説得と心理操作の違い

From 安永周平

人を動かす…というと、なんだか相手を心理操作するかような印象を持つかもしれません。実際に「説得と心理操作は違うのか?」と聞く人もいます。たしかに説得と心理操作は似ている側面があります。相手を動かして、特定の行動を取らせようとするからです。しかし、ここで明確にしておきたいことがあります。それは…

「説得は善、心理操作は悪である」

ということです。これは、何を隠そうボブ・バーグの言葉です(笑) この2つは似ていますが、それによってもたらされる結果は正反対です。事実、説得と心理操作の違いについて、心理学者のポール・スウェッツ博士はこう説明しています。

「心理操作は協力でなく”支配”を目指している。自分が勝って相手が負ける状況を作り出すもので、相手の利益は全く考慮していない。しかし、説得はこれと正反対だ。説得は相手の自尊心を高めるように配慮するから、人は喜んで動いてくれる。」

つまり、説得が「相手の役に立つこと」を目指しているのに対し、心理操作は「相手を傷付けること」を目指しているんです。意識しているかどうかは別として、心理操作をする人が自分の利益しか考えていないのは確かです。相手の利益を奪うことで、その人を苦しめることになっても気にしません。

心理操作をする人は、それがビジネスだけでなく人生そのものに悪影響を及ぼすことに気付いていません。たとえば、社員を雇ってもチームを作ることができません。部下から嫌われ、抵抗され、チームワークを発揮して仕事に取り組んでもらえる…なんて日は訪れません。

顧客がいても人間関係を維持できませんし、知り合いも紹介してもらえません。心理操作をしていることがバレたら、顧客はすぐに去っていきます。また、家族や友人がいても幸せな関係を築くことができません。やがて、猜疑心と反感・怒りに満ちた人生を歩むことになってしまうでしょう。

心理操作をする人を見抜くには?

こうした人とは、付き合わない方が賢明なのは間違いないでしょう(それが難しいケースもありますが…)。では、心理操作をする人を見抜くにはどうしたらいいでしょうか? 実はカンタンな見分け方があります。心理操作をする人は、説得する人が”絶対にしないこと”をよくやります。これを知っておけば、かなり高い確率で相手の本性を見抜くことができます。

それは「ネガティブな感情を利用する」ことです。彼ら彼女らは、相手を服従させるためにネガティブな感情を利用します。自分の要求を受け入れない相手に、罪悪感、劣等感、不快感、不安、恐怖…などなど、あらゆるネガティブな感情を抱かせて自分に従わせようとするんです。そうした感情を相手に抱かせ、脅しをかけ、言いなりになるように誘導します。

だから、もしあなたが誰かとやり取りをしていて、今挙げたような感情を抱いたり、やりたくないことを押し付けられているように感じたら要注意ですね。僕らは、どんな人と接する時も、自分の身に何が起きるのかを予想なければいけません。ラッキーなことに僕らは意志を持っているから、相手の不当な依頼を拒否することができます。

もしあなたが、これからやろうとしていることに何となく抵抗を感じたら、少し冷静になってその理由を自分に問いかけてみましょう。きっと答えがわかるはずです。その結果、「NO」と言わなければならないと判断したら、相手に気配りをしながら断りましょう。自分を犠牲にして「YES」と言ってしまう人は、これを機にぜひ改めてみてください。

心理操作のTAKER vs 説得のGIVER

説得も心理操作も、人間心理を熟知したうえで相手を動かすためにその知識を活用するのは同じです。しかし、両者の決定的な違いは、心理操作する人が自分の利益だけを考えているのに対し、説得する人は双方の利益を考えていることでしょう。こう考えると「心理操作する人=TAKER:奪う人」であり、「説得する人=GIVER:与える人」と、このメルマガではお馴染みの言葉で表すこともできますね。

そして、相手の本性を見抜くだけでなく、僕ら自身も無意識のうちにTAKER(奪う人)にならないように気をつけなければいけません。あなたは大丈夫だと思いますが…ともすれば、明らかに相手を心理操作しようとしているのに「問題ない」「相手のためだ」と言って正当化したくなるのが人間です。特にどうしても人を動かす必要がある時、人は自分に嘘をついていることに気付きにくいもの。

しかし、人を動かす達人は「自分は今、相手を操作しようとしていないか?」と常に意識しています。それが、幸せで充実感溢れる人生を送る秘訣だと知っているからです。だからこそ、僕らもそれを見習い、相手の利益を奪っていないか? この提案は相手の役に立てるか? 双方の利益を考えるGIVER(与える人)として行動できているか? と自分に問いかけて行動する必要があるのではないでしょうか。

PS
心理操作も説得も、多くの人は無意識のうちにやっています。特にお客さんにこれをやってしまうのは問題です…↓

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この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社取締役。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で40年続く社員52名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。本業は「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」防災設備会社で事業承継を前提に組織改善と採用に奮闘中。