From 安永周平
たしか小学生の頃、国語の教科書に「いっぽんの鉛筆の向こうに」というタイトルの話が出て来たんですよね。話の内容は、たかが1本の鉛筆だけど、その鉛筆ができるまでには多くの人の苦労があるんだよっていうお話です。ちょっと気になって調べてみたら、平成4〜7年まで小学4年生の国語の教科書に掲載されていたようです。ということは、このタイトルにピンときた人は私と同世代ですね。
ちなみにこの話、スリランカのボガラ鉱山で黒鉛の塊を砕いて採る「ポディマハッタヤ」さんや、朝早く森に入り、切り倒したヒノキの丸太を夜明けとともに製材所に運ぶトラック運転手の「トニーゴンザレス」さんなど、小学生にとってはユニークで強烈な名前の登場人物が多過ぎでした(笑) さて、そんな事を思い出しながら、とあるボブの教材の内容を学び直していました。すると、その際「感謝」についての項目でこんな話があったんです。
1杯のコーヒーの向こうに…
あなたが1杯のコーヒーを飲む時、そのコーヒーが自分の手に渡るまでのことを考えてみてください。例えば、それがコロンビアコーヒーならば、コロンビアにいる誰かがコーヒー豆を栽培しているのです。コーヒー豆を栽培するには、たくさんの種類の設備が必要で、農家は卸売業者にコーヒー豆を販売し、それが小売店に行き渡り、そこで初めてコーヒー豆が買われ、あなたの手に届くのです。
農家はそのコーヒー豆を栽培するために働かなくてはなりませんし、1人では栽培できませんから、おそらく何人かの人手を借りて栽培しているはずです。その後、そのコーヒー豆はアメリカに向けて船積みをした業者に売られていきます。豆が栽培され、それが消費者の手元に届くまで、たくさんの仕事や多くの人による労働が必要とされます。コーヒー豆を運搬するための航空機や船便は、多くの人の労働によって成り立っており、独自の販売網や卸売業者を経て供給されていくのです。
アメリカに到着したら、そのコーヒー豆は卸売業者の手に渡ります。もちろん卸売業者は、それが適切にブレンドされ、手入れされていることを確認しなければいけません。それが確認できたら、コーヒー豆を専門に取り扱う仲介業者や食品専門の卸業者に販売し、そこから様々な小売店に分配されて行きます。また、小売店はそれぞれ多くの設備を抱えていますが、このような設備を製造、販売するためにも多くの人が働いています。様々な人たちの働きがあって初めて、あなたにコーヒーを販売することができるようになるのです。
実際に、あなたがお店でコーヒーの粉とコーヒーカップを買うとしましょう。まず店側は、コーヒーメーカーで豆を挽かなければならず、日々そのような作業を繰り返し行う必要があります。このコーヒーメーカーに使われている部品は1つ1つが違った形をしていますが、それぞれの部品が設計され、製造され、組み立てられて1つの機械となり、様々な流通網を通じて販売されます。そうして初めて、コーヒーメーカーはあなたがコーヒーの粉を購入した店に搬入されます。最後にようやくコーヒーがカップに注がれるのです。このような製造・流通のプロセスが色んなところで繰り返されているのです。
コーヒーにはミルクを入れてもいいですが、ミルクについては最初に牛が必要です。牛を育て上げ、ミルクを搾らなければなりません。搾乳されたミルクは、木箱に詰められ、加工、低温殺菌、梱包の工程を経て、卸売業者に出荷され、消費者に供給されていきます。あなたが砂糖を入れるなら、サトウキビを栽培している人たちのことを想像してみてください。また、ミルクや砂糖をかき混ぜるためのスプーンを使う場合はどうでしょうか。そうですね、最初にスプーンを作るための原材料が必要で、ミルクや砂糖を製造して販売する工程と同じようなプロセスを辿らなければならないでしょう。
このようなことが全て揃って初めて、あなたは毎朝コーヒーカップに入ったコーヒーを飲むことができるのです。覚えておいてください。私たちが生きる世界は、誰かの働きによって成り立っているからこそ、あなたはコーヒーを飲むことができるのです。そう考えると私は、本当に、本当に、心からこうしたことに感謝することができると思っています。
感謝するのが苦手な方へ
…この話を読んで、改めて感謝について考えました。よく「感謝が大事」とか「成功の秘訣は感謝」とか言われますよね。自己啓発本を開けば、まぁ必ずと言っていいほど書いてある内容。それから、セミナーとかに行けば、ほとんどの講師がそう言ってます。だから、「ありがとうを1日1万回唱えましょう」みたいな話もありますよね(個人的には今でもそーゆーのは苦手です…^^;)。
まぁとにかく感謝が大事だと言う人は多いです。偉人の自伝やビジネス書を読んだ限り、事業で大成功した人はみんな言ってる気がします。もちろん、ボブも感謝が大事だと言っています。というか、正論すぎて否定する人なんていないでしょう。ただ…
感謝の心には教養が必要である?
お恥ずかしい話なんですが、私自身、特に3〜4年前まで、どーーーも感謝することがが苦手でした。本を読んで「感謝が大事」と書かれていて、「なるほど、確かに」と思って感謝をしようとする。それでも、まぁ「ありがとうを1万回」はともかく、無理やり感謝をしようとしても、違和感があって仕方なかったんですね。
そんなある日、イギリスの文学者、サミュエル・ジョンソン博士の次の言葉を知って、感謝することについて、とても腹落ちする経験をしました。それは何かと言うと…
「感謝の心はたゆまぬ教養から得られる果実である。それを粗野な人々の中に発見することはできない」
これにはガツンとやられました。当時の私は全く教養が足りてない未熟者だったから(今もそうですが…^^;)、先のように1杯のコーヒーの向こうにある多くの人の努力を知らなかったから、考えてなかったから、自然と感謝することができなかったんですね。自分の利益のために「手段」として感謝を使おうと思っていた浅はかさに原因があったんじゃないかなと、今となっては思うんです。
相手を知り、世の中を知ること
もちろん教養というのは、知識のみならず、様々な経験によって培われるものです。だから、この言葉を知っただけでは、まだスタート地点に立っただけでしょう。これから先、行動によって自然と感謝の心が生まれるように自分を磨いていかなければいけません。
名著『7つの習慣®』によれば、人格は繰り返す“行動”の総計だと言います。私はまだまだ、感謝についてはポンコツのレベルですが…今後もあなたと一緒に、行動によって人格を磨いていけたらとても嬉しく思います。
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