〇〇は最高の保険証券

FROM ボブ・バーグ

誰かに何かをしてもらう必要がある時に効果的な方法がある。それは、事前に感謝を伝えることだ

「お時間を割いていただき本当に感謝しています」と言えば、それだけで相手は、あなたのために本当に時間を割いてくれるようになる。通常チップとはあなたが相手からサービスを受けた後に渡すものと思いがちだ。しかし、別にレストランでウェイトレスやウェイターが食事を出す前にチップが支払われていた話を聞いたことはないだろうか。この場合のチップとは、To Insure Promptness※、迅速な行動を保証することの頭文字なのだ。

「事前の感謝」は最高の保険証券

まさしく相手の行動に対する保険のようなものだと考えることもできるし、行動を強要しているようにも取れる。とはいえ解釈は自由なので、どう捉えてかまわないが、私は保険のようなものとして捉えることにしている。

このように事前に感謝を伝えるのに適切なタイミングの例として、電話でその人と話しているときがある。例えば、「スミスさん、私と話をする時間を取っていただきありがとうございます」あるいはホテルの支配人に問題を伝える必要がある場合には、「ジャクソンさん、この不幸な状況にも私の助けとなってくれたこと、感謝しています」などだ。さらに、あなたの車を見てくれる修理工に「デイビスさん、今回は修理をしていただけるとのこと、ありがとうございます。頼りにしています」と言うこともできる。

ここでとても重要なのは、これをすべて心から行わなければならないということだ。さもなければ、ただの口が上手い人か、あるいは不遜な人物だと思われてしまうだろう。相手にとても感謝しているということを改めて振り返り、それを心に留めて言葉にするようにして欲しい。

ある女性の残念な事前の言葉‥

昔、地元新聞で人気だった、あるコラムニストに電話をしたことがある。理由としては、慈善事業のイベントに彼女の名前を使わせてもらいたいと頼むためだった。挨拶をした際に私は、彼女と話せて嬉しいと付け加えた。すると彼女は話し始める際にこう言ったのだった‥

「”簡潔”にお話をまとめていただけるとのこと、ありがとうございます……」

どうやら雲行きが怪しい‥。確かに忙しい時に電話がかかってきたら、本題はなんだ?と言いたくなる気持ちもよくわかる。私も内容を簡潔に済ませてすぐに電話を終えたい気持ちがあったのだが、こと慈善事業のイベントという体だった。慈善事業においては、重要なのは私自身の気持ちよりも、その事業を行う動機になる。

だからこそ、しっかり目的を伝えなければ、そんなのはただのエゴになる。私は彼女に何を必要としているのかを説明したのだが、結局話は破談となってしまった。ただ言えるの、彼女の話し方は、私が気分がよくなるようなものではなく、彼女に好印象を持つようなものでもなかったということだ。もしも彼女の言葉が、こんなものだったらどうだろうか。

「バーグさん、価値ある目的についてのお話、感謝致します。ただ、今は少し忙しくて、あまり長くお話できないのです。ご用件だけうかがえますか?」

そう言われていたなら、きっと私はすぐに本題に入り、必要なことを伝え電話を終え、自分のことも彼女のことも悪く思うことはなかっただろう‥。私も含めてだが事前に感謝から交渉事を始めれば交渉、WIN-WINの関係性を築きやすいものだ。

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※チップの起源は、18世紀のイギリスのパブで、サービスを迅速に受けたい人のために To Insure Promptness と書かれた箱を置き、そこにお金を入れさせたことに由来し、チップの語源はこの箱に書かれた文言の頭文字である。諸説あり。

この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。