アドバイスを実行しない人の本音

From 安永周平

以前、ある人から「マーケティングのことで相談に乗ってほしい」と言われたので少し話を聴いていた。そのうえで、自分の経験から彼に役立ちそうだと思ったことを提案すると「あ、それ◯◯ですよね」「△△さんも同じこと言ってました」「それ知ってます、こないだ読んだ本に…」とまぁ私の話にほぼ毎回、知識をかぶせてくる。

何度かそれを繰り返していると、あることに気付く。それは、彼が「それやりました」とは言わないことだ。それなりに価値ある知識を得て実行に移せば、何かしらの実体験を語れずはずだが…それがが出てこない。「それ◯◯ですね」と、どこかで仕入れたうろ覚えのキーワードを口にするだけだ。敢えて聞かないけど、たぶんそのキーワードの意味も説明できないだろう。

「相談に乗ってほしい」なんて思ってない

こういう人は相談に乗って欲しいんじゃない。そうではなく「相手に認められたい」とか「相手に勝ちたい」という欲求が先行している。だから、何か提案・助言したところで、言われたことを素直に実行することもない。当然、成長のスピードは遅い。彼の言う「知っている」は、残念ながら「聞いたことがある」のレベルだ。そのレベルでは仕事で役立つことはないし「やったことがある」との間には日本海溝よりも深い溝がある。

たとえ自分が知らないことを言われても、無意識のうちに自分の知識の範囲内に収めようとするだろう。つまり「既に自分が知っていること」の1つにカテゴライズするのだ。だから、具体的なやり方を聞くこともないし実行することもない。実行は苦労を伴うから、アイデアとして知ってるだけでいい。「たった1つのアイデアが世界を変えることもある」という名言に酔いしれている方が気持ちいいからだ。

彼は、もう1つ罪を犯している

さて、そんな彼が犯しているもう1つの罪がある。それは何だろうか?このメルマガを読んでいるあなたは既にお気付きかもしれない。お察しのとおり、それは「人の話を遮る」という罪だ。これは今だに私もやらかすことがあるが…相手に嫌われる方法としては最強クラスだ。「あ、それ◯◯ですよね」という言葉を私の話の途中でかぶせてくる…アドバイスを求められた立場としては、まぁまぁイラつく言動だ。

これが社内での会話なら…たとえば上司だったら注意してくれるかもしれない。しかし、もしこれがお客さんとのやり取りだったらアウトである。嫌われる人へ一直線だ。どんなに正しいことを言おうが、どんなに相手の役に立つことを言おうが…相手の話を遮って言えば不快感を与えているのは間違いない。不快感を与えてくる人間から商品・サービスを買いたい人はいない。もし思い当たるフシがあるのなら、一刻も早く止めよう。大丈夫、気付けるのなら少し時間はかかるが止められる。

ただし、先のように逆のパターンはある。たまたま仕事で一緒になった人が相手の話を遮る癖がある…というパターンだ。そんな時はどうすればいいのだろうか?感情的になって露骨に不快感を示したり、イライラが爆発して怒ったりするのは得策ではない。ここは先人の知恵に学ぼう。小手先のテクニックかもしれないが、これを知っているだけで結構役に立つ。

話を遮る人に有効な2つの方法

まず1つは、相手の話が途切れるタイミングを見計らって、丁寧な口調で「あなたのおっしゃることは分かるんですが…相手の話を遮るのはお互いにとってよくないと思うんですよね」と言ってみよう。いったん会話を止めて、新たなルールを敷くのだ。話を続けたいのであれば、相手の話を遮るのを止めて最後まで聞くべきだと提案する。こうすることで、相手に気を配りながら建設的な会話のやり方を伝えることができる。

もう1つは、気持ちに余裕があるのなら「相手に最後まで話させる」のも効果的だ。その後、冷静に自分の意見を言う。また相手が最後まで話すのを待って、冷静に自分の意見を言う。これを繰り返していると、さすがに相手も気付く可能性が高い。それでも気付かない人も中にはいるが、そういう時は相手の話が途切れたタイミングで「私も喋っていいですか?」と率直に言ってみよう。さすがに自分ばかりが喋っていた事実に気付くはず。

まずは自分が気をつけること

さて、こんなエラソーなこと言ってる私自身が、最近人の話を遮ったことを自覚することが何度かあった。まさに自戒のために今日のメルマガを利用している未熟者である。「人の振り見て我が振り直せ」という諺もある。まずは自分の振る舞いを振り返ってみる必要があるのではなかろうか。知らず知らずのうちにお客さんの話を遮ってたりしたら…それは事業の存続にさえ関わる深刻な事態である。ということで、今週も冷静に…それでいて静かな炎を絶やさずに頑張っていこう。

PS
仕事で成果を上げる言葉の原点はやはりコレじゃないか(私も手元に置いて繰り返し読む名著の1つ)↓

この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社代表取締役社長。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で42年続く社員53名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」寿防災工業株式会社で2022年11月1日、代表取締役社長に就任。