アドバイスなんてするな!

From 安永周平
「そうか…◯◯すればいいんですね。やってみます。」
僕が前職で、ある女性の部下の話を1対1で話を聴いていた時、そんなことを言われました。仕事で困っていることがあるというので、時間を取って話を聴いていたんです。そして、彼女は色々と仕事の悩みを話し始めまして、僕はその話を聴いていました。もう少し言うと、聴くことに徹していました。何が言いたいかというと…

何もアドバイスをしていない

ということです(笑) 僕がやったことと言えば、頷きながら「なるほど」「そうなんですね」など、あいづちを打ちながら聴いていただけです。彼女が僕に話したのは「◯◯さんと上手くいかない」「業務量が増えて仕事が大変」「でもお客さんのために頑張ってる」みたいな話でした。何もアドバイスなんてしていません。アイデアすら出していません。
もちろん、上司ですから「何かいいアイデアありますかね?」とか聞かれれば、ない知恵を絞って考えますよ(笑) でも、アドバイスを求められることはなく、ただただ傾聴と共感を繰り返していたら、しばらくして彼女が「そうか、◯◯すればいいんですね。やってみます!」と言って、自分で解決策を思いついて、感謝の言葉とともに面談は終了したわけです。こんな経験が何度かありますが、最初は自分でもビックリでした。

話を聴いてもうらだけで満足

おそらくですが、彼女の場合は自分の状況を聴いてほしかったのでしょう。自分だけが大変な思いをしていることに、ちょっとモヤモヤしていたのだと思います。実際、この時とは別の機会に「自分が大変な状況にいることを、安永さんが知っておいてくれるだけでいい」みたいなことを言ってました。そう、アドバイスがほしかったわけではないんです。
これ、特に男女のコミュニケーションではよく問題になりますよね(笑) 奥さんが子育ての悩みを旦那さんに話したら、旦那さんが「だったら◯◯すればいいじゃないか。」みたいにアドバイスをして、奥さんが「そういうことじゃなくて!(怒)」といってメチャクチャ不機嫌になる…と。奥さんは自分が苦労していることを旦那さんに話すだけ、聴いてもらうだけでよかったんです。それをアドバイスなんかするからケンカになる。
で、男女の場合はそれが起こりやすいと言うだけで、部下が男であっても話を聴く姿勢は信頼につながります。あなたも経験があると思いますが、人の話を聴けない人はコミュニケーションが上手くいきません。「こっちが何を言っても伝わらない」と愚痴る人ほど、人の話を聞かなかったりするので…まずはその事実に気付くことが大切ではないでしょうか。

アドバイス&詰問をしていた暗黒時代

とまぁ、今では僕もこんな風に思ってるんですが、実は冒頭の出来事から1年ほど前、同じようなシチュエーションでアドバイスをしまくっていました。いや、アドバイスをするだけならまだよかったんですが「こうすればいいのに、何でやんないの?」みたいに詰問をしまくってたんです。質問ではなく「詰問」です。相手をやり込めるための質問みたいな感じです。
この詰問ってのが曲者で、やっている方は一時的な優越感に浸ることができるんですが、されている方は最悪です。自尊心をメチャクチャ傷つけられるんです。名著『人を動かす』の中で、デール・カーネギー氏は「人は大抵の場合、自分の自尊心を満たすために行動する」と言ってるわけですから、逆に自尊心を傷つけられた人が、気持ちよく動くはずがありません。
結果、僕は部下たちから総スカンを喰らいました。僕の部門内での影響力は地に落ちたんです。どんなに正論であっても、どんなにもっともらしい事を言ったとしても「安永が嫌いだからやらない」という状態です。コミュニケーションって「What(何を言うか)」も大事ですが、それ以上に「Who(誰が言うか)」の方が圧倒的に影響が大きいんですよね。

リーダーは信頼残高を貯めよう

どんなに優秀な新人であったとしても、入社して1ヶ月も経たない人間からド正論で「◯◯した方がいいのに、何でやらないんですか?」と言われたら、少なからずイラッとするのが人間でしょう。社内では「誰が正しいか」よりも「何が正しいか」を重視するようなカルチャーをつくるように意識しているんですが、まぁーーこれが大変です。カルチャー作れる人は本当にスゴい。
ですから、やっぱり僕らは「この人が言うなら頑張ろう」と思ってもらえる人間にならないといけないわけですよ。社長や上司の立場にある人はもちろんですが、部下を持たない人でもこれは同じです。お客様を相手にする営業もしかりです。相手に発言を聴いてもらえるかどうかは、日頃のあなたの信頼や人格にかかっています。何を言うかも大切ですが、誰が言うか…この大切さを忘れないようにしたいですね。
PS
社長の場合はそれが会社の明暗を分けます。こんなふうに…

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この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社取締役。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で40年続く社員52名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。本業は「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」防災設備会社で事業承継を前提に組織改善と採用に奮闘中。