Q:去るかもしれない社員に研修すべき?

FROM ボブ・バーグ

ウォレス・ワトルズの1910年の著書『富を「引き寄せる」科学的法則』には偉大な教訓にあふれている。その教訓の1つに「受け取るものよりも多くのものを与えよ」というものがある。ビジネスに置き換えれば、支払う価格よりもより多くの価値を提供するという意味になる。

「価値の法則」の注意点

THE GO-GIVERには第1の法則として「価値の法則」がある。これはあなたの本当の価値は、どれだけ多く、受け取る以上のものを与えるかによって決まる、というものだ。

ただ、注意してほしいのはここでの「価格」と「価値」を混同しないことだ。まず、”価格”とは数字のことで、ある程度定まっているものを指す。一方、”価値”とは、人によって感じ方が異なるうえに、最終的にそれを手にする人のどう感じるかに大いに依存するものだ。

言い換えれば、価格は有限なものであり、価値は無限なものになる。それを踏まえれば、支払われる価格に対して、有限なものをより多く与えようとすれば最終的に破産するだろう。一方、この違いを正しく理解すれば、売り手のビジネスは健全に繁栄していく。

販売だけでなく、経営においても適用できる?

さて、この考え方は何も販売においてだけではない。経営者と従業員の関係においても同じことが適用される。もちろん、従業員の働き以上に給料を支払えば、先ほど同様に破産してしまうだろう。しかし、給料とは別の価値を提供することに意識を向けてみてはいかがだろうか?

例えば…

・従業員に対して、心からの敬意と思いやりを持って接すること。
・従業員に対して、会社だけでなく、他の市場で活躍できるような教育を提供すること。
・従業員に対して、彼らの成長に寄与するような機会や裁量を与えること。

こうした従業員への価値提供は結果として会社にも利益をもたらしてくれるだろう。しかし、古くからこんな意見がある。「もしも訓練した彼らが去ってしまったら損ではないか?」というものだ。なるほど。言いたいことはよくわかる。ただ、この質問には古くからこんな回答がある。それは…


「もしも彼らが訓練せずに、ずっと留まっているとしたら、どれくらい損失だろうか?」


いかがだろうか?ところで、何年にも渡って私の喜びになっていることがある。それは、かつてのメンバーがその後も訪ねてくれたり、電話やメールくれたりすることだ。ありがたいことに彼らは私と一緒に過ごせたおかげで、その後のキャリアの成功につながったと感謝してくれる。

何かしらの価値を与えること。それ自体とても素晴らしいことだ。だが、これは販売にもひいてはビジネスのあらゆる面においても最も健全で繁栄する方法に他ならない。ぜひ、自問して見てほしい。一緒に働いてくれるメンバーに給料以上の価値あるものを与えるとしたら、何を与えられるだろうか?

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この記事の執筆者

アメリカでは伝説的な元トップ営業マンであり、対人関係・影響力の行使に関する第一人者。「21世紀のデール・カーネギー」の異名を持つ。

現在は経営コンサルタント・講演家としても人気を博し、元大統領や著名な政治家からも助言を求められる。2014年には米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人の1人に選出されている。

主なクライアントはゼネラル・エレクトリック(GE)、リッツ・カールトン、レクサス、アフラック、MDRT、全米不動産協会等。フォーチュン500社に名を連ねる大企業からも絶大な支持を受ける。

著書はこれまで世界21カ国語に翻訳され、累計発行部数は100万部を超えている。累計20万部の『Endless Refferals』や世界的ベストセラーとなった『THE GO GIVER』などは全米の企業で多く研修マニュアルとして使われている。フロリダ在住。