信頼を生み出す2つの要素

FROM ボブ・バーグ

相手から信頼されるうえで重要なのは、その人の「人格」だろう。ところで、この人格とは、一体何を意味するのだろうか?ジョン・デビッド・マンと私の著書『ひとを動かす技術』の中で、物語のメンターとなる人物エルおばさんは主人公にこう説明している。

人生の出来事が魂に刻印されたものが人格


「人格(キャラクター)は古代ギリシャ語の”擦り傷”、”ひっかき傷”を意味する言葉が語源よ。これは「彫り込まれた印」という意味でもあるわ。それが最終的に「その人の決定づける特徴」を指す言葉になった。つまり、人格とは人生の出来事が魂に刻印した際に作られるものなのよ」

 


…というものになる。このメンターの発言のポイントは、自分の人生の総和こそが「その人の決定づける特徴」という点だ。

さて、これを信頼の話に戻そう。名著『7つの習慣』の著者の息子であるスティーブン・MR・コヴィーは、その著書『スピード・オブ・トラスト』には、信頼には「人格」と「能力」という2つの要素が関係していることを論じている。当然かもしれないが、この「人格」と「能力」はそれぞれ重要だ。場合によっては、両方が重要になる。

例えば、何か重大な意思決定を下す場合がそうだろう。それは、高額だったり、組織で責任を問われる可能性がある商品・サービスの購入かもしれない。あるいはビジネスパートナーと販売における提携かもしれない。はたまた、何かの部位の手術かもしれない。

この場合、売り手、ビジネスパートナー、外科医らが「信頼」されるためには、高いレベルの能力に加えて、人格を備えていることが求められるだろう。そう、1つの要素だけではうまくいないものだ。しかし、究極的にはどの要素が決定的な違いを生み出すだろうか?先ほどの物語のメンターエルおばさんはこう言っている。

能力よりも人格がものを言う


「能力は大前提。ただ、それはあなたがゲームに参加するための参加費に過ぎないの。能力はまるで、街角のゲーム機に入れる10セントの「硬貨」のようなもの。しかし、人格は違う。人格は「希少で貴重な宝石」のようなものよ。1人1人が違い、それでいて価値持っている。そして、それは周囲に大きな影響を与えるもの」

ここで押さえて欲しいのは物語のメンターは決して能力は必要ないと言ってるわけではないことだ。むしろ、大前提であると言っている。しかし、それはあくまでも「参加費」と過ぎないと指摘している。

きっとあなたの周りにも自分の才能・能力・専門性を活かしているとても有能な人々がいることだろう。とはいえ、単にそれだけが選ばれる理由、違い、決め手になるわけでない。そう、決定的な差になるのは、彼女が指摘している「希少で貴重な宝石」なのだ。

言葉だけでなく「自分の在り方」を伝えよう

そう、信頼されるため私たちが磨かなければならないもの。それは「自分の在り方」だ。もちろん、人に何かを伝えるとき、何を言うかも(そして、どのように言うか)も大切だ。しかし、最も大切なのは”自分が何者であるか”だ。

だとすれば、どうすればいいだろうか?それは察しの通り、日々の行動だ。来る日も来る日も一貫した行動を取ること。さらに、受け取る以上に与えようとする「価値の法則」に基づいて行動をすること。その結果、あなたは信頼ある人として見られるだろう。

このように他者から信頼を勝ち得ている人は、人を動かなければならない場面において、素晴らしい影響力を発揮できる。それこそが、真のセールスパーソン、リーダーが持っている影響力に他ならない。

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この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。