対立関係が起きてしまう真因

FROM ボブ・バーグ

最近のことだ。私がTwitterを見ていて、印象に残った投稿がある。それは…


「敵対する人々にも彼らなりの世界がある。そして、彼らがその世界の主人公であることを理解できていなければ、真の敵は理解できていない」

この投稿はプロの脚本家としても知られるジョン・ロジャース氏のものだ。ご存知のように脚本家とは主に映画やテレビドラマといったストーリーを作ることが仕事だ。ところで、物語には主人公もいれば、敵役もいる。そのうえで、私たちの心を揺さぶる物語には魅力ある敵役がいるものだ。

つまり、彼の投稿の意図するところは、敵役が見ている世界観がわからなければ、真の敵役を描くことができない。でなければ、脚本家はいいストーリーは書けないといったところだろう。もしかすると、彼は後進のためにこのような投稿をしたのかもしれない。だが、彼のこの投稿はこの分野にとどまらず、私たちの日常でも共有されるべき価値あるものだと思える。

私たちは信念体系によって意思決定している…

私は音声プログラムやブログの中で、私たちは信念体系と呼ばれるの独自のモノの見方で世界を見ていることを述べてきた。この信念体系とは無意識のレベルで機能している。また、言動や行動の多くをこの信念体系の影響を受けている事実に気づいていない。言い換えるならば、ほとんどの人が無意識のうちにうち意思決定を下している。

だからこそ、私たちはその意思決定が意識的なものか無意識的なものなのかを絶えず問いかける必要がある。それによって、相手に対してポジティブな関わりをもたらすことができる。そのうえで、ロジャーズ氏の投稿はこうしたテーマにおいて有意義な視点をもたらしてくれるものだ。

さて、昨今の政治などが良い例かもしれない。アメリカにおいては2つの主要な政党があるのはご存知のことだろう。一般的に私たちは、これら党の理念や信条と一致するからこそ、投票行動や支援活動を行ったりする。(注意して欲しいのは、この話は特定の候補者や地方自治体ではなく、あくまで2大政党の前提という点になる。)

この際ありがちなのが、その支持者が”自分自身こそが正義であり、対立する政党や支持者を悪そのものであるかのような捉えることだ。一旦、こうした世界観から物事を捉えてしまうと、あらゆるメディアや周囲の意見も受け付けない。さらには自分の都合のいいように解釈してしまう。

相手の世界観で見ることの重要性

一定の段階であれば、冷静に問題を議論することができるかもしれない。しかしながら、相手を敵や悪として捉えているような場合にはこれは十分ではない。では、このような場合、どうしたらよいか。これにはロジャース氏の助言にもある通り、彼らには自分自身の世界観があり、その世界の主人公であるという考え方が理解の手助けになる。

そのうえで、対立する政党や支持者の意見や考え方を伺い知る記事や書籍もあるものだ。もちろん、それらを通じ、彼らがどう考えているのか伺い知ることができる。だが、最もベストな方法としては相手に直接会って意見を聞くことにある。しかし、こう指摘する人もいるだろう。そんなやり方では相手がどう考えているか、その理由や背景などを教えてくれないのではと。確かにそのようなこともあるかもしれない。

しかし、自分自身が属していない組織やグループに会ったり、意見交換することはとても重要なプロセスになる。とはいえ、それは自分自身の敵意にも向き合わなくてはならないかもしれない。あるいは相手の敵意に身構えたくなるような気持ちになるかもしれない。しかし、このプロセスを経ることがなければ、相手の世界観を見ることはより一層困難になってしまう。

敵を味方にするために大切にすべきこと

言い換えるならば、彼らも私たちと同じように自分自身の世界の主人公である。その主人公は正義であり、当然、悪となる存在もあることだろう。興味深いことに、彼らも同じような仕組みで見ているものだ。だからこそ、あなたが彼らをよりよく理解しようとするならば、彼らもあなたのことをよりよく理解しようすることにつながるかもしれない。

さて、政治的な対立でこうした視点に立てるようになれば大したものだ。こうした視点に立てれば、多くの人びとを理解できさたり、協力関係をうまく結ぶことができるようになる。

それは、飛び込み営業での見込み客かもしれないし気難しい取引先かもしれない。あるいは厳しい条件を突き付ける上司でも動かない部下でもあるかもしれない。

さらには関係が冷え込んでしまった身近な友人や家族かもしれない。そうなのだ、覚えていておいて欲しいのは、彼らには彼らなりの世界があり、そしてその主人公として生きているのだ。

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この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。