FROM ボブ・バーグ
私とジョン・デイヴィッド・マンとの共著である『THE GO-GIVER あたえる人が与えられる』の中で、第1の法則として、「あなたの本当の価値は、どれだけ多く、受け取る以上のものを与えるかによって決まる。」という価値の法則を紹介した。
こう言うと、あなたは「そんなことをしていては利益が得られないのではないか?」とか「むしろ損をするのではないか?」と思われるかもしれない。事実、これだけでは持続的なビジネスは成り立たないだろう。利益を出すことが大前提の「ビジネス」としては、破産まっしぐらだ。誰の得にもならない。
そこで、もう少しこの言葉の意味について掘り下げて考えてみよう。今や「価値」という言葉は、他の何かと組み合わせて使われることが多く、それ自体は意味を失いつつある。したがって、ここで価値の意味を定義しておこう。
「価値」と「価格」の違い
まず大事なのは、「価値」と「価格」の違いを理解することだ。価格とは、金銭的に多いか少ないか…というだけのことだ。単に「いくら」であるという情報であって、それ以外の情報は含んでいない。一方で、価値とは、何かと比較して見られる利点であり、エンドユーザーや、その商品を持つ者の「欲求の強さ」なのだ。
商品やサービス、コンセプト、アイデアなどによって、特定の誰かにもたらされる価値は、その誰かにとってお金など対価を支払う対象となり、その支払いに対して満足できるようなものでなければいけない。一方で、この時、それを提供する側も大きな利益を得ることができる。
ちょっと高めのレストランに行った時…
たとえば、とてもお洒落なイタリアンカフェに行ったとしよう。メニューを見ると、値段も比較的高く、洗練されたスタッフがサービスを行う。場所も、街中でもお洒落な人が行き交うような場所に位置しているお店だ。このお店に足を踏み入れると、その瞬間、VIPのような扱いだ。まるで家族の一員であるかのように、他にないホスピタリティと敬意を持って接客される。
ウェイターもプロフェッショナルで、動きも格調高く、必要な時にそこにいてくれる。あらゆるスキルを完璧に兼ね揃えているのだ。しかし、それ以外のときには決して邪魔にならず、友人との食事を穏やかに楽しむことができる。食事は美味しく、盛り付けも芸術的。店全体の雰囲気の調和も見事だ。ドアを開けられて退店する際には、通りかかる通路にいるスタッフ全員から「ありがとうございました」「またのご来店を」の言葉。
あなたは「高い」と感じるだろうか?
支払った金額は普段の食事よりも高かったはず。しかし、おそらくそんなことは気にならないだろう。その店で体験した全てが、あなたが支払った金額の何倍もの価値を持っていたからだ。どうだろう、イメージできただろうか?仮にお会計の時に15,000円を提示されたとしても、あなたが得られた「価値」はその10倍以上のものだったはずだ。場合によっては、100万円の価値があったとすら感じるかもしれない。
これはつまり、このレストランのオーナーが、あなたに対して「あなたが支払った金額以上の価値」を提供したということなのだ。しかし、食事の提供や人件費などにかかっているコストは、あなたが支払った金額よりもずっと少ない。つまり、このオーナーは同時にかなりの利益も得ているということになる。
「価値の法則」の本質…
「どれだけ多く、受け取る以上の価値を与えるか」というのは、得られる金額以上を相手に与えよ…という意味ではない。ここは混同してはいけない。そうではなく、何かを提供する時、相手が支払う金額よりも魅力的な「価値」を提供し、あなたはそのために使ったコストを上回る金額を受け取れるようにしなさい、ということだ。(※対価がお金以外のこともある)。
このようにすることで、取引する前より、お互いに得をしている状態になる。これこそが、自由市場における取引のエッセンスだ。また、「1つの取引においては、常に2つの利益が出ている」という言葉がある。お察しの通り、それは買い手の利益と売り手の利益だ。
注目すべきは「価値」である
ポイントは視点を変えることだ。お金に目を向けるのではなく、顧客に対してより多くの価値を与えることを考えることだ。そうすることで、顧客はあなたを、継続的なビジネスパートナーとして選んでくれるようになるだろう。「価格」と「価値」は違うと言っているのはそういうことだ。
お金は、価値という雷が発する雷鳴のようなもの。何より先に「価値」が存在し、対価として受け取るお金(価格)は、あなたが提供する価値に付属する当然の結果に過ぎない。だから、価値に注目しよう。多くの人にとっての価値を考えることで、お金は当然ついてくる。それが、価値の法則だ。「あなたの本当の価値は、どれだけ多く、受け取る以上のものを与えるかによって決まる」のだ。
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