セールスコピーで ChatGPTが人間を超える?

From 安永周平

2013年にオックスフォード大学のマイケル・オズボーン博士が「10年後になくなる仕事」について論文を発表した時「セールスコピーは大丈夫だ」みたいな風潮があった。あれから実際に10年が経った今、確かにまだセールスコピーライティングの仕事は成立しているし、一般的なライターの仕事もAIに奪われたりはしていない。だが、その終焉はすぐそこにまで来ているのかもしれない…

ChatGPTが成約率の高いセールスコピーを書く?

連日、SNSで世間を騒がせまくっているChatGPTであるが、私も実際に使ってみてその凄さを感じている。それなりに自然な日本語でこれほどまでに質問への受け答えや文章作成ができるのかと。専門家の中には「情報が間違っていることが多いから使えない」みたいなことを言ってる人がいるが、そんなもの爆発的に増えるユーザーが使うことで機械学習が進み、これから正確さがどんどん上がっていくわけだから不毛な議論だろう。

AIは言語領域は苦手で(特に日本語は微妙な表現が多いから)文章の仕事が代替される未来は遠いと言われていたが、ChatGPTの登場はその安心感をふっ飛ばした気がする。たぶん3年後には、1次情報を持たずにネットでリサーチしてそれをまとめて書いてるだけのライターとかは淘汰されるんじゃないだろうか。Web上にあるものをリサーチしてまとめることはChatGPTの得意分野だから。

そして「セールスコピーはクリエイティブな専門技術だから大丈夫だ」なんて考えも危うい。安永もセールスコピーを書き続けて11年目になるけど、本当に優れたアイデア(ビッグアイデア)や独自のストーリーを書けるトップクラスを除いて、セールスコピーの仕事もAIに代替される未来がくると思っている。それには理由がある。

「自動で改善し続けるランディングページ」が登場?

実は少し前から気になっていたんだが、私の考えだとChatGPTの登場でたぶん「自動で改善し続けるランディングページ」が技術的に可能になる。それを実際に”ChatGPT先生”に聞いてみたのだ。「ChatGPTを使ってプログラムを組めば「自動でA/Bテストを行い成約率を改善し続けるランディングページ」とか作れそうですが、いかがでしょうか?」と。その結果はこんな感じだった。

ChatGPTの回答

はい、ChatGPTは言語モデルとして幅広い分野の自然言語処理に対応しています。そのため、A/Bテストに関する知識や技術についての認識や理解があれば、ランディングページの改善を目的とした自動A/Bテストのプログラムを作成することができます。

一般的に、自動A/Bテストを行うプログラムの構築には、以下のようなステップが必要になります。

1.テスト対象のランディングページを設計する
2.テスト対象の要素を設定し、変数として定義する
3.テスト対象の要素を変更するパターンを設定する
4.変数を使って、ランディングページを作成する
5.変更パターンをランダムに選択し、A/Bテストを実施する
6.テスト結果を分析し、成約率の改善が見込める変更パターンを採用する
7.新しい変数を用いて、改善されたランディングページを作成する
8.上記ステップを繰り返すことで、成約率の改善を続ける

ただし、自動A/Bテストを行うプログラムの開発には、多くの技術的な課題が伴います。例えば、テスト結果を正確に分析するためには、統計的手法や機械学習アルゴリズムを用いる必要があります。また、実際のランディングページに適用するためには、ウェブ開発に関する知識が必要になります。

そのため、十分な技術的な知識や経験がない場合は、専門家や開発者の支援を得ることが必要になるかもしれません。

AIが得意な分野で仕事を続けるリスク

あぁ…これはもう現実になるなと。技術的な課題なんてたぶん時間が解決する。そう遠くない未来に。そうなるとランディングページのコピーが24時間365日、機械学習によってデータに基づいて改善され続ける。もはや生身の人間では太刀打ちできない。羽生名人だって将棋でAIに負けるのだ。AIを活用する側に回らないと、市場価値の面で圧倒的に差がつく残酷な未来が来るのかもしれない。

個人的には、セールスコピー含めライティング自体を専業にするのは結構慎重になった方がいい気がする。優れたアイデアを独自のストーリーに落とし込むなど本当にハイレベルで仕事ができないと、ライティング自体でAIを超える価値を生み出すのは厳しい時代になるかもしれない。凄腕の人手も本当に優れたアイデアとかそう毎日出るもんじゃない(ただし、AIをアイデア出しの壁打ちに使うのは効果的だと思う)

仕事を元請けで取って”下請け”でAIに出す

逆にライター出身でAIを活用するディレクターとか(編集者も)は需要高くなりそう。自分が元請けで仕事を獲得し、AIに”下請け”で仕事を出す側に回るわけだ。ディレクションは人と関わりながらチームでやるものだから、個人で完結する仕事じゃない。そしてAIにはこれができない。こっちが現実的じゃないかな。そう考えるとコミュニケーションの技術は今後も重要だ。

もう少し言うと、個人のリモートワークだけで成り立つ仕事は少なからず消滅リスクがあると思う。肉体が伴わないデジタル処理だけで終わる仕事は相応の割合で代替されそうだ。PC1台持って「いつでもどこでも働ける自由」を謳ってきた人たちはたくさんいるけど…それに感化された人が仕事を失っても、責任など誰も取ってくれない。人生は自らの選択の結果だ。自らの責任で選ばなければいけない。

「これからは個人の時代」という戯言

振り返ってみると、ここ数年SNSで「これからは個人の時代だ!」なんて言葉がもてはやされ、会社に務めて組織人として生きることがコスパ悪い…みたいなことを言う人も増えた。でも、現状のAIの進化を見ていると”個人でやれる仕事ほどAIに奪われていく”ような気がしてならない。繰り返しになるが、人と関わり合いながらチームでやる仕事ほどAIにはできない価値を生み出せるのではないだろうか。

既にPanasonicではChatGPTを搭載したAIツールを社員が使い始めているとのこと。ホワイトカラーの仕事はこの数年で大きく変わる。1周まわってブルーカラーの現場仕事はこれからもっと価値が上がるかもしれない。時代は変わる。世界的ベストセラー『チーズはどこへ消えた?』の中で、変化する者だけが生き残るのだと書かれていた。私たちは今、まさにそんな局面にいるのかもしれない。

追伸:
なお私の現職は防災設備会社の経営。まだまだ課題の多い会社だけど、福岡で働ける消防設備士をはじめ営業職や事務職も募集してるので…もしよろしければチェックしてみてもらえると嬉しい(※採用担当は安永がやってます)↓

この記事の執筆者

寿コミュニケーションズ株式会社代表取締役/寿防災工業株式会社代表取締役社長。読者1万人超の当メルマガ『THE GO-GIVER』発行人であり、福岡で42年続く社員53名の防災設備会社 二代目。1982年生まれ。福岡県出身。筑紫丘高校→九州大学工学部卒(修士)

新卒でトヨタ自動車に入りマークXやクラウンのモデルチェンジ、バンパー塗装工場の新設を担当。4年目で退職し半年のニートを経て教育ベンチャーのダイレクト出版へ転職。1通のセールスコピーで累計2万人超の新規顧客を獲得したマーケティング経験は宝。マネージャーとなりメンバーから総スカン喰らった経験も宝。事業部が年商7億となった5年目、独立して寿コミュニケーションズを創業。

WEBメディア事業のお客様からの依頼でDMサポート事業を始めたら、紹介だけで受け切れないほど仕事依頼があり、現在は新規クライアント受付停止中。BtoB無形商材に特化したDM戦略&戦術が強い。「人の命と建物を火災から守り地域の街づくりに貢献する」寿防災工業株式会社で2022年11月1日、代表取締役社長に就任。