占い師の皮を被ったセールスマン

From 安永周平

今から1年ほど前、娘がまだ0歳の頃に初めて一泊の旅行をしました。友人から旅行代理店の方をご紹介いただいて探してもらったのですが…思い立った時点で”オススメの宿”どこもいっぱいでした。結局、WEBで探した南阿蘇のオーベルジュに泊まって星空体験をしようということに。

ちなみにその日は「ブルームーン」と呼ばれる満月の日で、月はとてもキレイだったんですが、月の光が明るすぎて星はそんなに見えなかった…というオチでした(笑) で、翌日は特に予定も決めてなかったのですが、子供の頃に行った「白川水源」が宿の近くだったので、妻と娘を連れて行こうと思って車で行ったんです。ここ水が本当にキレイで、湧いてる水源を見てると心が洗われるのでオススメです。

天然石を売ってる店があったんですが…

さて、そこで観光地ではよくあると思いますが「天然石」を売ってる店があったんですね。水晶やらタイガーアイやら…まぁ色んな種類のきれいな石が置いてあるわけです。観光地ってなんであんなに天然石とかパワーストーンとか売ってるんでしょうね。売れるから売ってるんでしょうけど、別に観光地で買う理由とかないよなぁ…と個人的には思うわけです。ところが、そんな僕が今回、天然石を買ってしまったんですよ。

というのも、その店には2人の店員がいまして、1人はスキンヘッドのおっちゃんです。どうやら占い師のようで「あなたの運勢を無料で占います」という張り紙が貼ってあります。そしてもう1人はおばちゃんです。そのおばちゃんが、道行く観光客に「無料で占いますよ」「占っていかれませんか?」「生年月日教えてもらうだけでOKです」とイケイケドンドンのアプローチをしています。その気迫に負けたのか、妻と僕と、そして生後8ヶ月の娘まで占ってもらうことに。

次々と占うスキンヘッドのおっちゃん

2〜3人順番待ちしてたんですが、天然石を見ながら待ってると僕らの番になりました。そして、スキンヘッド占い師のおっちゃんが、僕の生年月日を見ながら色々と言うわけです。有名な「四柱推命」なんかも生年月日に基づく統計学ですから、まぁそうした知識があればそれっぽいことも言えるでしょう。ぶっちゃけて言うと、2〜3週間たった今、内容はあんまり覚えていません。なんか「アンタはスゴい男になるよ」的なことを言われたことだけ覚えています(笑) 妻も娘も、同じように占ってもらいました。

で、面白かったのがその後で、占いが終わった後に「あなたにオススメの石はこの3つです」と言って、石を3種類紙に書いて渡してくれるんですよ。ウマい話だと分かってはいても、自分が占ってもらった直後に「この3つだよ」と言われると、まぁまぁ自分ごとのような気がしてきます。それに、さっきは何十種類もあって自分じゃ到底選びきれなかった石が、なんとたった3つに絞られるんです。「選択肢の矛盾理論」による買わない理由が撃破されました。

占い師の皮を被ったセールスマン

で、まぁ価格も3つで3,000〜4,000円くらいです。旅先では財布の紐が緩むし、地域共通クーポンももらってます。これくらいいいんちゃうか?という気になります。まぁ結局、僕と妻は買わなかったんですが、娘にオススメの石3つを買ってしまいまして(笑) 半分はこのメルマガのネタにするためですが、半分は娘の幸せを願う気持ちです。親というのは、子供のためならお金使いますからねぇ。

そして、僕らの後ろを見ていると、あのスキンヘッド占い師がどんどん占っては次々と石が売れていくわけです。オイオイ、これ素晴らしいセールスやないかと。「占い師」という皮を被ったセールスマンやないかと。見ていて感心してしまいました。実際に「無料で占ってもらうだけじゃなんか悪いし…」という気持ちが働きますし(返報性の原理)、あのおっちゃんただものじゃないですわ。いや、相方のおばちゃんの臆すことないアプローチもスゴかったですが…いいコンビですね。

人は感情でモノを買い、理屈でそれを正当化する

改めて思ったんですけど、別に天然石なんて欲しくなかったんですよ。理屈で考えればなおさらそうです。でも、なんか気分ほくなって、いったん「欲しい」という感情がはたらくと、あとはそれを正当化するための理屈を探し始めるのが人間です。人間とは感情の生き物で「自分は論理的だ」と思っている人でも、結構な割合で感情で行動しているもの。だからこそ、相手の感情を尊重しないコミュニケーションは上手くいきません。

営業もしかり。どんなに正論を言ったところで、あなたがお客さんから嫌われていたら買ってもらえることはありません。むしろ、相手を説得しようとすればするほど抵抗されるでしょう。距離を取られるようになるでしょう。それよりも、まずは相手の感情に寄り添うこと、相手の立場で考え、話すこと。それが話し合いの土俵に乗るための最初のステップではないでしょうか。スキンヘッドのおっちゃんから色々と学ばせてもらった有意義な1日でした。

PS
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この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社取締役。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で40年続く社員52名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。本業は「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」防災設備会社で事業承継を前提に組織改善と採用に奮闘中。