負けないことがそんなに大事?

From 安永周平

ちょっと想像してみてください。あなたは今、あるゲームに参加しています。最初に「目的は勝つことです」と言われ、10名いた参加者は、AとBの2つのグループに分けられました。あなたはAグループです。ゲームが行われる部屋にはスコアボードが用意されています。そして、両チームには「△」と「□」の記号が描かれたパネルが1枚ずつ渡されました。

勝負は全部で10回戦。毎回、両チームが同時にパネルで記号を出し、相手チームがどちらの記号を入れてくるかで得点の計算方法が変わります。ですから、チーム全員でどちらの記号を入れたらいいのかを話し合うというわけです。そして、得点の計算方法ですが…

・Aチーム(△)、Bチーム(△):両チーム−2点
・Aチーム(△)、Bチーム(□):Aチーム+2点、Bチーム0点
・Aチーム(□)、Bチーム(△):Aチーム0点、Bチーム+2点
・Aチーム(□)、Bチーム(□):両チーム+1点

といったようになっています。さて、Aチームのあなたは、勝つためのどのような作戦をとるでしょうか。チームのメンバーとどんな話をするでしょうか。

論理的に考えれば、答えは明白…

もし、あなたが論理的思考が得意であれば、ひと目見ただけで何を出せばいいか決められるでしょう。答えは明白です。「△」を出し続ければ、絶対に負けることはありません。相手が△を出せば、共にマイナス2点。相手が□を出せば、自分に2点入り、相手は0点です。得点の計算方法を聞けばわかります。

そして、このルールならBチームも△を出し続けるでしょうから、共にマイナス2点。10回戦が終われば、結果は共にマイナス20点で同点になります。マイナス点ではあるけれど、お互いに同じなんだから負けにはなりませんし、相手も勝てないのです。

そのうえ、この選択にはリスクがありません。相手が□を出してきたら、こちらは+2点になるんですから、むしろ勝てることになります。こんなに単純な仕組みなら、何も悩む必要はないでしょう。いったい何を話し合う必要があるんだろう…と思いませんか? 僕も最初はそう思っていました。しかし…

「ゲームの目的は”勝つこと”です」

結果は、僕の間違いでした。そして、多くの人がこのゲームで僕と同じ間違いを犯したのではないでしょうか。ゲームが終了した時、司会者はこんな説明を始めます。

「ゲームの目的は、勝つことです…と言いました。勝つと言っただけです。”相手に”勝つと言っていないのに、勝つと聞いて、すぐに”相手を負けさせよう”と考えた人はいませんでしたか? 実は、このゲームには両チームが一緒に勝つ方法が1つだけあるんです…」

賢明なあなたは、もうお分かりでしょう。そう、このゲームには、相手を信じることで、お互いに得点がプラスされていく組み合わせが1つだけあります。お互いがプラスになることを信じて「□」を出したなら、両チームともにプラスの得点がされていきます。これを続ければ、10回戦が終わった後、結果は共にプラス10点になります。

共倒れか、Win-Winか?

どちらも「同点」ではありますが、意味は180度違います。両チームとも「△」を出し続けた場合は、結果は共に”マイナス”20点です。相手には負けていないかもしれませんが、マイナス点ですからどちらも負けでしょう。つまりは共倒れです。お互いの足を引っ張り合うことで、どちらも悪い結果になってしまったです。

一方で、両チームがお互いを信じることで「□」を出し続ければ…どちらも”プラス”10点です。どちらも一緒に「勝つ=プラスの結果をつくる」ことができるのです。つまりは、Win-Winの関係ですよね。勝つとは、相手を負かすことではありません。このゲームの話、佐々木かをりさんの著書『Give & Given』の中で紹介されていたのですが…両方とも勝てる選択肢が世の中には存在する、そんな真実をこのゲームは教えてくれます。

優れたリーダーは相手にも勝ってもらう

今でこそ、この「Win-Winの関係」という言葉をよく聞くようになりましたが、まだまだ「それって現実的な話なの?」「本当にそんなことが可能なのか?」と思っている人が多いのも現実です。しかし、先のゲームの例を思い出してみてください。まず自分から相手を信じることで、お互いが勝てるだって存在するはずです。

もちろん世の中には、国際情勢や政治にまつわる本当に難しい交渉事だってたくさんあります。その一方で、僕らが日々の仕事の中で、誰かとコミュニケーションする中で、お互いにメリットのある提案・交渉ができるケースもたくさんあるんです。実際、ボブの姪っ子がわずか8歳の時、友達と素晴らしいWin-Winの関係を築いたコミュニケーションの事例もあります。そうした僕らも気軽にできるような事例を知りたい方は、ぜひこちらをチェックしてみてください。

PS
人を動かす立場にいるリーダーは特に、これができるかどうかで仕事の成果もチームの雰囲気も180度変わってきます。みんなが足を引っ張り合って共倒れになるのか、みんなが協力して全員が勝つのか…さて、あなたはどちらを選びますか?

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この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社取締役。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で40年続く社員52名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。本業は「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」防災設備会社で事業承継を前提に組織改善と採用に奮闘中。