どこ向いて仕事してるんだ?(怒)

From 安永周平

「いったいどこ向いて仕事してるんだ」

紹介者からの報告を受けて私はそう思った。端的に言えば、彼が「パートナー」と呼ぶ男のやり口にムカついたのだ。明らかにお客様の方を向いていない言動に、いったいどこ向いて仕事をしてるんだ?とイライラしてしまった。ご存知かもしれないが、安永は責任は逃れて紹介料だけ要求する”ブローカー”が大嫌いである。それは紹介の魅力を台無しにする行為に他ならないからだ。

紹介いただいた防災設備の工事案件

ことの発端はこうだ。ある方から防災設備工事を依頼したいお客様(建物オーナー)を紹介してもらった。他社から270万円の見積が出ているが「もう少しいい条件の会社はないか?」とお客様から相談されているらしい。そこで私(寿防災工業)に声がかかったのだ。他社の見積書を見ると「◯◯一式」という記載が多い粗い明細だったので、おそらく金額下げられるだろうと…と感じた。

後日、必要な資材や作業工数を見積るため、日程を調整して設備メーカーの担当者と一緒に現地調査に行った。そして、必要な原価を積算して見積書を作成した。お客様からは直接「見積を送ってください」と言われていたが、たとえそう言われても、先に紹介者に「このように提案をします」と伝えるのが紹介におけるマナーである。ここを蔑ろにする人には、遅かれ早かれ紹介は来なくなる。

その理由は、自分が紹介する側に回ってみると分かる。自分の大切な知り合いに営業マンを紹介する時「その営業マンが知り合いに対して失礼な言動をしないかどうか」は誰しも不安になるものだ。下手をすれば知り合いとの関係が悪くなるリスクもある。つまり、紹介者には「この人は信頼できる」という太鼓判を押す責任が伴うのだ。だからこそ紹介者への気遣いと感謝を忘れてはいけない。

ドンブリ勘定だった他社の見積…

話を戻そう。うちが積算して出した見積金額は190万円だ。他社がお客様に出した見積額(270万円)より80万円安い。さらに言うと、現地調査の結果「法律的にNG」な項目が1点見つかったので、その是正工事も入れて積算した。それでも適正範囲で自社の利益も残る。残念ながら他社の見積は”ドンブリ勘定”と言わざるを得ない。

その見積書を私から紹介者に見せて「もし紹介料が必要であれば、その分も原価に含めて見積書作り直しますので教えていただけると助かります」と伝えた。個人的にはできる限り紹介料のない取引をしたいが、業界的にそれが横行している側面もある。自分が紹介する場合は取らないが、相手が求めるケースもあるので、紹介をいただく際の私のスタンスは「事前に聞く」ことだ。後出しされると間違いなく揉めるから。

紹介者からの答えは「大丈夫です、紹介料はいりません」だった。さすがだと思った。彼はある会社におけるトップセールスで、まだ一緒に仕事をしたことはないがとても好感の持てる人だった。そんな彼からの紹介案件だったので、私もなんとか時間を工面して力になろうと思った。その後、支払いサイトについてやり取りをしていた矢先に事件は起こった。彼が「パートナー」と呼ぶ男がこんなことを言ってきたそうだ。

「80万下がるなら20万欲しい」

話を聞くと、どうやらお客様と紹介者の間にもう1人、この話を繋いだ人物がいるようだ。その人が、最初は紹介料ナシで了承していたそうだが…うちが出した見積書を見て「80万も下がるなら20万欲しい」と紹介料を要求してきたらしい。

この男のやり口に私はムカついた。どう考えてもこれはお客様の方を向いている人間の発言じゃない。思わぬ金額に目が眩んだ”中抜き屋”の発言だ。専門業者を連れてきて、責任は負わずに右から左に仕事を流してカネ(紹介料)だけ要求する…そんなブローカーが私は大嫌いだ。そんなにカネが欲しいなら、自分が元請けで取ってその責任のもとでうちに依頼しろと(現にうちは設備メーカーに対してそうしている)

そしてもう1つ残念だったのが、紹介者の彼がその男のことを「パートナー」と呼んでいたことだ。パートナーとは信頼関係で成り立つもの。先の中抜き屋を彼がパートナーと呼んでいる事実が、私からの信用を落としている。だから、紹介をいただいた立場で非常に生意気ではあるが、紹介者である彼に苦言を呈することにした。「ここからは、あなたのことをスゴい営業マンだと思っているから言う」と断ったうえで。

「今回の流れは感心できない」

率直にそう伝えた。気に入らなかったのは金額の問題ではない。今回の件も、紹介料の20万円を原価に入れて210万円でうちが見積書を作成して、紹介者やその”パートナー”がお客様から受注すればおさまる話だ。それでも、モヤモヤは残る。あなたの力になろうと思って動いた今回の仕事、何ならうちは別に取らなくてもいい(一緒に現地調査に言ってくれた設備メーカーの担当者のためにも取りたいとは思うが)など本音で話をした。

その結果、紹介者の彼からは「後出しのような形になってしまい大変失礼いたしました」と謝罪があって、この案件は話合いのうえで引き続き前に進めることになりそうだ。せっかくの縁なら気持ちよく仕事がしたい。お客様も、紹介者も、そして私自身も”三方よし”と思える流れで。そのためには、お客様の方を向いて仕事をすることだ。それを忘れなければ、紹介ほど魅力的な仕事依頼はないと私は思う。

それでは、今週もお客様の方を向いて仕事をしていこう。

追伸:
ちなみに安永は、中抜き屋が跋扈する不動産業界の闇を暴露したマンガ『正直不動産』の大ファンで全15巻を持っている。NHKでドラマ放送もあったけど、マンガはもっと内容濃くて面白いよ↓

この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社代表取締役社長。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で42年続く社員53名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」寿防災工業株式会社で2022年11月1日、代表取締役社長に就任。