経費削減した理由

FROM 安永周平

もし、あなたが会社を経営しているのなら「経費削減」は頭の痛い問題の1つではないでしょうか。ただ読むだけの資料をカラーで印刷したり、見積りも取らずに大量の備品を発注したり…「どうせ会社のカネだし」と言わんばかりの社員の態度にイライラしたこともあるでしょう。

これは業種によって多少の違いはあったとしても、常につきまとう問題です。ですから社長は、社員に説教をしたり彼らの義務感に訴えたりするわけですが、困ったことにこの経費削減というのは重要な問題であるにも関わらず、社員がほとんど協力してくれない問題でもありますよね。ところが…

社員が進んで経費削減した理由

ちょっと面白い話があります。アンスル・ケミカル社のロバート・フード社長は、このコスト削減の問題に直面した時、社員に説教したり義務感に訴えたりはしませんでした。その理由は「人は自分が参加したものを支持する」という彼の経営哲学にありました。

具体的に何をしたかというと、会社がコスト削減の必要に迫られた時、彼は社内でプロジェクトチームを作りました。その際、「我が社の経費を削減しなければならない!」とは言いませんでした。代わりに「みんなで知恵を出して問題を解決しよう」と言ったのです。

そうすると、メンバー達は知恵を出し合い、旅費や電話代、用具台…さらには切手代などの細かい経費にいたるまで、様々な節約のアイデアを思い付きました。それからしばらくして、フード社長は米国経営協会(AMA)に「本年度の売上の伸びは9%だったが、純利益は40%伸びた」と報告したのです。

純利益が4割も伸びた直接の原因は、もちろん経費の削減によるものでした。そしてフード社長は、社内の他の問題を解決する時にも同じ原理を応用しています(※彼はこれを「参加型の経営」と呼んでいます)。

この話のポイントは何か?

もしかするとあなたは「うちの社員はそんなこと思いつかない」とか、「そんなに簡単にいくもんか!」と思っているかもしれません。たしかに、全く同じようにはいかないかもしれません。現時点での社員の意識によっても、結果は変わるでしょう。しかし、この話の本質はそこではありません。

重要なのは「社員にアドバイスを求める」という行動です。というのも、かつて経営者の仕事は「自分でアイデアを出すこと」だと考えられていました。つまり、経営者は頭を使うから、従業員は手足となって働いてくれればいい…という理屈です。

しかし現在、「一流」と呼ばれる経営者は最高のアイデアが生まれる場所が役員室だけではないことを知っています。たとえば、工場の生産ラインで働く人達もアイデアを持っていますし、少なくとも「知恵を貸してほしい」とアドバイスを求めれば、アイデアを出すことができるのです。

「一流」の経営者の条件とは?

事実、一流の経営者は堂々と社員にアイデアを求めます。なぜなら、「それによって自分の経営能力を疑われるのではないか…」なんて不安を抱かないからです。自分1人のアイデアより、100人の社員が思い付くアイデアの方が素晴らしいことを知っているのです。だから、進んでアドバイスを求め、優れたアイデアに報酬を出したりします。

対人関係のエキスパートとして知られるレス・ギブリン氏は、著書『人望が集まる人の考え方』の中で一流の経営者の条件について語っています。それによると、一流の経営者とは自分1人で全てのアイデアを生み出す天才ではありません。社員から上手くアイデアを引き出し、それをもとに意思決定を行い、実行に移す人物です。それを可能にする”人間関係の技術”を持っている人物なのです。

「人間関係の技術」が経営に及ぼす影響

こうした経営者は、社員のアイデアを元にしてもっと良いアイデアを膨らませることができますし、社員を上手に動かしてベストを尽くすように働きかけることもできます。実際、先のギブリン氏の著書の中で、ある大富豪のこんな言葉が紹介されています。

「私が金持ちになったのは自分で知恵を働かせたからではなく、多くの人に知恵を働かせてもらったからです。私はそうやってたくさんのアイデアを得るだけでなく、その人たちの能力を認めることができました。誠実な気持ちでアドバイスを求めると、人々はいつも喜んで協力してくれます。」

アドバイスを求めると信頼される

そして、賢明なあなたはお気付きかもしれませんが、最も重要なポイントはこれです。社員にアドバイスを求めると、あなたは信頼されるということです。実際、僕も経験があるのですが…部下にアドバイスを求めると、相手が喜んでいるのがわかるんですよね。

たとえば、「これ、どう思う?」とか「◯◯さんだったら、どう解決するか教えてもらえません?」というと、その人はとても熱心に考えたり、教えてくれたりするんです。きっと自分が信頼されていることを実感して、親近感を抱いてくれるのでしょう。

ですから、もしあなたが社員が協力的でないことに悩んでいるのなら、ぜひ積極的にアドバイスを求めてみてはいかがでしょうか?そして、相手の話を熱心に聴くこと…それはその人と信頼関係を築くキッカケにもなると思いますよ。

PS
ちなみに、なかなか会ってくれない人とアポを取りたいなら「この問題についてご意見をお伺いしたいので、ぜひ相談に乗ってもらえませんか?」と伝えれば、おそらく相手の反応は変わるでしょう。

PPS
伸びる会社の社長というのは、こうした技術に長けているものです。ボブがよく使うもので、他にも色んなアイデアがあるのですが、興味があればこちらを確認してみてくださいね。

伸びる会社のリーダーがやっている「社員に動いてもらう秘訣」とは?

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この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社取締役。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で40年続く社員52名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。本業は「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」防災設備会社で事業承継を前提に組織改善と採用に奮闘中。