信頼される人、されない人

FROM ボブ・バーグ

昨日会った人が今日はなんだか別人のようになっていたり。あるいは、通りにあるレストランで提供された料理が、とても美味しい日もあればそうでもない日もあったり。私たちの生活には「常に同じではないもの」が溢れている。

なぜ、マクドナルドが成功しているのか?

しかし、意識しているかどうかは別にして、実のところ、私たちはこの「一貫性」というのを、非常に重要だと思っている。だからこそ、マクドナルドのハンバーガーは、最高の味ではないにもかかわらず大成功を収めている。

なぜなら、世界中のどのマクドナルドでハンバーガーを頼んだとしても全く同じものが出てくるからだ。この「一貫性」こそが、その他多くのフランチャイズ・チェーンの成功の鍵にもなっている。

私たちが一貫性を欲する理由

そして、この一貫性への欲求は、生理的な欲求と同じように、私たちがまだ洞穴で暮らしていたような時代から続いているものだ。その当時一貫性というのは私たちが生存するために非常に重要なものであった。

というのも、自分が置かれている環境や状況を理解する上で、なくてはならない概念だったからである。たとえば、ちょっとした匂いや見えているもの、聞こえてくる音などがいつもと違っていたらどうだろうか?実際、それが「危険な動物」であることもあっただろう。

そう、一貫性があるからこそ、こうした感覚的な情報で先のことを予測することができた。このように一貫性を意識しておくことは、生きていく上でもとても重要あることは想像に難くない。

現在は、そうした生死にかかわるほど危険な状況に置かれることはあまりないが、それでもこうした一貫性は、私たちのDNAに深く刻まれ、私たちの行動に強く結びついている。このように、古代から受け継がれてきた行動に影響を及ぼす要因、経験則、行動心理について、ロバート・チャルディーニ博士は『一貫性の法則』と呼んでいる。

「一貫性の法則」を活かす方法

博士によれば「私たち人間は、一貫した行動を取りたいと思っているし、他人からもそのような行動を取る人間だと思われたい傾向が強い」と言っている。事実として、ビジネスでもプライベートでも、一貫性を保てば保つほど、人から気に入られやすくなり、信頼されやすくなる。

たとえば、その時その時で、考えがコロコロ変わるような人と仕事をするのはよくあることだろう。しかし、そういった人と一緒にいる時、あなたがどう感じるかを考えてみよう。そういう人と一緒にいて、あなたは居心地がいいと感じるだろうか?

ある時は礼儀正しく優しい上司が、また別の日には失礼極まりない態度を取ったりしていたら、どう感じるだろう?まだ私が若かった頃、そういう上司のもとで仕事をする機会があった。その頃、従業員はその日の上司の態度にビクビクしていたものだった。

こうした環境では、従業員の中で、上司に会社に貢献したいと思う気持ちが育つことはないだろう。会社の中でも色んな噂が立つことだろう。また、彼らの中で言葉にならない不安感や不快感が漂うはずだ。

信頼される人物の特徴は?

ここで少し考えてみて欲しい。あなたの上司、あるいは直属の部下。あるいは先生、両親、コーチ、メンターや、仕事の取引先でも構わない。あなたがその人のことを信頼できると思うときどんな特徴があるだろうか。

それはほぼ間違いなく、その人の振る舞いに「一貫性」があるはずだ。だとすれば、もしあなたが自分のことを信頼して欲しいと思うのであれば、この「一貫性」を意識しなければならないだろう。あなたは一貫した振る舞いや態度を取っているだろうか?

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この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。