FROM ボブ・バーグ
優れた人格者を除いて、何か間違いを指摘されたり、直接批判されたりするのが好きな人はいないだろう。あなたが相手にそんな言い方をすれば、相手は断固として考えを改めるのを拒むはずだ。では、どうすれば相手が意固地にならずに、相手の面子を潰すこともなく、相手の間違いを正すことができるだろうか?
賢明なあなたはお気付きかもしれないが、それには「第3者の力」を借りることだ。1つの方法としては、あなたが相手に伝えたいことを、以前同じような状況で「あなたが第3者に指摘された経験」として話すことだ。
「自分の体験」を通して相手に伝える
たとえば、あなたのアシスタントは考えが古く、パソコンを最新版のものに買い換えるのを渋っており、作業の効率が悪い状況だとしよう。このままでは、時間とお金がどんどん無駄になっていく。そこであなたは、アシスタントに面と向かって「時間とお金の節約のために、最新のパソコンの操作方法を覚えなさい」「それができないなら、この会社ではやっていけない」と言うこともできるだろう。しかし、そんなやり方では、相手のやる気がくじかれてしまうし、仕事のパフォーマンスが改善されることもない。
強行策に出ることもできる。しかし…
もし、あなたが上司であれば、その人を解雇して代わりの人間を採用することもできるかもしれない。ただ、仮にそのアシスタントが、パソコンの操作以外の面では本当に素晴らしい仕事をしてくれて、あなたにとって大切な右腕だったとしたらどうだろう?(そんな人が本当に存在するかどうかは、置いといて…)
彼はあなたを知っているし、どうすればあなたが喜ぶかも分かっている。それに、自社のクライアントと彼の間には個人的な付き合いもあり、クライアントは彼のことを気に入っている。彼と一緒に居ると安心だとまで言ってくれている。
こうなると、この場合は解雇するよりも、彼になんとかして考え方を改めてもらい、最新のパソコンを導入した方がいいだろう。そして、この時に役立つのが「第3者の力」だ。たとえば、このように言ってはどうだろう?
「ロジャー、この会社が創業間もない頃、凄く困ったことがあってね。設備に最新技術が導入されていて、僕は使い方がわからずに忙殺されたことがあったんだよ。当時、私の上司だったメアリー・ジョーンズは、私が尊敬して止まない人物だったし、彼は私の仕事を高く評価してくれた。ある日、その人に言われたんだ。『ボブ、もしきみがこの最新技術が搭載された設備を使いこなすことができれば、会社において君の価値は今よりずっと高くなる。それに、なんと言っても、大学を出たばかりの新人のほとんどが、既にこうした技術に慣れているだろう。そんな中で、社内での君の立場を守っていくためには、時代の変化に対応してもらう必要がある。そのためには、できることを何でもすることが大切なんだよ』と。」
さて、ここで何が起こっているか、整理してみよう。あなたの言いたいことは、あなたの口から実際に言われている。しかし、ロジャーに対して「そうしなさい」と命令したわけではないことが分かるはずだ。あなたはただ、ロジャーを過去の自分に重ねて、「会社における立場は、自分がどのように行動するかで変わる」ということを伝えているだけなのだ。
「第3者の言葉」で間接的に伝えよう
この第3者による説明は、もちろん色んな使い方ができる。例えば、あなたの好きな人が、夢をかなえるために必要な行動を起こしていないとしよう。この時、こんな風に言うこともできる。
「なあ、君はもっと本を読んで、付き合う人間を選んだほうがいいよ。」
多くの人はこのように言うだろう。しかし、あなたは、こんな風に言うこともできるはずだ。
「チャーリー・ジョーンズという、人生の成功者がいてね。その人が僕に教えてくれたんだけど、今の自分と5年後の自分がどれだけ変わっているかは『誰と付き合うか』と『どんな本を読むか』で決まるらしいよ?」
これで、相手が意固地にならずに、相手の面子を潰すこともなく、相手が間違いを正す方向に導くことができる。
「第3者」の言葉は想像以上に強力だ
私が尊敬してやまない男性が、かつて私にこう言ったことがある。「第3者による言葉は、相手の間違いを直接指摘するよりも、お互いをWin-Winの関係に導く賢明なやり方だ」と。おや…これもまた第3者の言葉のようだ(笑)
-PR-
お互いをWin-Winの関係を持っていく交渉術はコチラ↓