これ芸人でも無理じゃない?

From 安永周平

「ねぇ、なにか面白い話してよ…」

ちょっと想像してみてくあさい。あなたがデート中に、相手の女の子からこんなキラーパスをもらったとしましょう。男からすれば、この言葉の破壊力たるや相当なものです。「オイオイ、俺を試してんのか?」「面白いって何?笑える話?興味深い話?」「ってか、俺の話ってそんなにつまらなかった?」なんて様々な憶測や不安が頭の中で錯綜する”一撃必殺の殺し文句”です。

ちなみに、うちは結婚後も妻が時々このパスを投げてきます。そんな時、ドヤ顔で人志松本ばりに「すべらない話」を繰り出してやろうといつも思うのですが…不意打ちでコレを言われると、その時はサッパリ出てこないんですよね。以前、iPhoneのタスクリストの中に「ネタ帳」という項目を作っていましたが、全然活用できませんでした…笑

いきなり聞かれても出てこない

いや、あるんです。過去に面白かった体験とか、笑える話とか。39年も生きていれば色んな笑える話とか自分の恥ずかしい失敗とかも結構たくさんあります。あるはずなんです。ただ、それらが聞かれてた瞬間にすぐに出てくるかどうか…となると、話が別なんですよね。 その時は思い出せなくて悔しい思いをする。そして、しばらくして話が終わった頃に思い出し「あぁ、しまった!あの話すればよかったぁ…」と嘆くわけです。あの時、思い出してさえいればドッカンドッカン笑いを取れたはずなのにと。ちなみに私の場合、たまに思い出したタイミングで妻にその話をすると、97%くらいの確率で滑ります。

人は「検索プロセス」に時間がかかる

…話を戻すと、要するに、人は面白い話を頭の中で「検索」するプロセスに時間がかかるということです。いきなり聞かれてすぐに切り返せる人は、日頃から相当なトレーニングを積んでいる人か、あるいは天賦の才能に恵まれた人だけでしょう。大多数の人は「なにか面白い話してよ」と言われてはじめて検索プロセスに入るのであって、一定の時間を経た後じゃなければ、喋るネタなんて出てきません。

これ、自分で考えると当たり前の話です。ただ残念なことに、人にアイデアを求めたりお願いしたりする際(特にビジネスのシーン)に、私たちはこの「検索プロセスに時間がかかる」という事実をすっかり忘れていたりするんですよね。たとえば、あなたが営業をしているのなら、商談が終わった後、相手に「誰か知り合いを紹介してもらえませんか?」と聞いたことはないでしょうか?

「誰か紹介してください」と言われても…

こうした時、相手は大抵、宙を見つめながら「うーん、紹介できる人がいたら連絡するよ」なんて答えるでしょう(そして、後日連絡が来る可能性はゼロに近い)。もちろん、そもそも相手との信頼関係がなければ紹介が出ることはありません。しかし、信頼関係を構築できているのに、相手が「思いつかない」ことが原因で、紹介客を獲得するチャンスを逃していることがあります。

これは、冒頭の「なにか面白い話してよ」と言われた時と同じロジックです。商談の相手は「誰か紹介してください」と言われても、紹介できそうな人の名前なんてすぐには思い浮かびません。「検索プロセス」に入ってからしばらく経たないと、具体的に紹介できそうな知り合いの名前が出てこないのです。

紹介客を得るために重要なこと

こう考えると、私達が営業先で紹介客を得るために優先すべきは、相手に紹介を依頼することではなく、まずは検索プロセスに入ってもらうことではないでしょうか。今すぐに「紹介をしてくれ」と頼むのではなく、事前に紹介の”前振り”をしておくこと。ボブの言葉を借りると、商談中に「紹介の種」を蒔いておくということになります。

実際に紹介を依頼するのは、商談後がベストなタイミングではありますが、その成功率は商談中に前振りをしているかどうかで大きく変わります。前振りを行うことで、商談後に向けて事前に「検索プロセス」に入ってもらうわけです。こうすることで、いざ紹介を頼んだ時に具体的な名前が挙がる可能性は高くなります(※上手くやれば、商談の成約率自体も上がるでしょう)。そして、実際の商談後には…

紹介の頼み方の一例

「実は、1つお願いがあるのですが…鈴木様もご存知の通り、私どもの会社は、価格に上乗せされる広告宣伝をほとんどしておらず、信頼されるお客様からのご紹介で成り立っております。そこで、もし鈴木様が私どもの仕事にご満足いただけた場合には、お友達に私どもの会社を紹介していただけないでしょうか?」

といった具合で依頼します。こう言われると、相手は嫌な気分はしないでしょう。なぜなら、お客さんは「自分を満足させなければ、紹介が得られない…だったら、この人は一生懸命やってくれるだろう」と思うからです。そして、事前の前振りによって頭に浮かんでいた「紹介できそうな知り合い」の名前を挙げてくれるでしょう。

それに、検索プロセスに入ってもらえれば、即日は無理でも、後日紹介してもらえる可能性はあります。その日から、相手の頭の中にアンテナが立って、自分と同じように商品を欲しがる人の情報をキャッチしやすくなるからです。そして、いざそのタイミングが訪れた時、あなたが誠実な対応を続けていれば、そのお客さんが紹介を回してくれる可能性は高いと思いませんか?

まずは「検索プロセス」に入ってもらう

何の前振りもなく商談後に「紹介してくれ」と頼むのは、デートで女性が繰り出す「何か面白い話して」と同じです。俗に言う「ムチャ振り」です。これにすぐさま応えてくれる人なんて、ほとんどいないのです。自分がされてもなかなかできないことを、相手に求めても…それは上手くいきません。繰り返しになりますが、紹介の成功率を上げるポイントは「頼み方」ではなく、その「前振り」のプロセスにあることをぜひ覚えておいてくださいね。

PS
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この記事の執筆者

1982年生まれ。福岡県出身。九州大学工学部卒(修士)。『THE GO-GIVER』日本公式サイトの運営責任者。

トヨタ自動車で4年間、生産技術のエンジニアとして勤めた後、ダイレクト出版へ入社してセールス&マーケティングの仕事に従事。3ヶ月後、グループ会社である経営科学出版の事業を任される。年商2億ほどで赤字だった事業部を1年で黒字化。1枚のセールスレターで2万人超の新規顧客を獲得した実績もあり、マネージャーとして事業部の年商7億円突破に貢献。

5年目に独立し、福岡で寿コミュニケーションズ株式会社を設立。現在、建設業を含む2社の経営に携わり営業チームの強化に当たる。ボブ・バーグの日本における独占ライセンシーとなり、当サイト『THE GO-GIVER』を通じて、営業、士業、中小零細企業の社長に役立つ教育事業を展開中。福岡在住。