覚悟はゆっくりと決まる

From 安永周平

新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

2023年が明けて2日。まだ正月休みで仕事はじめは先かもしれないし、あるいは今年も目標について考えているところかもしれない。あなたが今どういう状況なのかはわからないが、新年からこのメルマガを読んでくれているのなら、少なくとも2023年もよいスタートを切りたいと思っているのではないだろうか。そんなあなたに、ちょっとだけ参考になるかもしれない「覚悟」について今日は話をしたい。

「覚悟を決める」という幻想

よく「覚悟が決まらないから一歩踏み出せない」といって悩む人がいる。覚悟ができないから決断できない。行動を先延ばししてしまう。本当に大切なことから逃げてしまう…など。その結果、何も変わらない日々を過ごしていると。私自身もそうだった。何も決められないまま悩んでいるだけで、全く成長を感じられない日々を送っていた。ところが昨年、こんなふうに「覚悟を決めなければ」と悩むのは無駄ではないかと思うようになった。

というのも、私は昨年の11月に家業(寿防災工業)の社長就任という一大イベントがあったのだが…実はこの件、計画的に進んだ話では全くない。なんなら1ヶ月前ですら本件は未確定の状況だった。なんせ私自身、まだまだ経営者としてはポンコツだ。ダイレクトメールの支援事業をはじめてから”個人事業”としては結構良い業績を上げているが、50人規模の組織を率いる社長としては未熟そのものだ。

かといって社長就任にあたり「覚悟ができていなかったか?」というと、そんなことはない。むしろ”風が吹くタイミング”を待っていたようなところがある。これはお世話になっている社長からの受け売りだが、頑張っている人間が報われるタイミングは自分ではコントロールできないと。ただ、それが報われるチャンス…すなわち「風が吹くタイミング」は必ず来るのだと。だから、来たるその日のために、今は深く深く地面に根を伸ばせばよいと。

覚悟はゆっくり決まるもの

そのうえで、これは私が社長になる覚悟を持つまでの経験談だが、覚悟はある日突然バシッと決まるものではなかった。むしろ、同じところをグルグル回りながら踠いている時期に決まったように思う。この時期は自分の成長は感じられなかったが、今思えば同じところをグルグル回りながら螺旋階段を登るように成長していた気がする。そんな日々の中で覚悟はゆっくり決まっていった。

不思議なもので“風が吹くタイミング”はそんな折に訪れた。周囲の状況に変化が見え隠れするようになり、実際に潮目が変わったと感じる瞬間もあった。それがたまたま去年の11月だっただけで、狙ってできたわけではない。そもそも事業承継とか世代交代とかいうのは、自分一人の決断でどうこうなるものではない。複数の関係者の感情が複雑に絡み合うナーバスなものだから、タイミングは自分で決めるよりも”風が吹くタイミング”を逃さないことが大切だと思う。

また1年前は自分が置かれている問題の構図に気付くことができなかったが、それに気付かせてくれた方との出会いも2022年に入ってから訪れた。そこから私も少しずつだがアトツギとして「自分の感情よりも実を取ること」が戦略的にできるようになったという経緯もある。

すべては導かれている

田坂広志さんの著書に『すべては導かれている』というものがある。どんな逆境も自分にとって意味があることであり、スティーブ・ジョブズではないが、後にそれらの点と点はつながって線になるものだ。また「人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。しかも一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に」という森信三先生の言葉も私は好きなのだが…これらの言葉が現実に起こるのを過去最高に実感したのは2022年だった。私にとっては忘れられない年になった。

もちろん、あなたが同じような状況だとは限らない。状況によっては本当に”待ったナシ”のこともあるだろう。ただ「覚悟を決めなければ」と必要以上に焦っても状況はよくならない。繰り返しになるが、覚悟はある日突然バシッと決まるものではない。行ったり来たり、上がったり下がったり、三歩進んで二歩下がる…それでも一歩は進んでいる。そんな日々の中で覚悟はゆっくりと決まるものだ。

風が吹くタイミングは必ず来る

先のお世話になっている社長の言葉をもう1度借りると「風が吹くタイミングは必ず来る」のだ。その時に準備ができていることが大事だ。だから今にフォーカスして自分にできることを考えてやろう。地中深くに根を張っていくことは後に必ずあなたを助けてくれる。今年の目標を掲げることも大切だ。ただ、それ以上に「全ては導かれている」と自分にとっての明るい未来を信じることは、きっと今年1年をいいものにしてくれると思う。それでは2023年もいい年にしよう。

追伸:
先の田坂広志さんの著書、気持ち的にも年始に読むのはオススメ↓

この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社代表取締役社長。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で42年続く社員53名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」寿防災工業株式会社で2022年11月1日、代表取締役社長に就任。