FROM 安永周平
当たり前の話かもしれませんが、仕事で交渉が必要な時、その人が GIVER か TAKER かによって行動は変わりますよね。TAKER にとって、取引とは「奪い合い」ですから、いかにして自分が多くの利益を得るかが勝負です。自分の利益と相手の利益を8:2、あるいは9:1にできないかと、あの手この手を使って交渉してくるでしょう。
一方で、GIVER は相手の利益を考えますから、少なくとも5:5に。あるいは、「自分にとっては簡単でも、相手にとっては大きな価値があること」を探すことで、7:7…時には10:10になるような提案をすることもあります。パイ(総額)を大きくすることで、お互いの利益を増やすのです。
結果を生み出すのは行動だが…
こうした行動で、結果にどんな違いが生まれるかと言えば、GIVER は長期的な信頼関係を築くことに成功するでしょう。一方で、TAKER は関係を築くことができません。仮に築けたとしても長続きしないでしょう。そして、相手を変えて、何度も何度も同じ交渉をしなければならなくなります。
このように、「結果」というのは、僕らの「行動」によって変わります。そして、その行動を生み出しているのは「価値観」です。TAKER のように「取引とは奪い合いだ」という価値観を持っていれば、それに沿った行動を取ります。一方で、GIVER のように「先ず与えよう」という価値観を持っていれば、そのように行動するのです。つまり…
価値観 > 行動 > 結果 の順序
の順で、物事は進むということです。ビジネスをしていると「結果が全て」という側面が少なからずありますから、みんな結果だけをみてしまいがちです。しかし、その結果を生み出しているのは行動であり、その行動を生み出すのは本人の価値観です。そして、ここが面白くもあり厄介でもあるところなのですが…この「価値観 > 行動 > 結果」の順番では、左に行けば行くほど、目には見えなくなってしまうんですよね。
たとえば、ソフトバンクの孫正義さんが「1代で1兆円企業をつくった」という結果は、誰でも見ることができます。しかし、その行動となると、少し見えにくくなります。孫さんが大成功する過程でしてきた行動を知っている人はどれだけいるでしょうか? 結果を知っている人に比べて非常に少ないでしょう。一緒に働いたことがある側近の方など、一部の人は知っているかもしれません。しかし、結果に比べて目に見えにくいのは事実です。
さらに、その行動を生み出していた価値観については、もはや目に見えるものではありません。これは、本人に直接聞いたり、著書を読んだりするしかありません。しかし、この価値観こそが、最終的な結果をつくる原動力になっているのは、誰も疑う余地のないところでしょう。
「結果を生み出すもの」を見ているか?
ほとんどの人は、成功した人や会社の結果を見て、自分も同じようになりたいと思います。「スゴい会社を作りたい」「お金持ちになりたい」という結果だけを見て、それを手に入れようとします。一方で、ごく僅かな人だけが、その結果を生み出す「行動」や、その行動を生み出す「価値観」を見ます。現在の業績やネットワークを生み出してきた行動、その行動を生み出した価値観…これらを学ぶからこそ、結果に違いが出てくるわけです。
ちなみに、フランクリン・コヴィー社の共同創業者であるロイス・クルーガー氏は、こうした価値観は、生まれつきのものではなく「選択するもの」だと言っています。つまり、あなたが素晴らしい行動を生み出す価値観を選べば、自ずと素晴らしい結果が生まれるということです。あるいは、それを上手に人に伝えることができれば、他のメンバーからも素晴らしい行動を引き出すことができます。
価値観を磨く「モデリング」とは?
また、自分が選んだ価値観を、しっかりと行動に移せるように育てることも大切です。そのために効果的な手法の1つが「モデリング」と呼ばれるものです。モデリングとは、端的に言えば、あなたが「こんな人になりたい」「こんな結果を出したい」と思った人の行動や価値観を徹底的に真似することです。
「どんな考え方をするのか」「どんなことに価値を置いているのか」「日々何をやっているのか」「上手くいった原因は何か」「どんな順番でやったのか」…
こうしたことを見極め、それを真似するということです。僕ら人間の脳には「ミラーニューロン」と呼ばれるものがあり、小さな頃、成長する過程で親や周りの人の真似をしながら色んなことを覚えてきたわけですから。問題は、意識してこれをやるかどうか…ただそれだけの話です。
だからこそ、僕らは「どんな人生にしたいか」や「本当にやりたいことは何か」といったことを考えながら、自分に合った価値観を選ぶことが大切ではないかと思うのですが…あなたはどう思いますか?
PS
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