「〇〇」を活かす逆転の交渉術

FROM ボブ・バーグ

状況を正しくセッティングすれば、常に功を奏する交渉のテクニックを紹介しよう。これにより、相手は喜んであなたの味方になってくれるはずだ。

例えば、あなたが「弱い立場」で交渉しているとする。一般的にこれは理想的な状態とは言えないだろう。もしも交渉に関する良書を読んだことがあれば、おそらくほとんどが最初に「交渉をする際には強い立場に立つことだ」と書いてあるに違いない。つまり、相手よりも知識が優れていたり、場合によっては、あなたから商談を断ることができるといった立場上の強さが必要なのだ。

もちろん、それが理想的でもある。しかし、現実世界でそれが常に可能とは限らない。

例えば、あなたの車でどこか修理して欲しい部分があるとしよう。加えて、あなたは急いでそれを直す必要があるか、あるいは私のように機械音痴であるために、プロに依頼をする必要がある状況かもしれない。これは車に限らず、家の壁で補修しなければならないところがあるとか、すぐにオフィスのコピー機を直さないといけない状況を想定してもらってもかまわない。

このような値段交渉を行うために必要な知識がなく、すぐに対処する必要がある場合、実は「自分の運命を相手に委ねる」というテクニックを用いるのがベストな方法だ。

自分の運命を相手に委ねるのがベストな方法?

まず相手に、相手を「一人の人間」として強く信頼していることを伝える。たとえ会ったばかりの相手であっても、心からそのように接すれば、それを表現することはできるはずだ。

「ジョー、私はこういう時はどう対処すればいいのか、全く見当もつかない。ただ、あなたがいてくれるのがとても心強いよ。私は『人を見る眼』だけは自信があるんだ。私の眼が正しければ、あなたは誠実で、親切で、フェアな人だ。だから、全てお任せしようと思う。お互いにとってフェアな金額を提示してくれると思っているし、だからこそ、あなたに知り合いを紹介したいとも思っているよ。」

覚えている限り、このように言って実際に「フェアな取引でない」と私が感じたのは、過去たった1度だけだった。その1回以外は、全てフェアに、あるいは手厚い対応をしてくれた。

ここで今一度、「相手に敬意を示したこと」「相手を信頼していると伝えたこと」「相手がフェアで道徳的で誠実な人だと言葉にしたこと」に注目しよう。人は、”相手が自分に期待していると感じる内容”に沿って行動するものなのだ。

誰でも、自分のことを「やり手のビジネスマン」のように感じるのは気分が良いものだ。この時あなたは、相手の仕事上の知識に対して敬意を払ったことになり、相手にもしっかりと利益を得て欲しいと伝えている。

また、顧客を紹介するとも言うことで、相手にメリットを与えようともしている。さらにあなたは、言葉には出していないが「もし適切な対応を受けられなければ、もう2度とその相手に仕事を頼むことはないだろうし、顧客を紹介することもない」と、ほのめかしている。

このテクニックを用いることで、あなたは強引さや威圧を使わずとも説得が可能になる。しかも、そのために何か特別にやらなければいけないわけでもない。ほんのちょっとの工夫だけで充分だ。

自分の無知をさらけ出す方が得をする

自分の望みを叶えるために「自我(エゴ)」を抑えることができるかどうかは重要になる。これは、あらゆる人間関係の鍵でもある。

あなたが対応している相手が、自分よりスキルを持っている場合は、自分の無知を白状するのは効果なことなのだ。相手にそうした専門知識や技術が本当にある場合に、人はそうした仕事やサービスに対してお金を支払うのだから。

私の場合、多くの分野で無知を認め、正直でいるようにしている。車の整備士には「車に関して、私は世界一無知なんです」といつも言っているほどだ。

そんな風に言うと相手になめられるのではないか、と思うかもしれない。しかし、全くそんなことはない。私はただ、自分の運命を相手の手に託すテクニックを使っただけであり、逆にそうすることで相手は「あなたは重要な人物だ」と言ってもらえているよう感じるうえに、自分のことを肯定的に思えるようになる。これは、あなたが部下を育成しなければならない場合においても有効だ。

ただ、私は、相手が私に奉仕してくれるように道を開いただけなのだ。私たちは誰かのために役立ちたいと思っているし、礼儀正しく敬意を示してくれる人のために、私たちの知識やスキルを使いたいと思っている。

私はこれまで、こうした方法を継続して活用しているからこそ、普通の人よりも良い対応、あるいは公正な対応を受けることができた。さらに、ありがたいことに、正反対のアプローチをする人よりも、確実に良く接してもらっている。

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この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。