127%成長したメガネ屋の武器

From 安永周平

1年前、新型コロナウイルスの影響で3〜5月の四半期売上が昨対比68%にダウンしたメガネ屋さんがありました。それが次の四半期(6〜8月)に。なんと昨対比127%にV字回復したそうです。この店舗スタッフの方々がやったのは、別に特別な技術が必要なことではありません。特に今なら僕らにも簡単にできることです。それはいったい何でしょうか?

担当スタッフから「直筆」の手紙

いつも大変お世話になりましてありがとうございます。お元気でお過ごしでしょうか?遅くなりましたがマスクが手に入りましたので送らせていただきます。使っていただければ幸いです。早く元の日常に戻って欲しいですね。体調にお気をつけてくださいませ。

これは、北海道を中心にメガネ店を展開する株式会社オバラが、運営する店舗で既存顧客に出した手紙の文面です。この手紙、スタッフが「直筆」して当時店頭で品薄となっていたマスク2枚を同封しました。新型コロナウイルスの拡大で不安を抱える顧客に対し、来店を積極的に訴求はできないけれど、必要な時はいつでも受け入れる姿勢を伝えようと「手書き」にこだわったそうです。

役職や個人の仕事量を問わず、それぞれの担当顧客に自筆で書くことを徹底しました。その数、合計2622通!もちろん作業時間の確保には苦労もあったそうですし、ワープロの使用や代筆を希望するスタッフもいたそうですが…最終的には2622通全て手書きでやりきったとのこと。

顧客の2割から感謝の声が…

この手紙を受け取った顧客からは「外出できず人との接点が無かったので手紙が来て嬉しかった」「マスクが買えない中、もらえて涙が出た」など、7店舗合計で電話289件、手紙21件、来店185件、SNSでも35件と割合にして2割の顧客から反応があったそうです。

こうした声はスタッフのモチベーションを上げてくれました。もともとは「DM」として販促用に企画されたこの話、本来の目的とは少しズレましたが、結果として3〜5月に昨対比68%まで落ち込んだ売上が、6〜8月は127%と前年を上回る売上になったそうです(参考『全日本DM対象年鑑2021』)

もちろん、昨年のマスクが品薄だった時期に2600人分のマスクを揃えるのは大変なことだったでしょう。悪質なマスクの転売が横行する中で、スタッフのマスクを確保するだけでも大変だったはずです。しかし、必要なものをタイムリーに提供できるという印象をお客様に与えることができたのなら、それはお金では買えない価値があったとも言えます。

顧客の心を動かした要因

ここで、先ほどの手紙の文面をもう1度見てみましょう。本来ならばDMとして送られたこの手紙…何か気づくことはありませんか?

いつも大変お世話になりましてありがとうございます。お元気でお過ごしでしょうか?遅くなりましたがマスクが手に入りましたので送らせていただきます。使っていただければ幸いです。早く元の日常に戻って欲しいですね。体調にお気をつけてくださいませ。

鋭いあなたは既にお気づきかもしれません…そう、宣伝が一切書かれていないんです。全く売り込みの要素がない。ただ顧客の体調を気遣い、現状に寄り添って、今必要であろうマスクをプレゼントしているのです。

手紙を台無しにしてしまうもの

ここに「今ご来店いただくと全てのメガネが40%OFFとなります」なんて書いてたとしたら…無粋ですよね(笑) ウザいのです。落ち込んだ売上を伸ばしたい、お得な割引キャンペーンの情報を書けば少しは売上が伸びるかもしれない…気持ちは分かります。1年経った今でも、そう思っている人は多いでしょう。でも手紙で売り込んでしまったら台無しです。

あくまでいつもお世話になっているお礼と、感謝の気持ちを表す…それを「手書き」という時間と労力をかけてやるから相手に気持ちが伝わるのでしょう。今ならマスクの入手は容易いですが、ここでのポイントはマスク自体ではなく「あなたの力になれないか考えています」という気持ちの問題ではないでしょうか。

今日1通書いてみてください

昨日から仕事始めの方も多いでしょう。ですから、ぜひ今日、1通だけでいいのでお客様に直筆で手紙を書いてみてください。何かプレゼントを同封できればベターですし、それが難しければ直筆の手紙だけでも構いません。週明けの月曜日に、それがお客様のもとに届く…ちょっといいと思いませんか?もらった方はもちろん、今から書くあなた自身もそれを想像して温かい気持ちになれます。

そんなちょっとした違いが、積もり積もって売上や利益などの成果にだって反映されてくると僕は思うのですが…さてあなたはどう思いますか? 手紙1通、15分もあれば書けるでしょ。100円もかかりません。それが違いをもたらすとしたら、あなたはどうしますか?

PS
どう書いていいのかもう少し詳しく知りたい方は、これを見て「魔法のカード」の作り方をチェックしてくださいね。

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この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社取締役。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で40年続く社員52名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。本業は「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」防災設備会社で事業承継を前提に組織改善と採用に奮闘中。