FROM ボブ・バーグ
突然だが、私たちの当たり前の生活を壊し、あるいは家族関係を切り裂き、あるいは癌のように仕事組織をズタズタにする…そんな存在をご存知だろうか?それは、ゴシップ…いわゆるうわさ話だ。
このうわさ話がもたらす破滅的な結果を私たちに教えてくれる「風の中の羽毛」という19世紀頃の伝承がある。今回はその内容をぜひあなたにも知って頂きたい。
人の中傷ばかりしていたある男性…
* * *
ある一人の若い男性がいました。ですが、彼はいつも同じ町に住む賢い男性のことを告げ口しては中傷ばかりしていました
ある日のこと。その若い男性は人に危害を加えたことをきっかけに今まで人を傷付けてきた自分の行いを反省しました。そして、彼は中傷してばかりしていたその賢い男性の家を訪れ、今まで自分がしたことを謝罪し、許して欲しいと頼みました。
すると、その賢い男性は”ある条件”のもとでならその若い男性のことを許すことを伝えました。
その条件とは、今から自宅へ戻り、自宅の羽毛の枕を持っていき崖の端でそれを切り裂くこと。そして、その枕の羽毛を風の中にまき散らすというものでした。
その若い男性は賢い男性からの不思議な提案に困惑しましたが、提案に従うことにしました。家にすぐに帰宅し、枕を崖の上で切り裂き、羽毛をまき散らしたあと、賢い男性の家へ戻りました。
「戻ってきました。では許してもらえますか。」と尋ねました。すると賢い男性は「もう一つだけ」と返答しました。そして‥
「今から、そのまき散らした羽毛を全て拾い上げて下さい」
と続けました。すると、若い男性は「そんなことは不可能です。まき散らした羽毛は、風にまき散らされてしまったのですから…」と言い返しましたが「まさしくその通り。」と賢い男性は答えました。
「あなたは本心から自分がしてしまったことを正そうとしているのかもしれません。ですが、私が受けた損害を修復することはあなたが先ほどまき散らした羽毛を回収できないことと同じくらい不可能なことなのです。もはやあなたが口にしたことはすでにあらゆるところに拡散しています」
* * *
この話から私たちが学ぶべきことは?
個人的な経験からすれば、このストーリーは私たち人間の性質をよく捉えている。
私たちは、他人が誰かについて話す悪や噂を信じたり反応しやすい。具体的に言えば、週刊誌やテレビ…そうしたメディアが流す「ゴシップ」を簡単に受け入れやすいものだ。
そして、私たちは物語の男性のようにうわさ話がもたらす結果を想像する力が弱いものだ。そのため、拡散している悪い噂を「自分」の問題として捉えることができない。だからこそ、私たちが話す噂話は、相手に大きな損害を与えかねないことを理解しておく必要がある。
私の友人にポール・マイヤーという方がいる。彼は「噂話は、危険な銃弾のようなものであり、一度その音を聞いた者は、その音を決して忘れることができない。」と述べている。噂話とは単に相手に何かを伝えることとは性質が異なるだけでなく、相手を深く傷つけてしまう。
私たちが考えるべき”言葉の力”…
また、よく言われることに、「棒や石は骨を折るかもしれないが言葉は少しも傷つけない」というものがある。しかし、ここまで読まれたあなたであれば、これが真実でないことはお分かりいただけるだろう
ケガや病気は治療や時間が経過によって状態は改善する場合もある。ただ、噂話によって受けた傷は、相手の生涯に渡って治らないこともある。最悪の場合、その人自身の人生を台無しにしてしまうこともあるだろう。
一方、思いやりや配慮に溢れた言葉。あるいは勇気や自信を与えられる言葉は相手の自尊心を育むことにつながる。こうした温かい言葉は、私たちが人として成長し、人生の中で素晴らしく、そして重要なことを成し遂げるために必要なことなものでもある。
どのように言葉を口にするか。それは私たち自身にその裁量がある。見方を変えれば、そうした選択ができることは「自由な意思」を持っていることと等しい。だからこそ、私たちは「自由な意思」に基づくがゆえに、自分の言動の重さを認識し、常に正そうとする意識が必要となるのではないだろうか。
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