売上を2.5倍にした豆腐屋の話

FROM 安永周平

もう何十年も前の話ですが、終戦後に豆腐屋を始めたオヤジがいました。リヤカーを引きながら豆腐を売り歩いていたのですが、ぜんぜん売れない日々が続いていたので、オヤジはもう辞めてしまおうかと思っていました。そんなある日のこと、オヤジは1人の男性と仲良くなりました。そして…

「豆腐を売るのを手伝ってやる」

男性は、オヤジが「豆腐が全然売れない」とこぼすのを聞いて、豆腐を売るのを手伝ってくれるというのです。そして、豆腐屋のオヤジに「正確な時計を持ってきて、リヤカーを引いて売り歩く町の地図の上に、経路と売れた場所と時間を書き込みなさい」と指示しました。

その日から、オヤジは毎日、言われたとおりに地図上に経路と売れた場所と時間を書き込み、その男性に地図を届けました。そして半月後、男性はだいたいの見当をつけ、1枚の地図をオヤジに渡していいました。「この地図のとおりに回りなさい! 地図にはリヤカーを引いて回る経路が克明に記入されていて、しかも時間が指定してある。何時何分、◯◯出発、✕✕に到着したら豆腐の笛を吹いて3分間停止していること。

バスの運行表みたいな地図…

オヤジはバスの運行表みたいな地図をもらい、半信半疑でその通りに回ったら、予定の半分も歩かないうちに全部売り切れました。翌日は5割増の量にしましたが売り切れ、4日目にはこれまでの2.5倍まで売れるようになりました。俄然ファイトを燃やしたオヤジは、頑張ったおかげで商売が大きくなり、それから10年経たないうちに工場を立て、食品会社の社長に納まったといいます。

成功した要因はこうです。この場所は毎朝起きる時間がほとんど変わらないサラリーマン世帯の多い地域なので、奥さんが「豆腐屋さ〜ん」と言って飛び出す時間もほとんど同じ。飛び出したところに豆腐屋さんが入れば必ず買います。正確な時計とデータの蓄積によって、この規則性が発見できたのです。

いつ、どこで、誰に売ればいい?

実はこれ、『販売の科学』の著者である唐津一先生が、本の中で紹介しているエピソードです。豆腐という同じ商品を売っていたとしても、「いつ」「どこで」「誰に」売るのかを見直すことで、売上が全く変わることの好例です。そして、これは営業においても全く同じではないでしょうか。

商品ありきで闇雲に売るのではなく、いつ、どこで、誰に……つまりは「どの市場で勝つのか?」という視点はセールスにおいても大切なはずです。その商品を必要としている、欲しがっている人がいなければ、どんなに優秀な営業マンであっても売れないでしょう。ネットをあまり使わない客層にWEB広告を出しても、反応は上がらないのです。

あなたは「何を」売っているのか?

そして、もう1つ大切なことがあります。「豆腐」のように、お客さんに提供する価値がハッキリしている商品ならこれで売れますが、たとえば生命保険など、目に見えない商品・サービスを扱っている場合は、相手に「価値」が伝わらなければ買ってもらえません。1969年に出版された名著『マーケティング発想法』には、次のような記述があります。

「いつかレオ・マックギブナはこういった。『昨年、1/4インチ・ドリルが100万個売れたが、これは人々が1/4インチ・ドリルを欲したからではなくて、1/4インチの穴を欲したからである』と。人は製品を買うのではない。製品のもたらす恩恵の期待を買うのである(中略)人がカネを使うのは、商品やサービスを手に入れるためではなくて、買おうとする商品やサービスが自分にもたらしてくれると信じる期待価値を手に入れるためである。」

当たり前の話かもしれませんが、売る側というのは往々にして価値を伝えるのを忘れ、「うちの商品はここが素晴らしい!」「弊社のサービスはここが違います」と商品の特徴ばかりを説明してしまっているものです。しかし、僕らは商品を売っているのではなく「価値」を売っていることを忘れてはいけません。

化粧品製造のレブロンを大企業に育て上げた創業者チャールズ・レブソン氏は「工場において我々は化粧品をつくる。化粧品店において我々は希望を売る」と言っています。女性は単に化粧品とい物質を買うのではなく、人とは違った美しさや満足感を与えてくれる「希望」を買うわけです。

化粧品会社は「希望」を売る。そしてあなたは?

あなたが売っている商品が何であれ、顧客はその商品自体を買っているとは限りません。その商品を購入し、使うことによって得られる…言ってみれば「感情の変化」を買っているのかもしれません。そう考えると、僕らの仕事は売ることではなく、相手にその価値が伝わるようにすることかもしれないですね。

PS
一方で、「どうすれば相手に価値が伝わるのか?」についてはしっかりと学ぶ必要がありそうです。現代で最も成功しているセールスパーソンであり、指導者でもあるアンソニー・イアンナリーノの対談音声、今なら無料でもらえますよ♪

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この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社取締役。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で40年続く社員52名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。本業は「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」防災設備会社で事業承継を前提に組織改善と採用に奮闘中。