From 安永周平
以前、こんなことがありました。オフィスの入口の方から話し声が聞こえるので、誰かお客さんでも来たのかと思ったら…事務の女の子が「飛び込み営業」の対応をしていたんですね。それで、結構長い時間粘っているみたいで、10分くらいは経っていたと思います。
ウチのオフィスは、基本的に入口はオープンになっています。昨今、セキュリティの強化によって門前払いが当たり前の時代、新規開拓の営業マンにとっては優しい造りではないでしょうか(笑)。
「飛び込み」でやってきた新人営業マン
で、私のデスクは少し奥まったところにあって、その営業マンからは死角になっているんですが、話のやり取りは何となく聞こえました。どうやら新人の営業マンで、コピー機の新しいサービスを売りたいらしく、彼のセールストークはこんな感じでした…
「弊社の新しいサービスでは、カラー印刷の割合が◯%以上であれば、1枚当たりの単価が抑えられまして…今の現状ですと、モノクロも使ってると思うんですけども。もしよろしければなんですけれども…あの、こちらご興味ありませんか?」
「ケータイの通話プランのようなサービスなんですけれども…すいません、新人なもので説明が上手くできずに申し訳ないんですが。このシステムを使うと、1枚あたりの単価が安くなることを、上の方にもご相談いただけないかなと。」
「どれくらい安くなるかというような価格感がなければわからないと思いますし、それで…もしよろしければこちらアンケートにお答えいただけないかなと。あと、唐突で申し訳ないんですけれども、今現在お使いの複合機で、1分間で何枚出力できますでしょうか?」
「◯◯さん(事務の女の子の名前)もお忙しいと思うのですいませんが、あの、もしよろしければなんですけど、ご連絡いただけないでしょうか?今すぐのご提案は難しいと思いますので、次回のタイミングの時に提案させていただけないかなと。」
「実は、複合機以外にも扱っていまして、こちらに弊社の商品も記載させていただいておりますので…タジタジなご案内になってしまい、かえって失礼になったかもしれませんが、また興味持っていただくことがありましたら、ご連絡お待ちしております。」
…とまぁこんな感じです(苦笑)。これでもちょっとまとめたので、実際はもっと話があちこちに行ったり来たりして、お世辞にも説明が上手いとは言えませんでした。そして、当然ながら…私は契約したいとは思いませんでした。
彼が犯している間違いは何だろうか?
日々、営業をしているあなたからすれば「イヤイヤ、間違いしかないわ!」とツッコみたくなるかもしれません。確かに、細かいツッコミどころはたくさんあるし、1つ1つ説明していくと、今日だけじゃとても終わらない気がします。
ただ、私は彼のセールストークを聞いていて、ボブが言っていた「ある言葉」を思い出しました。それは、私にとってはとても印象深いもので、セールスというものを勘違いしていたことに気付かされた言葉です。既にこのメルマガでは紹介したこともありますが、改めて復習しておきましょう。
「何かを売る」とはどういうことか?
セールスを仕事にしている私たちは、どうしても「いかにして売るか?」という思考になってしまいがちです。つまり、言い換えれば、セールスとは「自分が誰かに対してすること」だと考えてしまっているのです。
ところが、これこそがセールスについての間違った認識であり、まずはこの認識を改めなければならないとボブは言います。恥ずかしながら私も、以前はこの認識を持っていましたし、実のところこうした認識の営業マンは多いのではないでしょうか。しかし、私はボブのセールスの定義を聞いて大いに反省しました。それは次のようなものでした…
私は、セールスとは相手が何を求めているのかを発見することだと考えている。そして、セールスとはパートナーシップであり、相手と一緒にすることだ。つまり、商品・サービスを相手と一緒に買うことなのだ。
セールスとは “相手と一緒に” 買うこと
つまり、「こんな商品ありますよ」「あんなサービスもありますよ」と一方的に”誰かにする”のはセールスではありません。セールスは相手と”一緒にする”ものだと。だとしたら、私たちセールスに関わる者は、相手に質問をして、相手の悩みを理解し、相手を心底助けたいと思わなくてはいけません。
当たり前だけど、見込み客は、私たちの今月の売上ノルマを達成させるために買うわけではありません。私たちの収入をアップさせてくれるために買うわけでもありません。私たちが扱う商品・サービスを通して、自分の問題を解決できる、役立つと信じるからこそ買ってくれるわけです。
相手の悩みを解決するのに役立つか?
だとしたら、私たちは見込み客の悩みを理解することに力を注がなければいけません。それを解決するサポートをすることに全力で取り組まなければいけません。その上で、自分が扱うサービスが、相手の悩みを解決することにつながると確信して初めて、商品を提案しなければならないのです。相手と「一緒に買う」とは、そういうことではないでしょうか。
先の飛び込み営業にやって来た新人営業マンの彼を見て、改めてセールスというのは、自分の商品・サービスを案内するだけではいけないことを思い出しました。ついつい忘れてしまいがちなことですが、日々意識して仕事をしていきましょう。
PS
こちら「春の営業強化週間」とのことで、新しい動画が公開されています。きっと今日の話の参考になると思いますので、ぜひチェックしてみてくださいね↓