実験)生徒の行動を変えた言葉

From 安永周平

最近はもう僕自身がセミナーをやることはほとんどないんですが(ヘタクソな僕がやるより、経験豊富な河合さんがやった方が価値が高いですから笑)、以前はセミナーの講師をしていると「先生」と呼んでくれる方がいらっしゃいまして。士業やコンサルタントの方はそう呼ばれるのに慣れているかもしれません。が、僕はどうも慣れないので「イヤイヤ、僕は先生なんて呼ばれる立場じゃ…^^;」なんて思ったりします。でも、以前『月刊GO-GIVERS』でこんな話があったんです。

子供の才能を引き出す声のかけ方

2018年の5月号『子供の才能を引き出す声のかけ方』は、米国の教育業界で20年以上も革命を起こし続けているアンジェラ・メイアーズさんをゲストに招き、ボブがインタビューをしながらお届けしています。彼女は保育園をはじめ、多くの企業での教育にいたるまで幅広い範囲で活躍しており、TEDxでの彼女のスピーチは再生回数がとても多いんですね。

そんな彼女が「人にどんな言葉をかけるべきか?」は、ビジネスにおけるリーダーや教育者にとって非常に重要であり、同時に細心の注意を払わなければいけないことでもあると言っています。というのも、たった1つの声かけによって相手のモチベーションが劇的に上がることもある一方で、ある言葉が相手の心に傷をつけ、ずっと辛い思いをさせてしまうこともあるからです。実際、幼い頃に教師に言われた言葉のせいで、学校という場に対して悪いイメージを持ってる人も少なくないのだとか。

そして、これは何も、学校教育の現場に限った話ではありません。職場で社長や上司、あるいは同僚がする声かけでも同じです。人は自分に向けられた言葉を受けて「そうか、自分はそういう存在なのだ」と認識する脳の働きを持っているのです。分かりやすい例として、ある比較実験の結果を紹介しましょう。

実験:生徒の行動を変えた言葉とは?

ある学校で、AクラスとBクラスに同じ内容のカリキュラムを受けてもらいました。ただし、1つだけ違いがあって、授業が始まる前、それぞれのクラスで生徒への声かけの言葉を変えたのです。

まず、Aクラスでは教師が「今日はこれを読みます」とか「今日はこれを学びましょう」と言ってから授業を始めました。そうやって始められた授業では、生徒たちはその教材を学ぶこと、あるいは課題に集中していました。ただし、よりためになる読書をしようとか、数学者のように問題を解こうとか、歴史学者のように考えようといった態度はあまり見られませんでした。

一方のBクラスでは、カリキュラムはAクラスと全く同じなんですが、教師が「さて、読書家のみなさん。今日読むのはこれですよ」とか「作家のみなさんに、今日はこんなことをやってもらいます」といった言葉をかけました。すると、面白いことに生徒たちは、自分が読書家や作家、あるいは数学者や歴史学者として扱われ、自分に期待されていることを理解しました。そして、実際にそのように振る舞い始めたのです

人は期待に応えるように行動する

カリキュラムは全く同じでも、授業のはじめの言葉を変えるだけでここまで大きな差が現れたのです。そして、アンジェラさん曰く、これは他にも色んなことに応用ができるとのこと。つまり、先の僕の例で言えば、「先生」と呼ばれたことによって、自分にその資格や能力があるかどうかは別として、先生に相応しい振る舞いをしようとするものなんですね(なんか自分でハードルを上げている気がしますがw)。

実際、アンジェラさんは講演を行う際、参加者の職業や仕事内容を踏まえた上で「教師のみなさん」とか「作家のみなさん」なんて呼びかけをするそうです。すると、参加者の中には「いや、私が作家なんてありえません。本を書いたこともないんです」とか「いえ、私は先生というわけでは…」といったような反応を示すそうですが、彼女は次のように返すそうです。

「いえいえ、あなたは名誉教育者なんです。教育者として、教育者の鑑として、そういう振る舞いをすることはできますよね?それこそが教育というものなんです。」

そう言うと、参加者の方々も”その気”になって、そのように振る舞うようになるのだとか。ですから、相手のことを「どう呼ぶか?」というのはとても大切なんですね。その言葉が、相手が何者であるかに影響するだけでなく、それを機に相手も「自分が何者か?」を深く考えるようになるからです。

自動的に脳のメカニズムが働き出す

事実、人間は本来、自分が期待されていると感じたり、何かを見聞きして刺激を受けたりした時には、それに応えようとするという脳の働きを持っているそうです。作家や読書家と呼ばれた子供たちは、自分でも気付かないうちに目の前の出来事から学ぼうとしているのです。だとしたら、私たちは自分の子供はもちろんのこと、同僚や部下に対してもそのつもりで接していく必要がありますよね。

あなたの子供も、あなたの同僚や部下も…ともに社会の一員であって、家庭を、会社組織をよりよくしていく仲間であるはずです。彼ら彼女らが「自分で何かしらの変化を起こすことができるんだ」と伝えていくのが、リーダーであり「GIVER」の役割だとも言えるでしょう。多様化する現代の社会において、そうしたリーダーが必要されているのは間違いありません。私たちも、そうした生き方を目指したいものですね。

PS
『月刊GO-GIVERS』は現在、2021年4月号のリリース・キャンペーン中です。今月号はもちろんですが、先のアンジェラ・メイアーズさんの講座も含めバックナンバー160本以上も全て無料で聴くことができますので、ぜひ1ヶ月無料で試してみてくださいね。

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この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社取締役。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で40年続く社員52名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。本業は「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」防災設備会社で事業承継を前提に組織改善と採用に奮闘中。