売れないのはあなたのせいじゃない

From 安永周平

どんな業界であっても、営業の世界には「成約率」という言葉があります。対面営業はもちろん、WEBでセールスをしていれば「CVR(ConVersion Rate)」なんて言葉を使う人も多いでしょう。その成約率は、ある期間において、次のような式で導き出されます。

成約率 = 成約件数 ÷ 見込み客数

見込み客数というのは、会社によって定義(ルール)が違うかもしれませんが、たとえば商談に応じてもらった人の数なんかをカウントしている人も多いかもしれませんね。いずれにしても、一般的にはこの数字が高いことがヨシとされています。優秀なセールスパーソンほどこの数字が高い…と。まぁそりゃそうですよね。

ところが、ソニー生命保険のエグゼクティブライフプランナーで、世界中の生命保険・金融サービス専門職の権威ある団体『MDRT』において、入会基準の3倍の数字が必要なCOT会員の鎌田聖一郎さんは、この成約率を一切気にしないと言います。実際、彼は著書の中で「もし私の成約率を計算したら、低い数字が出るのではないでしょうか」と言っています。

全く売れない営業マンが「僕は成約率なんか気にしない」なんて言ってると、何バカなこと言ってんだと上司に詰められるのがオチでしょう。周りから見ても、ただの”イタい奴”になってしまいます。しかし、鎌田さんは非常に高い成果を上げている…ここには何か秘密がありそうです。では、それは何かと言うと…

見込み客は常に”足し算”である

ここに、鎌田さんの哲学が現れているように思いますが、彼は「見込み客は常に足し算である」と考えているそうです。どういうことかというと、相手から縁を切られることがない限り、1度でもコンサルティングしたお客様を自分から見切ることはないのだと。

たとえお客様に商談を打ち切られたとしても「何かあればまたご連絡くださいね」とだけ言い残して帰り、その後もハガキやメールを送り続けるそうで。そのハガキやメールを送る対象に、最後に会って何年以内という期限も設けていないのです。つまり、鎌田さんにとっては”ある期間”というのが存在せず、成約率という数字にあまり意味がないのでしょう。

こう言うと、5〜6年間も何の反応もないお客様にハガキやメールを送り続けることを、時間と経費のムダと考える人もいるかもしれません。しかし、実際に数年前にコンサルティングをしてから連絡が途絶えていたお客様が「私のことを覚えていますか?もう1度、保険の話を聞かせていただけませんか?」と連絡が入ることがよくあるそうです。繰り返しますが”よくある”そうです(笑)

ちなみに、連絡が途絶えていた理由は?

ここで、ちょっとあなたに質問です。鎌田さんに限らず、もしあなたが生命保険の営業をしていたとして、商談の後に連絡が途切れたとしたら…その原因は何だと思いますか? 「保険料がお客様が思っていたより高かった」「お客さんの考えをキチンと理解できていなかったのかも…」と考えるかもしれません(このように、責任が自分にあると考える人は伸び代がありますよね)。

ところが、連絡が途絶えた本当の理由は、全く違うことだったりすることも多いと言います。たとえば「内容はとてもいいと思ったんですが、今加入している保険の担当への義理があったんで…あの時は変更できませんでした」「あの時は言えなかったんですけど、離婚の話が出ておりまして…」「いずれ保険には入るつもりでしたが、まだ独身なので結婚を決めた時にお願いするつもりでした」などなど。

契約のタイミングなんてコントロールできない

こうした理由で成約に至らなかったお客様との関係を、短期間の成約率で考えてしまい、こちらから見切りをつけてしまったら…単純に成果を取りこぼしてしまうのはもちろん、お客様の本音を聞く機会を失ってしまうことになります。それに、お客様が必要とするタイミングは、僕らセールスパーソンがコントロールできるものではありません。ここを勘違いしてはいけません。

それを”クロージングのテクニック”なんかを振りかざして、契約を迫ると…お客さんはどう感じるでしょうか? セールスパーソン本位の考え方は、結局のところ”信頼を失う”という高い代償を支払う結果になります。そう考えると、お客様から「ちょっと検討して、また連絡します」と言われた後、連絡が途絶えたからと言って見切りをつけるのはもったいないことかもしれません。

必要なタイミングが「今」とは限らない

そうした時は「お客様から断られたのではなく、契約するタイミングが今じゃなかっただけ」だと考えるのが、僕らにとっては健全なマインドのような気がします。繰り返しますが、お客様が契約するタイミングが今とは限りません。むしろ、偶然にも今であることの方が奇跡に近いです。そんな奇跡、なかなか起こりませんよ。その前提で臨む方が心に余裕が持てます。

保険の営業マンなんて特にそうですが、契約は来月や再来月でなく、5年先、10年先になるかもしれないのです。でも、いずれ来るかもしれない。そう思えば、落ち込む必要はないですし、気長に待つことができます。見込み客が”足し算”だと考えていれば、可能性はどんどん広がっていきます。だとしたら、タイミングが合わなかった人に見切りをつけるのか、それとも縁をつないでいくのか…あなたはどっちを選びますか?

PS
保険は押し売りしていた営業マンの人生は、これで大きく変わりました…↓

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この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社取締役。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で40年続く社員52名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。本業は「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」防災設備会社で事業承継を前提に組織改善と採用に奮闘中。