僕らを追い詰めるプラス思考

FROM 安永周平

自己啓発の世界では「プラス思考で人生が変わる」みたいな話がよくあります。ナポレオン・ヒルに始まり、ザ・シークレット、引き寄せの法則などが好きな人たちは、人生は自分が思ったとおりになると主張します。そして、実際にプラス思考を利用して成功体験を持っている人もいます。彼ら彼女らは、勉強でもスポーツでも優秀で、繰り返し成功を勝ち取っていますし、そうした経験を繰り返す中で「自分なら上手くできる」と確信しています。

ところが、それ以外の人たちはどうでしょうか?残念ながら世の中の8割以上の人たちは、プラス思考で生きようと思っても悪戦苦闘の末に挫折してしまいます。この違いはいったい何でしょうか? 年商100億円以上の会社を含め、多くの会社を成長させた米国の起業家マイケル・マスターソン氏は、その理由について「自分は成功できる、と心の底から思えていないから」だと言っています。

心底思えるなら苦労しない…

だったら、心の底から「自分は成功できる」と思えばいい…という話ですが、問題はどうすればそれが可能かという話ですよね(苦笑) たとえば、よくあるのは無理やり考え方を変えようと「アファメーション」などのプラス思考のセラピーをを行うことです。毎朝、鏡の前に立って「私はよい人間だ。何でもできる。きっと成功する…」と20回繰り返します。

これは魅力的です。鏡に映る自分の姿に2、3分話しかければ、心のスイッチが入るというのです。その後は全てが自然と上手くいくというんですから、まるで魔法です。ところが、あなたも試したことがあるなら分かると思いますが…現実はそうはいかないんですよね。

ポジティブ vs ネガティブ の実験結果

また『ネガティブだからうまくいく』の著者、ジュリー・ノレム氏は「プラス思考は自分の脳力について前向きに考えられる人には効果があるが、自分の能力に悲観的な考えを持っている人には効果がない」という研究結果を発表しています。これが面白いのですが、研究者はネガティブな考え方を持っていると特定された人たちだけを調査対象にして実験を行いました。

まず、グループを2つに分けました。1つのグループには「過去の成績を見る限り、これから受けるテストではきっとよい点数が取れるでしょう」と伝えました。ですから、こちらのグループは実際のテスト前の調査で、結果に対してポジティブでした。そして、もう1つのグループには何の励ましの言葉も与えませんでした。果たして、結果はどうなったでしょうか?

ポジティブだったグループの結果は…

結論から言うと、一時的にポジティブになったグループの方がテスト結果は悪かったのです。そう、プラス思考で全ては上手くいく…というのは、多くの場合は正しくありません。実際、先のマイケル・マスターソン氏は、プラス思考の考え方についてずっと批判的です。これまで成功体験が少なく、自分の能力に自信がない人たちには、プラス思考なんて無駄だというわけです。

誤解しないでいただきたいのですが、誰にとっても無駄なわけではありません。元々前向きな人には効果があります。実力も実績もあるレスリング選手は、次の試合でも勝てると簡単に信じることができます。昨今、メディアを賑わす凄腕のスタートアップ起業家や、有名なITベンチャーの経営者にとっては、次の事業が成功すると信じるのは難しくないんです。今の感情が前向きなら、思考は何に対しても前向きに働かざるを得ないですから。

「夢追い人」はプラス思考では救われない

ところが、世の中にはそうでない人の方が圧倒的に多いんです。先のマスターソン氏は、8割はそうでない人たちだと言います。その人たちがプラス思考の罠にハマると、何年も同じ過ちを繰り返すことになります。あるセミナーに参加して、何年か過ぎても相変わらず自己啓発のセミナーに参加し、依然としてプラス思考の本を抱えているのです。結局、無理なプラス思考は、こうしたセミナーや書籍を販売している人たちの役に立っている(養分になっている)だけなのが現実です。

何年経っても、何十年経っても変わりません。彼ら彼女らは貧しいまま、行き詰まったまま。それでもなお「意識を変えれば、考え方を変えれば、人生はすぐに簡単に変えられる」という夢を諦めきれません。これは果たして、健全な状態でしょうか? 悲観的な考え方の人は、現状維持を続けるか、変われない自分の無限ループに入るしかないのでしょうか?

ネガティブな人が取るべき選択肢

もちろん、そうではありません。悲観的な人、ネガティブな人だって仕事で高い成果を上げることができます。ただ、元々ポジティブな人とはやるべきことが違うだけです。取るべき選択肢を変えればいいのです。日々の仕事で疲れて、エネルギーがなくなっている人には、そうした人向けの方法があります。話すと長くなりますが、1つ言えるのはプラス思考や決意といった「意識」に頼るものではありません。

自分を変える方法は1つではありません。だからこそ、自分に合った現実的な方法を取ることが僕らには必要です。僕もそうですが、過去に無理なプラス思考を試みて上手くいかなかった人は、必要なステップを踏む方が上手くいきます。「思考は現実化する」という言葉を過信して挫折するより、ほんの少しだけ自分の足で踏み出してみる方が、いい結果を招くこともありますので、それを忘れないようにしたいですね。

PS
「最近、なんだか疲れてるな…」と思う人こそ、現実的な方法でやる気を出して自分を変革していきましょう。やることはそんなに多くありません。詳しくはこちらから確認してみてください。

今日まで:エネルギーの低い人のための自己変革の秘訣

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この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社取締役。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で40年続く社員52名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。本業は「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」防災設備会社で事業承継を前提に組織改善と採用に奮闘中。