FROM ボブ・バーグ
私たちに根付いている習慣の多くは、かつて洞窟で暮らしていた私たちの祖先が、生き残るために必要とした習性の名残でもある。しかし、毎日が生きるか死ぬかというような状況でなくなった現代においては、そうした習性は”悪癖”となることがあるものだ。不平不満をこぼすというのも、そうした悪癖のひとつだと言えるのではないだろうか。
不平不満は、ゴシップの親戚のようなものになる。不平不満を言うことで瞬間的には気分が晴れるかもしれないが、それを聞いた人や言っているあなた自身の活力を奪ってしまう。「あれが悪い」「これが悪い」「こんなふうに悪いんだ」なんて話から、何らかの活力を得ることなんてとてもないはずだ。だれだって、そういった悪い話をエネルギーに転換しようなんて気にはならない。
どんな時に人は不平不満をこぼすのか?
考えてみると、人が不平不満をこぼすとき、実はその内容というのは些末なことが多いものだ。私がこう言うと、「いや、堪えがたい思いがあるんだ」「愚痴でもこぼさなければやっていられない」なんて反論もあるかもしれない。確かにまあ、そういうこともあることだろう。しかし、不平不満をこぼすだけで具体的な改善案を模索しないでいるというのは、状況の改善にはつながらない。少なくともこれだけは明らかだ。
不平不満ばかりを漏らす人は、まわりから敬意をもって接してもらえることもなく、軽んじられ、ついには避けられるようになってしまう。そして、そういった人たちの周りに集まるのは、同じように愚痴をこぼす人たちばかりになってしまうことでしょう。さらに、どんどん互いの不幸自慢を始めるようになっていくことだろう。そんな集団の一員になりたいと思うだろうか?
不平不満に関する意外な研究結果…
それから、最新の研究でおもしろいことがわかっている。会話においてほんの数分でも何かについて愚痴をこぼすというようなことをすると、また次の会話でも愚痴をこぼしやすくなるというのだ。脳や神経が一度その動きを学習してしまうことによって、同じように次の会話でもまた愚痴をこぼしてしまう。このとき、脳はストレスホルモンであるコルチゾールを排出する。すると血圧が上がり、血糖値も上昇する。このことで免疫機能は阻害され、問題解決に重要な役割を担う器官「海馬」もダメージを受けてしまう。さらにアルツハイマー病のリスクも高まってしまうとのことだった。
不平不満や愚痴をこぼしたくないなら、つきあう人間を選ぶことが重要であるとされている。「ミラーニューロン」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。みなさんもご存じのとおり、人は自分のまわりの人間のふるまいを自然と模倣する。そう、いわゆるミラー効果です。何事にもポジティブな人の近くにいると、こちらまで気分がよくなってくることはよくある。逆に、何事にもネガティブな人と一緒にいれば、まるでタバコの副流煙を吸っているかのようにこちらまで気分が落ち込んでしまう。
あなたの心持ちがふるまいを決めている…
あなたが自分自身の内側でどのようなことを考えているか、どういう心持ちでいるか、どういう所作でふるまうかということは、あなたと人とのコミュニケーションの表面にも現れてくる。もしあなたが常にポジティブであろうとすれば、相手をもポジティブな気持ちにすることができる。まずあなたが相手に何を伝えたいかということをしっかり認識し、相手を褒めるときも、逆に何か苦言を呈するときも、伝えたいことをはっきりとわかりやすく伝えるように努力しよう。そうすることで会話は建設的なやりとりとなる。相手や自分を取りまく環境をよりよくすることができるうえに、また相手を前向きな気持ちにすることも可能になる。
もちろん、不平不満をこぼすのと、解決案を考えて意見を述べるのとは別物だ。だからこそ、不平不満がもたらすポジティブな効果というのははっきり言ってゼロだと思って欲しい。私の友人であるスティーブ・キーティングも、「愚痴をこぼしているだけでは何も解決しない」と言っている。これまでに講演や私のブログなどでも、「ゴシップという悪癖から逃れる」ということをテーマにしたものがあったが、それと同じように、不平不満や愚痴をこぼすという悪癖も断ち切るのがよいものだ。
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